令和3年度補正で予算が増額された事業再構築補助金。中小事業者庁は2021年12月に今後の方針を発表。全5回の予定であった公募回数を8回まで延長し、第6回公募からは制度の「拡充」「見直し」を行うことが示されました。

 これらの変更点を正確に把握できれば、事業再構築補助金のより効果的な活用が可能となります。それでは、第6回公募からの変更点をご説明していきます。

拡充① 売上高10%減少要件の緩和

 事業再構築補助金の最初のハードルである売上高10%減少要件。第3回公募からは、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以 上減少していること」が要件に追加されましたが、第6回公募からはこの要件が撤廃されます。

出所:中小企業庁

「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみを満たせばOKとなり、“コロナ禍で売上が減少⇒現在は売上が回復済み”という事業者でも申請が可能になります。申請のチャンスが広がる大きな変更点ですね。

拡充② 回復・再生応援枠の新設

 コロナ禍での苦境が続く事業者向けに、「回復・再生応援枠」が新設されます。この枠の要件は、「①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年または2019年同月比で30%以上減少している」「②再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定している」のいずれかを満たすこと。  補助上限額と補助率は、次の表のとおりです。緊急事態宣言特別枠(第6回から廃止)と同様に、通常枠と比べて補助金額はコンパクトな反面、採択率が高い類型になるでしょう。補助事業に要する費用がコンパクトな事業者にとっては、狙い目の類型です。

拡充③ グリーン成長枠の新設

 第6回公募からの拡充で最も注目を集めているのが、グリーン分野への挑戦を後押しする「グリーン成長枠」です。日本は、カーボンニュートラルを目指し、経済と環境の好循環を作っていく産業政策である「グリーン成長戦略」を推進しています。こちらは2回目の採択が可能です。

 この中で、成長が期待される14分野を設定。これらの分野の課題解決に資する取り組みを、事業再構築補助金の枠組みを使って支援することが決まりました。

出所:中小企業庁

通常枠の要件と大きく異なる点は、次の5つです。
(1)売上高10%減少要件がない(コロナ禍で売上が下がってなくても良い)
(2)補助事業終了後3~5年で事業者全体または従業員一人あたり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画の策定が必要 (※通常の要件は年率平均3.0%以上増加)
(3)グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取り組みが必要
(4)2年以上の研究開発・技術開発または一定数以上の従業員への人材育成が必要
(5)補助率が低い一方で、補助上限額が大きい

「売上が減っていないから事業再構築補助金は関係ない」と認識していた事業者でも、要件を満たせばグリーン成長枠を活用できます。今後の事業発展の方向性がグリーン分野の課題解決と合致する場合は、ぜひ活用したいですね。

見直し① 通常枠の補助上限額の縮小

事業再構築補助金では、従業員規模によって補助金の上限額が決まっています。第6回公募からは、より多くの事業者を支援するために1社への補助上限額を縮小。次のように変更となります。(従業員100人以下の事業者は影響なし)

 特に影響が大きいのは従業員20人以下の事業者です。第5回公募に補助金額4,000万円で申請して不採択だった場合、第6回公募での再チャレンジは可能ですが、補助金額は2,000万円が上限となり、補助金活用の効果は半減してしまいます。 なるべく多くの補助金が必要な大型投資の場合には、何としても第5回公募で採択を目指したいですね。

見直し② 補助対象経費の制限強化

従来は「建物費」の経費区分で建物の新築工事が補助対象でしたが、第6回公募からは基本的に補助対象が既存の建物の改修工事のみに縮小。新築工事には、一定の制限が設けられることになりました。また、「研修費」も、補助対象経費総額の1/3が上限となり、従来よりも縮小されます。

 “新築の建物を補助対象にしたい”、“研修費を多めに計上したい”といった場合には、第5回公募での採択が欠かせませんね。

見直し③ 複数事業者等連携型の新設

 従来は事業者単体での申請のみを受け付けていましたが、第6回公募からは他社との連携(最大20社)による申請が可能となります。

事業再構築補助金の審査項目には、「単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。」という記載があります。効果的な連携は、事業成功の可能性だけでなく、事業再構築補助金の採択の可能性を高めることにもつながります。

見直し④ 事前着手の対象期間の見直し

 補助金を活用する事業は、採択・交付決定後の事業開始(発注)が一般的。ですが、事業再構築補助金では早急な事業再構築のため、特別に事前着手(交付決定前の発注)が可能となっています。

 この事前着手制度によって、第5回公募までの採択事業者は、“2021年2月15日以降に発注した設備投資や販促活動など”を遡って補助対象にできます。しかし、第6回公募からは、この事前着手を認める基準日が“2021年12月20日”に見直されます。

 つまり、“2021年2月15日~新たな基準日”の間に発注した設備等は、第6回公募からは補助対象外となってしまいます。既に開始(発注)している事業で補助金申請する場合は、第5回公募で採択されなければ、補助金獲得のチャンスが失われる可能性があります。

まとめ

 いかがでしたか?「6次公募からの変更点」を正確に把握することで、事業再構築補助金を最適な形で活用できます。また、ご説明したような変更点の影響により、補助金を受けるためには第5次公募での採択が必須という「後がない事業者」も発生してしまいました。

採択の可能性を高めるためには、補助金の経験・実績が豊富な専門家の支援が最も効果的です。補助金獲得に向けて、事業再構築補助金に精通したコンサルティング会社の活用を検討されてみることをオススメします。