事業再構築補助金

制度概要

新型コロナウイルス感染症の影響から脱却し、ポストコロナ時代の経済環境に順応して売上を拡大していくための新市場進出(新分野展開・業態転換)、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰を目指す中小企業等を支援する制度です。
補助対象となるためには、自社がこれまでに展開したことのない「新たな事業に進出するための取り組み」を実施する必要があります。既存事業との変化が小さい場合は、”事業再構築”とはいえないため、補助対象にはなりません。
新型コロナ対策として総額2兆円を超えるかつてない予算規模で注目を集めたこの補助金は、第1回公募から第11回公募までの募集が終了しており、残りの公募は第12回のみという見方が強くなっています。また、新聞各社の報道によりますと、申請枠は次のように変更される見込みです。

それぞれの枠の要件は、「成長分野進出枠」は補助金事務局がHPで公開する”成長分野”への進出であること、「コロナ回復加速枠」はコロナ禍での苦境からの回復を図る事業であること、「サプライチェーン強靭化枠」は海外に流出した大規模なものづくり拠点の国内回帰であること等が想定されます。

補助額と補助率

第12回公募はまだ開始されていないため、ここでは第12回で創設される枠に近いと思われる第11回公募の枠の中から、補助額と補助率を紹介します。”申請枠”と”申請する事業者の従業員数”によって補助額と補助率の上限が決定される仕組みです。特に補助額が大きいのは、カーボンニュートラルに資する取り組みを行う”グリーン成長枠”となっています。

使える経費例

補助対象経費としては、次の費目が計上できます。

建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

事業再構築補助金の最大の特長は、建物費が計上できることです。一般的な補助金では設備投資や広告宣伝に使えるものが多いですが、建物費は補助対象になりません。
一方で、事業再構築補助金での建物費は、「新築」も対象になりますし、自社物件やテナントなどの「改装費」も対象になります。飲食業の場合は、特に建物費が補助対象のメインとなっています。

まとめ

建物が補助対象となる数少ない制度です。加えて、機械装置・システム構築費や、広告宣伝・販売促進費などの使い勝手の良い経費も補助対象となっています。補助額・補助率ともに非常に高いオススメの制度です。

申請要件は若干複雑ですので、新規事業への進出をお考えの方は、ぜひ弊社をはじめとした専門機関にご相談ください。

生産性革命補助金(令和5年度補正予算版)

制度概要

生産性向上に取り組む中小企業の設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助する枠組みです。「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」という4つの制度で構成されており、成長投資の加速化と、事業環境変化への対応を支援する補助金となっています。

政府の狙いとしては、”生産性向上”と”賃上げの促進”が挙げられます。実際に、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」では、従業員の賃上げが申請要件となっており、他の制度では賃上げが補助金額の引き上げ等の要件となっています。

➀ものづくり・商業・サービス補助金(ものづくり補助金)

国内の雇用の約7割を占める中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けた「新製品・サービスの開発」や「生産プロセス等の省力化」に必要な設備投資等を支援する制度です。

オーダーメイドの設備を導入して生産ライン等の自動化を進めることで自社の生産性を高める「省力化(オーダーメイド)枠」、設備投資によって製品等の付加価値を高める「製品・サービス高付加価値化枠」、輸出による海外展開や海外拠点の設備増強等を支援する「グローバル枠」があります。

補助金額の上限は、枠と従業員数によって変わりますが、750万円から8,000万円までと幅が広くなっています。特に省力化枠・グローバル枠は金額面でも魅力的です。

補助対象経費は11種類ありますが、ほとんどの場合、使用されるのは「機械装置・システム構築費」のみです。最もオーソドックスな活用方法としては、製品の品質や生産性を高めるための生産設備の導入が挙げられます。金属加工業から製造業、飲食サービス業まで幅広く利用されているおすすめの補助金です。

➁小規模事業者補助金(持続化補助金)

地域の雇⽤や産業を⽀える⼩規模事業者等(主に従業員数が商業サービス業は従業員5人以下、その他の業種は20人以下の事業者)の⽣産性向上と持続的発展を図ることを⽬的とし、経営の持続化に向けた広告宣伝や店舗改装といった「販路開拓への取り組み」を⽀援する制度です。

補助金額の上限は50万円から200万円で、多くの事業者は上限50万円の通常枠を利用することになるでしょう。補助率は2/3と高いため、新たなチャレンジの自己負担額を大きく抑えられます。

補助対象経費のメインである広告宣伝費は、かつてはHPづくりに多用されていました。しかし、現在はHP・Web広告といったWeb関連の経費には補助金額の上限が定められているため、折込チラシや看板製作などに使用されることが増えています。

「自費では難しい広告を、費用を抑えて展開したい」「集客のための店舗改装や設備導入を行いたい」という場合におすすめの補助金です。

➂IT導入補助金

業務の効率化やDXの推進、インボイスやセキュリティ対策に必要なITツール等の導入を支援する補助金です。ソフトウェア・システム・クラウドサービスなどのITツールが補助対象になります。

これらのツールは何でも選べるわけではなく、事前に国に登録されたITツールのみが補助対象です。これを、同じく国に登録したベンダー(供給業者)が事業者の支援を行い、補助金の申請と採択後の手続きを進めていく流れになります。

また、今後のIT導入補助金では、ECサイトの構築費用が補助対象外になります。従来は補助対象であったため、この変更をベンダー側も把握していないケースも考えられますので注意が必要です。

なお、「ものづくり補助金」「持続化補助金」では7ページから10ページの事業計画書が必要となりますが、IT導入補助金では、取り組み内容について記載するのは255字程度であり、手軽に利用できるのも大きな特徴です。

➃事業承継補助金(事業承継・引継ぎ補助金)

中⼩企業の⽣産性向上と賃上げ促進のために、事業承継・M&A、グループ化後の経営⾰新(設備投資、販路開拓等)や、M&Aに要する専⾨家への謝金等を補助する制度です。この制度が創設された当初は独立した事業でしたが、途中から生産性革命事業の仲間入りを果たし、毎年補正予算が割り振られています。

申請枠は、事業承継やM&Aを契機に新市場への挑戦などで経営革新を目指す「経営革新枠」、経営資源の譲り渡しや譲り受けに要する専門家への謝金を補助する「専門家活用枠」、事業承継やM&Aによる廃業費用を補助する「廃業・再チャレンジ枠」という3つの枠で構成されており、幅広い取り組みに対して支援が受けられます。

これまでご紹介した補助金にはなかった、特殊な補助対象経費が存在することも特長の1つです。具体的には、「店舗等借入費」「設備費」「システム利用料」「廃業支援費」「在庫廃棄費」「リース解約費」等があります。これらにより、事業承継・引継ぎに要する費用の最小化が可能です。

 これから事業承継を実行する事業者だけでなく、数年以内に実行済みの事業者でも活用できる使い勝手の良い補助金となっています。要件に該当される場合は、ぜひチャレンジされることをおすすめします。

中小企業省力化投資補助事業

制度概要

人手不足に悩む中小企業等の売上拡大と生産性向上を後押しするために、「省力化投資」を支援する制度です。IT導入補助金の自動化設備版と考えても良いでしょう。手軽に使える補助金で、2024年の春に新設されます。

IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を、メーカーが国の「カタログ」に掲載し、中小企業等が自由に選択して導入できる仕組みになります。ボリュームの多い事業計画書も必要なく、簡易で即効性がある省力化投資を行えます。

 予算規模も5,000億円と巨額であり、2024年の中小企業向け補助金では、最も注目度が高い制度です。無人搬送ロボットや検品・仕分けシステムといった工場系の設備のみでなく、飲食店の配膳ロボット・自動清掃ロボットなども対象となる見通しとなっています。「人手不足で自動化を図りたい業務」がある場合に、特におすすめの補助金です。

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金

制度概要

地域の雇用を担う中堅・中小企業が、人手不足等への対応力を高めるための大規模な設備投資を促進する制度です。工場等の拠点新設や、大規模な設備投資が対象となります。例えば、製造業で生産ラインの大規模な自動化を行うケースや、卸売業で最新設備を用いた物流センターを新設するケースなどで、この補助金を利用できます。

 大規模な投資が前提条件の制度であるため、補助率は1/3は少し控えめですが、補助金額の上限は50億円と大きな設定となっています。また、投資額の下限は10億円と非常にハードルが高いため、要件上は中小企業も申請対象ではあるものの、実際には中堅企業向けの制度と言えるでしょう。

 総額3,000億円という巨額の予算を確保されていますので、拠点の新設や集約、大型投資を検討されている場合は、チャレンジする価値がありそうです。

借入制度

保証料上乗せにより経営者保証の提供を選択できる新制度

融資に伴う「経営者保証」は、信用補完によって円滑な資金調達に有用な制度です。しかしながら、この保証のために思い切った事業展開に踏み切れず、事業者の成長のための投資を妨げている側面もあります。そこで、国は新たに「保証料を上乗せすることで経営者保証を必要としない信用保証制度」を創設します。

この制度を利用することで、経営者個人の保証が不要となり、従来よりも「攻めの経営」を行いやすくなります。

日本政策金融公庫等による資金繰り支援

①セーフティーネット貸付

 物価高騰・処理水放出に伴う風評被害等による売上減少が発生した場合に、低利融資を受けられます。

②新型コロナ対策資本性劣後ローン等

 金融機関から「資本」と見做される長期間元本返済のない資本性劣後ローンを受けられます。

③賃上げ等に取り組む事業者向け融資

 賃上げ等に取り組む場合に、有利な条件で融資を受けられます。

その他のお得な制度

人への投資助成金

訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する新たな支援制度です。
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経営革新計画

保証協会枠をすべて使用している場合、追加融資は受けづらいです。
経営革新計画の認定を受けることで、保証協会枠が倍増するため、追加融資が可能となります。
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経営改善計画

事業再生にあたり、金融機関との調整が必要な場合は、経営改善計画の作成が必要です。経営改善計画作成にあたり、専門家と協力しながら作成する事に対して一部補助がなされます。
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早期経営改善計画

資金繰りを把握したい、銀行に簡易の計画を提出したい場合は、早期経営改善計画の作成がお勧めです。早期経営改善計画作成にあたり、専門家と協力しながら作成する事に対して一部補助がなされます。
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経営資源集約化税制

M&A時の税制を優遇される制度です。
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設備投資を伴う事業再構築の場合

経営力向上計画

「経営力向上計画」が認定されることにより中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援が受けられます。事業再構築にあたり、設備投資を行う場合は、税制面を考える必要があり、当制度取得をお勧めします。
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