省人化の定義

省人化(しょうじんか)とは、業務プロセスの中で人の労働を機械やシステムに置き換えることです。具体的には、AIやロボットなどの技術を活用して、これまで人の手作業で行っていた作業を自動化したり、判断業務をAIに任せたりすることで、人手を省くことを指します。

省人化のメリットとしては、生産性や効率性が向上すること、人件費を削減できることなどがあげられます。一方で、技術への過度な依存や人の雇用喪失などのデメリットも指摘されています。

最近では、自動運転車や自動店舗、顔認証による入退室管理など、様々な場面で省人化が進んでいます。

省人化を進めていくことでどのように生産性がアップするのか、具体的な事例を紹介していきたいと思います!

卸小売り・小売業 

お弁当屋と仕出し屋をチェーン展開する杏亭グループ社がIT導入補助金でセルフレジの設備を導入。また、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金で急速冷凍機の設備を導入しました。導入した結果、会計ミス9割減、客単価2割UP、食材ロス4割減と成果に繋がっています。

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IT導入補助金

事業拡大を進める真っ只中に、コロナ禍に襲われる。会食機会が減少するなかで、仕出し弁当の需要は低下。自宅で食事を取る人が増えたことで、宅食用の杏亭の利用客は増加したが、慢性的な人手不足とお客様の待機時間の増加に頭を抱えていました。

同社は店頭で注文を受けてから調理をして提供するスタイルをとっています。土日のお昼時は2人の会計担当がレジにかかりっきりになるため、調理を行う人が足りず、お弁当の提供スピードが落ちて、多くのお客様がレジの前で待たされるケースが続発。

解決策として、”IT導入補助金”を活用して、セルフレジの導入をしました。

本来、セルフレジを導入する場合、投資コストは安価なものでも200万~300万円程度にのぼるため、個人店レベルで取り入れるにはハードルが高いものとされていますが補助金を活用して、課題解決に取り組みました。

レジにほぼかかりきりとなっていた従業員の調理に割ける時間が大幅に増えて、お弁当の提供スピードが上がり、お客様の待機時間は減少した効果が見られCS(顧客満足度)の向上に繋げることができました。

さらに、会計ミスを9割削減することにも成功に繋がり、従業員によるレジの打ち間違いや釣り銭の受け渡しミスがゼロになった成功例があります。

IT導入補助金”に関する詳細は別の記事で紹介しております!

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

さらなる業務効率化に向け、より大きな設備投資を行うため、”ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”に応募し、急速冷却冷凍装置を導入。

設備導入をすることで仕込みと調理を済ませて、そのまま食べられる状態の食材を急速冷凍すれば、味を損なうことなく保存できるメリットがあります。注文に応じて解凍・盛り付けができるようになったことで、食材ロスは3~4割も減少、また、生産性も大幅に向上できた結果となりました。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”に関する補助金詳細はこちらの記事で紹介しています!

導入ポイント

  • SDGs推進で副菜の食べ残し減少へ
  • 調理担当者の会計負担軽減でお客様の待ち時間を削減
  • セルフレジ&ネット注文で会計ミス9割減・客単価2割UP・予約増
  • 急速冷凍機の導入で食材ロス4割減・就業時間短縮

製造業 

株式会社クラモト氷業では長く氷の卸売業に携わってきたが、2016年に製氷業へと転身し、現在はかき氷の移動販売や氷を使ったスイーツの開発、さらには氷の海外輸出まで行っています。

同社は、”ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”を使ってコンピュータースケール(自動計量器)を新たに導入。

生産効率が向上した結果、海外や新業種進出、補助金などの活用で米国売上2期連続売上300%増へ達成を成し遂げる結果を出しています。

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ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

専務が更新するブログをきっかけに、現地法人より声がかかり、氷業として日本初の海外輸出を本格始動させました。

同社ではそれまで、人の手で氷の調整・袋詰を行っていました。しかし、日本とアメリカとでは求められる氷のサイズや分量が異なる事態が判明。そうした変化に対応しながら省力化を実現するため、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を活用して自動計量器を取り入れた経緯がありました。

機械を導入することで工程に要する時間が20%短縮する結果に繋がりました。一連の工程にはかつて5人の社員が携わっていましたが、設備投資を経て3人で完結させることが可能になりました。業務効率化によってトータルの氷生産量は2.5倍に増加。海外の氷需要の拡大にも応えられる態勢はこうしてできあがりました。

機会を導入することにより、無駄な作業をなくし、生産率を向上させる”省人化・省力化”につながった。

ポイント

  • 海外展開でコロナ禍の国内需要減衰をカバー
  • 補助金活用で生産性向上「5人の工程を3人に」
  • BtoBビジネスからIT利活用でtoCビジネスを本格化

建築 

建物設計、工事監理等に取り組む後藤建築設計事務所では、小規模事業者持続化補助金を使って機械装置の導入を行いました。機械装置の導入によって請け負える検査件数が増え、売上が増加。結果、経営基盤の安定化に繋がりました。

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小規模事業者持続化補助金

コロナ禍の影響で本来の業務が減少した一方、顧客の安全・省エネ・耐震に対する意識の変化を背景に耐震診断等の建築物検査や住宅性能評価といった資格を要する業務が増加。需要に応えるには作業効率化を通して検査時間を短縮する必要がありました。

省人化・効率化に資する機械装置類の導入によって各種検査に要する時間を大幅に短縮。迅速な対応が可能になったことで請け負える検査件数が増え、売上も増加。

併せて、現在の顧客リストをデータ化し、顧客のニーズやライフスタイルに合わせた提案を行えるように営業体制を強化。また空気清浄機・換気付エアコンの導入によって従業員が安心して働ける環境を補助金を使って整備しました。

別の記事で”小規模事業者持続化補助金”に関する詳細をまとめています。詳細はこちらから。

まとめ

省人化を進めるために、様々な設備や設備の導入を検討されている事業者に対して、政府や自治体は中小企業向けの補助金政策を検討しています。

補助金をうまく活用して、省人化を進めてみませんか?

今話題の補助金についても記事をまとめているので是非チェックしてみてください!