1兆円を超える異次元の予算規模を誇る事業再構築補助金。第1回締切りの採択率は全体で36.1%、メインである「通常枠」では30.1%という狭き門でした。つまり、応募した企業の約7割は不採択となったのです。

 では、不採択の要因はどこにあるのでしょうか?これから事業再構築補助金への応募をお考えの皆さんは、不採択の要因を把握したうえで事業計画書を作成することで、採択の可能性をグッと高められます。それでは、事業再構築補助金に採択されるために知っておくべき「不採択の要因」を、特に重要な4つのポイントに絞ってご説明していきます。

不採択の要因①自社の強みを活かす計画になっていない

 事業再構築補助金では、応募した事業計画書1件ごとに複数の審査員が審査を行い、高い評価を得られた事業者が採択されます。そして、高い評価を得るためには、「強みを活かした事業」であることが欠かせません。

 では、なぜ強みを生かすことが必要なのでしょうか?それは、補助事業で挑戦する新たな市場で競合他社に勝つためです。見込み客が商品やサービスを選ぶ際には、競合他社の商品・サービスと必ず比べられます。天秤にかけられる要素の代表例が、Q(品質)・C(価格)・D(納期)です。事業再構築を目指して新たな市場に参入する事業者は、いわば後発組。既にその市場で実績を積んでいる競合他社を相手に、後発組がQCDのいずれかで優位に立つためには、自社の強みを活かして「ここは競合他社に負けない」という点を確立することが必須要件と言えます。

 補助金の事業計画書は、「成功する事業であること」を審査員にアピールする資料です。「自社の既存の強みと補助事業での取り組み(設備投資・広告宣伝等)を掛け合わせることで競合他社への優位性を築く」という、説得力あるストーリーで事業計画書を作成しましょう。

不採択の要因②事業の収益性が明確になっていない

 補助事業には、一定の収益性の高さが欠かせません。なぜなら、国は貴重な財源を使って補助金を出す以上、高い利益を生み出す事業を選定する必要があるからです。収益性の低い事業を採択すると、補助金の費用対効果は低下してしまいます。そのような施策に大金を使ったとなると、事業再構築補助金という制度をつくり上げた経済産業省が批判されることになりかねません。このような理由により、「収益性」は採択されるために重要なキーワードとなっています。

 収益性に全く触れていない申請者は少ないでしょう。しかしながら、ほとんどの申請者の事業計画書は、審査員目線から見ると不十分です。売上と利益だけを記載しているケースはとても多いですが、これでは費用の内訳が分からず、収益性の良し悪しが判断できません。

 では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?そこでオススメしたいのが、「変動費と固定費を分けた表で説明する」ことです。製造業の場合、代表的な変動費には「材料費」「外注費」「パート社員の人件費」など、固定費には「正社員の人件費」「水道光熱費」「賃料」「減価償却費」などがあげられます。売上からこれらの費用を差し引いた結果、これだけの利益が出ます。という説明ができれば、事業計画の説得力が格段に高まり、採択は大きく近づくでしょう。

不採択の要因③市場規模・ニーズを分析できていない

 事業再構築補助金の審査項目には、「市場ニーズ」という言葉が何回も出てきます。どんなに優れた製品・サービスをつくったとしても、それを求める人がいなければ、ビジネスは成立しません。また、求める人がいたとしても、その市場が小さければ、自社の投資に対するリターンが不十分になるリスクが高まります。「良いものを作れば売れる」という論法だけでは、採択を勝ち取ることは難しいのが現実です。

 そこで、具体的な対策をご説明します。まずはニーズが存在すること、その市場規模が十分であることを説明するために、客観的な資料を集めましょう。Web検索や業界紙などから、説明に引用できる情報を探します。国の統計資料や、業界団体の資料がオススメです。ただ、ニッチな業界の場合は、欲しい情報が見つからないこともしばしば。その場合は、入手できた情報から推定値を算出したり、民間のシンクタンクから有料でレポートを購入したりするという方法をとりましょう。

 そして、入手した情報を事業計画書に記載します。ここで大事なのは、「引用元を明記する」ことです。これにより、自社に都合の良い情報をつくり上げたのではなく、客観的に妥当性のある情報だと審査員に認識してもらえます。表やグラフも引用し、直感的な分かりやすさと、資料としての見栄えの良さも実現しましょう。

 この作業は、補助金の審査対策という意味もありますが、それ以上に自社の新規事業の有効性を再確認するという点でも役に立ちます。市場ニーズ・規模をしっかりと深堀りした上で、必要に応じて事業計画の軌道修正を行いましょう。

不採択の要因④申請要件への不備がある

 事業再構築補助金では、応募者のうち13.5%が要件不備による不採択となっています。つまり、7社に1社は事業計画を審査されるテーブルにすら上がれていないのです。膨大な労力と時間を費やして応募した結果が「要件不備での不採択」というのは、さすがに辛いものがあります。

 では、不備の要因はどこにあるのでしょうか?この要因は、「要件に該当した取り組みになっていない」「必要な書類がアップロードされていない」という2点に大別されます。前者では、公募要領・事業再構築指針に適合した取り組みになっていないこと、または指針との関連性の記載が不十分であることが多いです。後者では、単純な資料のアップロード漏れの他、誤った書類をアップロードしてしまったという事案が散見されます。

 このような事態を避けるため有効な対策は、必ず複数人でチェックすることです。チェックのポイントは、「事業計画書の内容から事業再構築指針への整合が読み取れるか?」「アップロードした書類に誤りはないか?」という点です。ヒューマンエラーはどんな仕事にもつきもの。いかに優秀な方でも、1人でのチェックではその精度に限界があります。些細なミスで応募までの苦労を水の泡にしないためにも、必ず複数人でのチェックを行いましょう。

まとめ

 いかがでしたか?よくある「不採択の要因」を知ったうえで、事業計画書の作成・応募申請ができれば、採択の確率を高めることができます。皆さんの取り組みが「優れた事業」であることを明確に説明・アピールして採択を勝ち取りましょう。

 ただ、ここでご紹介したポイントはあくまでもごく一部。より質の高い事業計画書を作成し、ミスによる要件不備を確実に回避したい場合には、高度な専門家を擁するコンサルティング会社に支援を依頼することをお勧めします。

中小企業診断士 児山

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