ものづくり補助金とは

 ものづくり補助金は、中小企業・個人事業等の設備投資による生産性向上革新的なサービス開発について、最大3,000万円の補助を受けられる制度です。2012年から国の補正予算によって運用され、人気の補助金となっています。
 業種や用途も様々で、代表的な活用方法としては、製造業による加工機械・検査機器の導入や、建設業による重機や計測器ドローンの導入、農業によるトラクターや精米機・選別機の導入などが挙げられます。
 それでは早速、ものづくり補助金の補助金額と補助率について見ていきましょう。

ものづくり補助金の補助額と補助率

 ものづくり補助金には、「一般型」「グローバル展開型」の2パターンがあり、一般型は「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」に分かれています。
 最も一般的なのは通常枠ですが、その他の枠は要件に当てはまれば、優先的な採択や、補助金額の上乗せなどを受けられます。

 特に、グリーン枠とグローバル展開型は補助金額が最大2,000万円~3,000万円と大きくなっています。取り組みがこれらに該当する場合は、積極的に狙っていきたいですね。
 次に、ものづくり補助金のスケジュールと採択率を見ていきましょう。

ものづくり補助金のスケジュール・採択率

 まず、ものづくり補助金の公募~採択~実施のスケジュールを確認していきましょう。現状では、次のような予定が公表されています。

 応募締切から採択までの期間は概ね2ヶ月となっており、補助事業の実施期間は最大10ヶ月となっています。補助事業の実施期間内には、「設備の発注~納品~効果検証~支払い」までを完了する必要があるため、特に設備の納期概ね9ヶ月以内であることを事前に確認しておきましょう。
 第13次公募は年内で終わる見込みですが、令和4年度の2次補正予算でも予算計上が見込まれており、仕組みは多少変わる可能性がありますが、継続する見通しです。

 採択率は、通常枠で約50%~60%、グローバル展開型で約40%となっています。通常枠は国の補助金の中ではかなり高く、使い勝手の良い補助金といえます。グローバル展開型は、採択率が低めですが、最大3,000万円の補助金が得られるので魅力的ですね。
 続いて、ものづくり補助金の申請要件を見ていきましょう。

ものづくり補助金の要件

 ものづくり補助金に申請するためには、以下の要件を満たすことが必要です。
(一般型・グローバル展開型ともに)
 ・賃金引上げ計画の誓約書を作成すること
 ・付加価値額が年率3%以上伸びる計画であること

 ・給与支給総額が年率1.5%以上伸びる計画であること
 ・事業場内最低賃≧地域別最低給与支給総額が年率1.5%以上伸びる計画であること

 特に、下の2つについては、事業実施後5年間の報告の中で、未達の場合は補助金の返還義務が発生することもありますので、注意が必要です。ただし、付加価値額が一定以上伸びていない場合は免除されます。付加価値が伸び悩んでいる中で、賃上げを行うのは難しいですよね。
 次に、具体的な対象経費をご紹介していきます。

ものづくり補助金の使える経費

 使える経費は、大きく、最新設備投資と革新的サービス開発の2パターンに分かれます。
①最新設備投資
 製造業であれば、機械装置として加工機や検査機器、飲食業であれば高速冷凍機や冷凍庫など、設備投資を主題とするケース。
②革新的サービス開発
 建築業が工程管理アプリ制作などサービスのシステム開発などシステムを主題とするケース。
 上記の費用が以下表のうちの①のメイン費用となり、その他付属で専門家費用やデザイン費用などの費用を計上します。

ものづくり補助金のスケジュール

 ものづくり補助金のおおよそのスケジュールは以下のフローとなります。下図は13次公募のスケジュールとなっています。

 なお、申請はインターネットからの電子申請であり、Gbizという国が運営するシステムのアカウント取得が必須となります。この登録には2週間程度を要するため、早めの取得が必要です。
 審査期間は、応募締め切りから2か月程度
で、申請から採択結果公表までは一切の連絡がなく、審査後に採択結果が事務局サイトで公表をされます。
 採択が公表され、並行して採択通知が事業者にメールで届きます。その後、交付申請という手続きで、具体的に経費が対象になるか、どれを申請するか、を確定させます。
 その後、交付決定が得られたあとに、いよいよ補助対象期間がスタートします。このタイミングまでは発注が禁止されますので、注意が必要です。
 補助金の振り込みは補助事業の完了から、スムーズにいけば2ヶ月~3ヶ月程度です。ちなみに、事業完了とは「設備の導入・支払い」「効果の検証」の両方が完了したタイミングを指します。(期限あり)

ものづくり補助金の事例


〇製造業
・高性能プラズマ切断機導入によるQCD及び生産性の向上
・包装加工・梱包ライン強化による高付加価値製品の製造並びに生産性向上事業
・世界初パイプ・継手の亜鉛除去・開先加工完全自動化による配管製作の生産性の向上
・3Dレーザー加工機の導入による1次加工のQCD向上と事業の高付加価値化
・放電加工機導入による仕上げ加工自動化で生産性向上
・最新5軸加工機導入でサプライチェーンの強化による取引先拡大と売上拡大

〇サービスなどの経営革新型
・道路インフラ点検のための画像解析クラウドサービスの開発
・プログラミング不要の顔認証決済プラットフォームの試作開発
・視覚障がい者とガイドヘルパーをマッチングするアプリの開発
・経営者と従業員の合意型M&Aによるマッチングサービスの展開
・美容技術フリーランサー向けサロンスペースマッチングサイトの構築

〇サービスなどの経営革新型
・道路インフラ点検のための画像解析クラウドサービスの開発
・プログラミング不要の顔認証決済プラットフォームの試作開発
・視覚障がい者とガイドヘルパーをマッチングするアプリの開発
・経営者と従業員の合意型M&Aによるマッチングサービスの展開
・美容技術フリーランサー向けサロンスペースマッチングサイトの構築

〇飲食業・食品製造業
・飲食店が急速冷凍機と冷凍庫を導入し、味の劣化がない作り置きで生産性を向上
・チーズケーキ店が撹拌機、急速冷凍機、真空包装機を導入して全国にEC販売
・食品の自動包装機、自動梱包機を導入して生産ラインを効率化

〇建設業・林業
・最新のバックホーの導入による生産性の工場
・ICT建機の導入による高難易度作業の属人化の解消
・最新式の伐採機の導入による伐採、搬送の効率化
出所:http://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/2nd/saitaku2ji.pdf

ものづくり補助金に採択されやすい企業

①政策に合致している

政策とは、国の生産性向上を大テーマに、
・賃金アップ
・生産・サービスの自動化・効率化・IT化の促進
などの当制度のコンセプトのほか、以下のような加点要件をクリアする事です。
・小規模事業者
・大きな賃上げを宣誓した企業
・創業したばかりの企業
・第2創業したばかりの企業
・パートナーシップ構築宣言を行った企業
・事業継続計画の認定企業

②実現性

 実現性とは、財務基盤・技術基盤がしっかりしていて、事業実施が必ず行えるとです。
いわゆる「人・もの・金・ノウハウ」です。

 特に財務基盤については、理想としては業績が良く、内部留保が多い企業が通りやすいように思います。また、多少の赤字でも内部留保がある場合や、内部留保が少なくても黒字である企業の場合は問題ないです。
 重要な事は、国の補助金を使って進め、すぐに倒産してしまうようなリスクが無いか、であり、企業の大小と言うよりは、企業規模に応じた稼ぐ力があるか、が重要のように思います。
 「債務超過」の企業の場合でもテーマにそっていれば合格する事ができるようですが、難易度は高くなると考えたほうがよいでしょう。

 技術基盤については、その言葉の通り技術力や実績(取引実績・表彰など)です。
 特に当初から製造業向けにスタートした補助金のため、製造技術を持っている企業が採択されやすい傾向にあります。

③2つの革新性

 2つの革新性とは、ひとつの意味が「会社内での新たな取り組みであること」、もうひとつの意味が、「国内でも革新的な事例であること」です。
 どんなにすごい事をしていても既に社内で行っている場合は、新たな取り組みではないので対象とならず、これからの取り組みが対象となります。
 また、国内でも革新的な事例と言う意味では、最近ではそこまで重視されていませんが、あればなお通りやすいと言えるでしょう。

 これらの 3 つ「政策合致度」「実現性」「革新性」が揃えばほぼ採択されます。

ものづくり補助金収益納付について

中小企業庁の「ものづくり補助金」は補助金を返還する可能性がある補助金です。一度はもらったハズの補助金を数年後に返還。となると、企業の経営に大きなダメージを与えることになってしまいます。そこで、今回は“ものづくり補助金の返還が必要なケース”について解説しています。
解説はこちら

最新!ものづくり補助金の補助額・補助率

最新のものづくり補助金に関する補助額・補助率をまとめています。
詳細はこちら

ものづくり補助金の公募要領

https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

補助金には注意点が多いため、まずはお気軽にご相談ください

対象エリア:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

事業再構築補助金

事業再構築補助金の総予算は2020年補正予算にて1兆円1,485億円、2021年補正予算にて6000億円確保されており、過去に類を見ない非常にチャレンジングな補助金です。

持続化給付金が赤字補填と言う守り型の給付金に対して、事業再構築補助金は、新たな取り組みを行う設備投資などを補助する攻めの補助金です。
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その他のお得な制度

・人への投資助成金
訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する新たな支援制度です。
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・経営革新計画
保証協会枠をすべて使用している場合、追加融資は受けづらいです。
経営革新計画の認定を受けることで、保証協会枠が倍増するため、追加融資が可能となります。
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・経営改善計画
事業再生にあたり、金融機関との調整が必要な場合は、経営改善計画の作成が必要です。経営改善計画作成にあたり、専門家と協力しながら作成する事に対して一部補助がなされます。
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・早期経営改善計画
資金繰りを把握したい、銀行に簡易の計画を提出したい場合は、早期経営改善計画の作成がお勧めです。早期経営改善計画作成にあたり、専門家と協力しながら作成する事に対して一部補助がなされます。
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・経営資源集約化税制
M&A時の税制を優遇される制度です。
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〇設備投資を伴う事業再構築の場合
・経営力向上計画

「経営力向上計画」が認定されることにより中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援が受けられます。事業再構築にあたり、設備投資を行う場合は、税制面を考える必要があり、当制度取得をお勧めします。
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