目次
新型コロナウイルス対策への規制緩和が緩くなり、インバウンド需要が高まりつつあります。一方で、対応するスタッフの数はまだまだ足りていないことが現実です。政府や自治体は宿泊事業者に対して補助金対策を発表しています。
しかし、図①のように宿泊業界では省人化対策への投資は積極的ではない結果となっています。
こちらの記事では、国内・海外では業務改善、人手不足に対する省人化対策をどのように行われているのか具体的な事例を交えて紹介していきます!
湯坊いちらく TENDO SPA & BREWERY
山形県天童温泉にある温泉旅館、湯坊いちらく TENDO SPA & BREWERYではIT導入補助金を活用してリブランドに成功した一例を持っています。
従来はインバウンドのリアルエージェント中心の団体向け旅館でしたが、個人予約の旅館に転換しました。このリブランドに挑戦する中で、単価のチェックや市場調査にITツールを生かしました。
リブランド後の効果を検証することが課題となりました。湯坊いちらくTENDO SPA & BREWERYはこれまでデータの分析や解析をほとんど行ってこなかったため、客単価はもちろん、宿泊客のセグメントさえ不明確でした。そこで、IT導入補助金を活用して導入したITツールの分析機能と解析機能を使用することで、リブランド前後の比較が簡単かつ明確にできるため、スタッフとの会議もより生産的になりました。数字で見える化されることで、スタッフのモチベーションも上がりました。必要なデータが手軽に取得できるのは、大変助かっています。
参考:SHUKUTEKI『湯坊いちらく TENDO SPA & BREWERY』
浅利観光株式会社
島根県松江市の松江アパートメントホテル内に、県内初の簡易宿泊施設「キュービックルーム」を開設した、浅利観光株式会社。従来のカプセルホテルのイメージを払拭し、明るく開放的な空間を目指しました。男女別フロアを設け、宿泊者同士が集い交流できる場を用意するなど、時代に合った新しいスタイルの宿泊施設を松江に誕生させました。
近年、松江市内に大手宿泊企業が参入し、新しいホテルの建設予定もある。競争が激化する中、差別化を図るためには地元ならではのきめ細やかなサービスの充実がポイントと捉え、”ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”を活用することを決めました。
補助金を活用して、セルフチェックイン機器を導入。チェックイン作業を機械化することで生まれた時間をフェイストゥフェイスのサービスにシフトしていくことが可能となりました。また、近年のインバウンド需要にもサービスを提供できるよう、英語や韓国語、中国語などの言語にも対応が可能です。端末を導入したおかげで、時間帯によって混雑していたチェックイン、チェックアウト作業がスムーズになりました。また、スタッフは質の高い丁寧な対応に取り組むことが可能となり、宿泊客からの評価の向上が期待されています。
宿泊施設の生産性・サービス品質の向上並びに新たな宿泊形態の提供につながる補助金の活用方法でした。
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金活用事例
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金についての記事は別途作成していますので併せてチェックしてみてください!→こちら
料理旅館 いち川
岐阜県にある料理旅館 いち川では、PMSとサイトコントローラー導入によるフロント業務と館内の情報伝達の効率化を図りました。
改善の背景として、紙による予約管理によって発生する作業の手間と時間、接客サービスの品質に影響するミスを削減する必要がありました。
予約管理を紙と手作業で行うことにより、以下の問題が発生していました。
(1)紙での作業による非効率の発生
新規予約の手書きでの記入、変更時の修正、調理場への転記資料の作成等、紙での予約管理に、作業の手間と時間を多くとられており、1 時間以上かかる日もあった。
(2)手作業による人的ミスの発生
調理場への変更事項の伝達漏れ、予約サイトでの処理忘れによるオーバーブッキングの発生等、手作業による人的ミスが発生し、お客様へのサービス低下にもつながっていた。
上記を解決するため”クラウド型の旅館管理システム”を導入したことで、サーバーなどの設置が不要で利用が可能となりました。
改善点は以下の通りです。
①紙への記入作業の削減
・予約台帳への記入、調理場への転記資料の作成などが不要になった。
・不要になった作業時間=約 30 分 / 日
②関連する作業の削減
・各予約サイトでの残室管理、予約変更時の調理場の紙の資料の修正、変更の口頭での伝達が不要になった。
・不要になった作業時間=約 30 分 / 日
③人的ミスの削減
・訂正忘れによる伝達ミスがなくなり、それによって発生する問題処理の対応がなくなった。
宿泊業界の補助金やDX事例などほかの記事でもまとめているので併せてチェックしてみてください!
Hotel Jen by Shangri-La(シンガポール)
シンガポールにあるHotel Jen by Shangri-Laでは、客室向けのサービスロボットを導入しました。
このロボットは、飲み物やルームサービス用の食べ物、貸出物などを人の代わりとなって運びます。お客様にとっては、部屋の外に出ることもなく、人に会わずに受け取りが可能です。ホテル側にとっては、省人化対策の1つとしてロボットと人の使い分けをしています。
Fly Zoo Hotel(中国)
中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングBABA.Nが経営する近未来型ホテル”Fly Zoo Hotel”が中国の杭州市にあります。”近未来型ホテル”として海外メディアからは報道されています。
”近未来型ホテル”の特徴として下記にまとめました。
・セキュリティーに顔認証技術が使われており、登録された宿泊者自身の「顔」を鍵の代わりにしてエレベーターや客室への出入りを可能とします
・身長1メートルほどのロボットが人の代わりとなり、客室に食事や新しいタオルを届けている。
・客室ではAI(人工知能)スピーカーに話し掛ければ電気やカーテン、エアコンの調整が可能
同社は「単純な仕事をロボットなどで無人化することで、サービスの向上に人手を充てられる」としています。また、ホテルの省人化対策として人手不足解消、人件費削減、業務効率、CS向上へつながります。
参考:テレ朝ニュース
まとめ
海外では人の負担を減らすことを目的とするロボットの導入や、AI技術に対する進化が大きく見られます。
日本でも、受付スタッフをロボットへ代わる”変なホテル”が代表的だと思われます。
省人化に対していDX化の推進、ロボットの使用、ITツールなどうまく活用していくことが今後のホテル存続のカギになりそうです。
補助金に関する記事は別途紹介していますので是非チェックしてみてください!!