10月11日に政府が月内に策定する経済対策に盛り込むことを発表した「省人化・省力化補助金(仮称)」について、以前の記事の投稿時点から発表された新情報を当記事ではお伝えしていきます。(以前の記事↓)
10月1日より適応開始となった”インボイス制度”への対策としても、ビジネス関係者にとっては気になる補助金のひとつではないでしょうか。
追加情報
追加の情報について日本経済新聞より発表があります。
10月16日付で「省人化・省力化補助金(仮称)」に関して下記のように説明をしています。
政府は中小企業のロボット導入など省人化に向けた設備投資を後押しする。月内に策定する経済対策に支援策を盛り込み、2023年度中の実施をめざす。人手不足に対応し、企業の生産性向上を通じて賃上げの拡大につなげる。
介護、飲食、宿泊といったサービス業や製造業など幅広い業種を対象とする。旅館での清掃や飲食店での配膳、製造工場での加工・検査に用いるロボットの導入などへの補助金の支給を想定している。補助金を活用できる事項を政府側がカタログ形式で示し、申請手続きを簡素にする。
経済産業省が補助金の新設を要求し、財務省が既存制度の要件変更で対応できると主張し、調整を続けている。
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA11C880R11C23A0000000/
支給対象者・設備投資
日本経済新聞によると、支給対象は介護、飲食、宿泊といったサービス業や製造業など幅広い中小企業であると述べています。
補助金対象とされるものは、生産プロセスや販売・事務作業の自動化に向けた設備投資が想定されています。ロボットなどが対象となります。
ここで注意するべきことは、IT導入とはまた別の補助金であることです。IT導入補助金に関して別の記事で紹介をしています。
政府は「IT導入補助金」と別に「省人化・省力化補助金(仮称)」の発表を行っています。ロボットのほかどのようなものが対象となるのか注目されています。
さらに政府はインボイスの定着に向けて相談支援体制の拡充なども併せて検討を進めています。
省人化を取組む背景とは
政府が省人化を推進する背景の一つとして”人手不足の解消”が大きいと考えられます。
他にも、”生産性の向上”や”国際競争力の向上”などがあげられ、これらの観点から日本政府は補助金などで省人化の設備導入を後押ししています。
人手不足に関する問題
日本の中小企業の全業種68%が人手不足であると内閣官房は発表しています。この水準はコロナ前(2019年)を上回る結果となりました。
特に、介護・看護、建設、宿泊・飲食の業種では人手不足が深刻です。多くの企業は採用増に頼っており、省人化投資を行っている企業は2割未満となっています。
内閣官房ホームページ:こちら
省人化が求められる業種
特に、運輸業・郵便業、生活関連サービス業・娯楽業、医療福祉、宿泊業・飲食サービス業で省人化投資を行う企業割合が低い統計が出ています。
業種別 省人化対策事例
省人化対策を取り入れるメリットとしていくつがあげられます。
・人手不足や人件費削減
・業務効率を改善することで売上げの向上、CS向上
・従業員による負担の削減、会計処理などのミスも防止
・効率化システムを導入することで、何日もかけて手作業で行っていた注文書作成や在庫管理といった作業が、わずか数時間で完了するといった事例もあり、省人化に大いに貢献 など
導入方法として、AIやロボットなどがあげられます。
具体的に省人化対策として業種別でどのような事例があげられているのか紹介したいと思います。
運輸業
佐川急便株式会社が2022年ドローンによる試験運用を始めました。離島での医薬品配送をドローンで運ぶというものです。2023年には東京都内での試験運用を行い注目を集めています。
物流業界では将来的に人手不足が懸念されています。ドローンを活用することで物流業界の人手不足を解消する狙いが見られます。また人手不足解消だけでなく、災害時の陸上輸送が困難になる際にも役立てると考え、将来の運用方法に幅が広がる見通しです。
佐川急便株式会社ドローン活用記事:こちら
サービス業
リコージャパン社は多数の商品を取り扱わなければならない営業社員の負担軽減および販売促進のため、後方から情報支援を行う役割を担うコールセンターを導入している。コールセンター業務にチャットボットを導入したことで、社内問い合わせを約5割まで削減し、省人化・省力化が実現した実例があります。
リコージャパンHP:こちら
メーカー
オムロン社は製造や物流業の省人化方法を”産業用ロボットの導入”と述べています。
人が行っていた作業を産業ロボットに代替させることで、省人化に繋げることができるということです。ロボットの活用方法について、製造工程や搬送工程など様々な工程に代用が可能となるため、省人化につながります。
ロボットを導入することで、多品種少量生産の現場において省人化と出荷量の倍増を実現することが可能です。さらに、作業者負担の軽減も期待されます。
オムロン公式サイト:こちら
まとめ
「省人化・省力化補助金(仮称)」のポイントは2つです。
①中小企業の人手不足に対応し、設備投資を後押しすること
日経新聞では介護、飲食、宿泊といったサービス業や製造業などの中小企業を対象にロボットなどの設備投資をすることで人手不足を解消すると述べています。
②インボイス制度への対応
時事通信社では、中小企業のインボイス制度不安を解消する目的である旨述べています。
追加情報が政府より発表次第、「省人化・省力化補助金(仮称)」に関する記事を更新していきます。