今日、日本では介護人材の不足について問題視されています。

下記資料は内閣官房より10月に発表された”日本商工会議所による人手不足状況についての調査結果”となります。

右側のグラフから読み取れるように、介護・看護業界での人材不足が大いに目立っていることがわかります。

今後の将来、少子高齢化社会と向き合うために、省人化対策を進めていく必要があります。しかし、下のグラフ結果のように省人化対策の必要性が高い介護・看護業界にもかかわらず、介護・看護業界では省人化に対して対策がほとんどとれていないことが現状です。

この記事では介護・看護業界で省人化対策に取り組む事例を紹介していきます!ぜひ、介護・看護業界の事業者様はお役立てください。

東北福祉ビジネス株式会社

宮城県仙台市で、2012年に創業された東北福祉ビジネスを始めた東北福祉ビジネス株式会社では、”IT導入補助金”を活用して、障がいを持つ子どもたちへのオンライン療育や事務作業のペーパーレス化に成功しました。

コロナをきっかけに、外出することが社会的にタブーになった頃、施設の利用控えが増え、事業所の運営面で危機感が高まっていきました。保護者側も感染リスクを考えて利用を控える子供が多くいましたが、仕事をする為には子供の面倒を誰かが見ないといけない問題がありました。

事業者、保護者側のそれぞれの不安を解消すべく東北福祉ビジネスがトライしたのがZoomを活用したオンラインでの療育でした。IT導入補助金を活用して、iPadやパソコンを購入。オンラインで各施設や、家にいる子供たちの端末に繋いでオンライン療育を開始しまいした。利用者が増えていったこともあり、事業は存続可能となりました。

オンライン療育で英会話を楽しむ様子

一方で、バックスオフィス業務でもペーパーレス化を進めていくこととなりました。”IT導入補助金”を活用して購入したパソコンやiPadを使用して事業者間の会議や情報共有をネット上ですることで社員のコミュニケーションやペーパーレス化が実現。また、人材募集の際に”Web面接可”と記載したところ、様々な地域から応募があり人材確保にもつながりました。

事業所間をZoomで繋ぎ会議を行う様子

参考:IT導入補助金事例

N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社

鳥取県米子市を中心に高齢者施設や利用者のお宅を訪ね介護保険適用外サービスを提供しているN.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社では、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業を活用して潜在看護師・介護士らの力×ITで介護のあり方を改革

導入サービス

導入内容として、設備投資枠でIT技術を用いたプラットフォームを開発。子育て世代や扶養控除の範囲内での勤務を希望するスタッフ(潜在看護師等)の募集・登録と介護保険対象外サービスとして高齢者の付き添いや買い物などを必要とするサービス利用者の申し込み、およびスタッフのスケジュールをマッチングさせるシステム。

参考:TSSテレビ新広島

同社では、出産や子育てをしながらフルタイムで働くことが難しいためなかなか復職しずらい潜在看護師や介護士を復職させて介護の現場に生かすことを企業の強みとして持っています。利用者は、親元を離れ遠方で暮らしていても常時WEBから依頼することが可能です。

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業

”ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業”に関する記事は別途作成していますので併せてチェックしてみてください!

特別養護老人ホームかんだ連雀

東京都千代田区にある介護施設、特別養護老人ホームかんだ連雀では介護ロボット導入の取り組みとしてITツールを導入しました。

導入前の課題として、記録業務については、パソコンやタブレット等を利用し、手看護記録等、記録が漏れるのが心配な業務についてはいまだに手書きで記録していることであった。そこで、今までタブレット端末で手入力したいたものを音声入力機能を追加したり、インカム機能を利用してスタッフ間のコミュニケーションをスムーズにするなどして業務改善を行いました。

結果、記録・文書作成・連絡調整等にかけている業務時間について、介護ロボット導入前は 56 分であったのに対し、40 分に削減された。記録業務については、介護業務の合間にスマートフォンで音声入力しながら移動することで、迅速に行うことが可能となった。インカムについては、介護職員間では入所者に何かあり、担当職員へ伝えたいときに、その職員を探さなくても申し送りができ、また、別の業務の都合等により申し送り事項が聞けなかったときに、文字起こしされた内容から振り返り、確認することができるメリットに繋がりました。

図①のように記録業務の改善が見られました。

図①

参考:介護ロボットのパッケージ導入モデル

参考:厚生労働省『介護ロボットの開発・普及の促進』

サムスン電子

韓国の大手総合電機メーカーサムスン電子では、高齢者の自立支援と介護者の負担軽減を目的として、腰に取り付けた機構が歩行をアシストする歩行支援ロボットや会話機能を持ち、日常会話から健康管理まで幅広く支援できるコミュニケーションロボットなど、介護ロボットの開発に取り組んでいると1月6日、技術展示会「CES 2023」で明らかにしました。

2023年中には実用化を目指しているようです。ロボットの精度とコストが課題だそうですが、介護現場の人手不足の解消に役立つことが期待されています。

参考:THE KOREA ECONOMIC DAILY GLOBAL EDITION

Honor Technology(本社:米カリフォルニア州)

世界的な高齢化の進行に伴い、在宅介護ニーズが高まる中、Honor Technologyがテクノロジーを活用した介護サービスで変革を起こしている。同社はAIアルゴリズムにより、介護士と高齢者間の最適なマッチングを実現。これにより、高齢者がより良い在宅介護サービスを受けられるようになった。同社のサービスは、高齢者が年を重ねても住み慣れた自宅で安心して過ごすことを可能にする。高齢化社会を迎えた日本にとって、同社の取り組みは介護業界のあり方を変えるイノベーションともとらえることができます。

参考:Honor Technologyホームページ

まとめ

日本では介護・看護業界に対して政府、自治体より補助金支援があります。

厚生労働省:ホームページこちら

人手不足の改善策としてAIや介護ロボットの導入が進んでいる中、私たちがIT技術とどのように向き合い、仕事の分業化を図るかがより大事なポイントとなります。

介護・看護に関する補助金記事は別途作成していますので是非チェックしてみてください!