事業再構築補助金の特徴として、事前着手承認制度というものがあります。
コロナ禍で多大な影響を受け、早期に事業再構築に取り組みたいと考えている事業者様が多くいらっしゃると思います。このような事業者様にとって、非常に使い勝手の良い制度となっています。
 事業再構築補助金を申請される際には、この事前着手制度もぜひご活用いただきたく、今回はその申請書の作成方法をご紹介いたします。

事前着手申請制度とは

 多くの補助金は、補助金の交付決定後に事業経費対象となるものの購入や発注を行うことが原則となっています。
 しかし、この事業再構築補助金では事前着手の承認を受けた場合は、早期の事業再構築を図るため必要となる経費について、交付決定前であっても令和3年2月15日以降に購入契約(発注)等を行った経費も補助対象経費とすることができることとなっています。

 ただし、交付決定前に事業着手が承認された場合であっても、補助金の採択は約束されません。
 また、事前着手の承認を受けた場合であっても、交付申請手続きは必要です。事前着手承認後に発注等を行った経費であっても、交付申請時に事務局が申請経費の内容等を確認した結果、補助対象とならない場合がありますのでご注意ください。

事前着手申請書の書き方、記載例

 事前着手申請の申請方法が10月28日より、従来のメールからjGrantsによる電子申請に変更となりました。
(第1回、第2回、第3回に応募された方々も対象となりますのでご注意ください。)

 事前着手申請制度に申し込むためには、本事業の申請とは別に、事務局に下記URLよりjGrantsにて申請を行います。
申請用URL(https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W2x000004QAJcEAO)

 事前着手申請書で記載が求められる主な内容は、以下の4つです。

会社概要(特に新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業の概要)
事業計画の概要
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響
事業開始が遅れた場合に生じ得る影響

 それぞれ300字以内で完結に記載することが求められています。
 事前着手申請書で記載する内容の多くは、応募申請で提出する事業計画書に記載されたものと重複していますので、作成した事業計画書を簡潔に要約すれば作成することができます。
 ただし、想いが詰まった事業計画書であればあるほど、簡潔に要約することが難しいことが多いですので、今回は分かりやすい事前着手申請書の書き方を記載例とともにご説明いたします。

 また、事業再構築補助金のホームページには申請システム操作マニュアル(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/jizenchakushu_shinseishosample.pdf)も掲載されていますので、あわせてご確認ください。

① 会社概要

 ここでは会社概要を記載しますが、複数の事業を営んでいる場合は、特にコロナ禍の影響を受けている事業や事業再構築を目指す既存事業について記載してください。ただし、コロナ禍による影響は下記の③で記載しますので、ここで詳しく記載する必要はありません。
 記載する内容としては、【沿革や企業理念など】を説明するとともに、特にコロナ禍の影響を受けている【現在の事業の状況】を記載すると良いでしょう。

(記載例)
・【沿革や企業理念など】当社は、1990年創業の飲食業である。居酒屋を中心として、約30年にわたり「三方よしの精神で皆様の幸せを!」の企業理念のもと、フランチャイズではあるものの"地域密着"をキーワードに全国展開を行なってきた。現在120店舗あり、代表的な店舗としては、「○○〇」「▲▲▲」などがある。
・【現在の事業の状況】着実に継続できる事業を目指し徐々に店舗数を拡大してきたが、コロナ禍での総合居酒屋に対する向かい風に対しては、新業態の展開などで苦境を乗り越えるべく試行錯誤を続けている。売上高は2019年度の120億円に対し、2020年度は45億となっている。

② 事業計画の概要

 記載する内容としては、【事業の目的】【取り組みの内容】、およびその【具体的な投資内容】(投資総額、発注予定年月、稼働開始予定年月)の3本建てで記載すると、簡潔かつ分かりやすく事業計画を要約することができます。
 記入見本の説明によりますと、「事業再構築補助金を活用して行う取組の具体的な投資内容(投資総額、発注予定年月、稼働開始予定年月等)」は必ず記載することが求められていますので忘れずに記載しましょう。

(記載例)
【事業の目的】コロナ禍で居酒屋事業の売上が激減し、従来の店舗型の居酒屋事業のみのビジネスモデルからの脱却を図る。
【取り組みの内容】そのため、不採算店舗を撤退する計画である。併せて、「テイクアウト店(1店舗)」「カフェ店(2店舗)」をそれぞれ新たな立地に出品し新規展開をする。
・【具体的な投資内容】事業期間中に、新店舗の改装工事や各種機器導入、新事業に向けて研修や広告宣伝の実施を行う(投資総額:89百万円 発注予定年月:2021年×月、稼働開始予定年月:2021年▲月(新店舗開店))。

③ 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響

 まず、【コロナ禍による事業の影響】をコロナ禍前の事業の状況と比較して定量的に説明すると良いでしょう。加えて、【今後の見通し】についても記載します。それらを踏まえたうえでの【対応方針】を簡潔に記載すると分かりやすくまとめることができるでしょう。

(記載例)
・【コロナ禍による事業の影響】緊急事態宣言や外出自粛の影響による客数の激減により、直近年度の売上高は「前年比37.5%」という状況である。当社では、首都圏(特に東京都、神奈川県)での売上激減による生産性の低下、人件費および賃貸の固定費が重く、今年度累計でコスト比率が85%まで増加した。
・【今後の見通し】新型コロナウイルスの影響が落ち着いた場合でも、お客様の戻りに伴う売上の戻りは70%、良くて80%と予測している。
・【対応方針】そのため、飲食営業以外の新たな収入源を確保し不採算店舗を撤退することで、雇用の維持と固定費の軽減化を図る方針である。

④ 事業開始が遅れた場合に生じ得る影響

 上記①から③までは、事業計画書に記載されている内容を要約することで対応できる場合が殆どです。しかし、この「事業開始が遅れた場合に生じ得る影響」については事業計画書には記載されていない場合の方が多いと思います。

 記入見本の説明では、ここでは「事前着手が承認されず、②の事業計画に沿った投資が遅滞した場合に、どの程度の損失が発生するのかを具体的に記載」することや「損失金額の算出根拠も併せて記載」することが求められています。
 事業着手申請制度は早期の事業再構築を目指すものですので、ここではその目的に合致するよう早期の事業開始の必要性について説明しましょう。

 具体的には、【現状が継続した場合の見通し】とその【回避策】を記載します。その上で、【投資が遅れた場合の損失額】を記載すると説得力を増すことができます。
 損失額の算定根拠は、事業計画書で算出した事業計画のうち営業利益を活用すると良いでしょう。

(記載例)
【現状が継続した場合の見通し】既存事業である居酒屋事業は、緊急事態宣言への対応で今期の売上は前年同期比65%減になるなど、この状況が続くと当社の事業継続が困難になると見込まれる。
【回避策】そのため、新規事業展開が急務であり、1店舗を9月に開店し、他の2店舗も10月と11月にそれぞれ迅速に展開していく必要がある。
【投資が遅れた場合の損失額】仮に事業開始が遅れた場合は、毎月営業損失が約200万円拡大することが見込まれる(算出根拠:新規3店舗の営業利益が24百万円)。また収益構造の改善が図れないだけでなく、既存店舗の撤退に伴う人材の活用や雇用の維持も困難になる。

まとめ

 事前着手申請書に記載する内容の殆どは、事業計画書で記載する内容です。したがって、事業計画書をしっかり作成した後で、事前着手申請書を作成すると良いでしょう。
 事前着手申請制度は、事業再構築補助金の申請後でも交付決定日までであればいつでも申し込むことができます。

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