新たな事業への挑戦を支援する事業再構築補助金。昨今の原油・物価の高騰を受けて、新たな特別枠の創設が決まりました。
どのような内容になるのかが気になる所ですね。それでは詳しく見ていきましょう。(当記事は令和4年5月7日時点の情報をもとに執筆しております)
原油価格・物価高騰等緊急対策枠の概要
ロシアのウクライナ侵攻や円安などの影響による原油・物価高騰への緊急対策として、岸田総理は事業再構築補助金を拡充し、新たに「特別枠」を設けることを表明しました。それが原油価格・物価高騰等緊急対策枠です。
国内では、「ガソリン価格の高騰」「新電力を中心とした電気料金の大幅値上げ」「小麦粉・パンといった食品の価格高騰」など、企業・消費者の両方にとって悪影響が出ています。
このような現状に国内企業が対応していくため、政府は4月にまとめた“緊急対策”に、事業再構築補助金での新たな特別枠を盛り込みました。
原油価格・物価高騰等緊急対策枠の要件は?
原油価格・物価高騰等緊急対策枠は、通常枠と同様に「売上が10%以上」または「付加価値が15%以上」減少していることが要件です。原油高等では、売上高以上に仕入れ原価が上がって利益を圧迫されることが多いため、付加価値での算定が多くなるかもしれませんね。
これらの減少が発生している期間は、原油高等の影響が出始めた2022年1月以降の売上等と、2019~2021年同月との比較になります。
なお、補助金額は従業員規模によって異なります。補助上限額は規模に毎に、1,000万円・2,000万円・3,000万円、4,000万円となっています。回復・再生応援枠と通常枠の中間のようなイメージですね。※下図は中小企業庁HPより抜粋

どのような取り組みが対象になる?
燃料高・物価高に対応するための事業再構築となると、現在の主要事業は変更せずに、新たな取り組みを行う「新分野展開」や、商品やサービスの製造方法・提供方法を変更する「業態転換」が当てはまりそうです。
具体的には、次のような取り組みが対象になるかもしれません。
①燃料高に苦しむガソリンスタンドが、自社で最新の自動車整備に参入
②パン屋さんが高騰する小麦を使わず、かつ付加価値の高いグルテンフリーのパンを試作開発し、店売りだけでなく通販を開始
③醤油メーカー・味噌メーカーが輸入大豆の高騰を受けて、醤油や味噌を使った高付加価値スイーツの生産販売に参入
④ウッドショックの影響で木材が高騰しているハウスメーカーが、デザイン性と快適性の高さを生かして宿泊業に参入
他にも様々なケースが対象になりそうですね。
一方、企業が電気料金の高騰に対応するために、太陽光発電システムを導入する、といった取り組みは汎用性が高すぎて対象にならないでしょう。(これが通れば太陽光発電で予算が埋まってしまいます)
公募の開始時期はいつから?
現在、事業再構築補助金は6次公募の最中にあります。締切は6月30日のため、新枠は間に合いませんでした。そのため、7月中に公募開始が見込まれる、「7次公募」から追加されることになっています。これまでのスケジュールを鑑みると、公募は概ね3ヶ月でサイクルしています。7次公募は、7月初旬に公募開始、9月下旬締め切りというスケジュールが有力でしょう。
なお、加点は6次公募から措置されます。原油価格・物価高騰等の経済環境により、2022年1月以降のいずれかの月の売上高(又は付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少している事業者は、加点措置を行われ、優先的に採択されます。
補助対象経費に変更はある?
事業再構築補助金には、グリーン枠を含めて多数の枠がありますが、枠によって補助対象経費が特に加わってはいません。
そのため、燃料高・物価高への対応枠についても、特別な費目が補助対象経費に加わる可能性は低そうです。これから計画策定を進める場合は、あくまでも従来どおりの補助対象経費を念頭に置いておくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?注目の新たな特別枠ですが、詳しい内容が公表されるまでには、まだ時間があります。とはいえ、綿密な事業計画の策定には時間がかかるもの。全てが明確になってから動き出すのでは、締切に間に合わない可能性もあります。
当社は、最新の情報収集と、それを踏まえた先手の支援を得意としております。事業再構築補助金の創設時にも速やかなスタートダッシュを切れました。
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