新型コロナによる売上減少からのV字回復を支援する事業再構築補助金。1兆円を超える予算規模の大型補助金で実施されており、全8回の公募が行われる超大型の補助金です。
 第7回公募からは「緊急対策枠」が設けられました。この枠での申請には、「足許で原油価格・物価高騰等の環境変化の影響を受けていることの宣誓書」の提出が必要です。
 とはいえ、新しい様式ですので、「何をどう書けば良いかわからない」という方も多いでしょう。

そこで今回は、この「足許で原油価格・物価高騰等の環境変化の影響を受けていることの宣誓書」の書き方について解説していきます。

緊急特別枠とは?

 まずは、緊急特別枠の概要をご説明します。
 「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(以下:緊急特別枠)」が正式名称であるこちらの類型は、令和4年度予備費から1,000億円を充てて予算措置されました。
 新型コロナの影響を受けながら、ウクライナ情勢の緊迫化などによる原油価格・物価の高騰等の経済環境の変化によって業況が悪化した中小企業等は世の中にあふれています。


 このような企業が行う、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した新規事業への進出による事業再構築を支援するのが「緊急特別枠」です。
 補助率は基本的に3/4と高く、補助金額も通常枠よりは低いものの、他の特別枠の概ね2倍という魅力的な類型となっています。

 他の枠との応募要件の大きな違いは、「足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している」という要件です。

 グリーン枠を除くすべての枠では、コロナ禍の前後(2020年4月前後)での売上減少が必要となっています。
 ところが、緊急対策特別枠では、2022年の指定月と2019~2021年の指定月を比べる形になっており、コロナ禍の影響が少ない企業でも申請できるチャンスが多くなっています。

 この緊急特別枠の申請に必要な書類が「足許で原油価格・物価高騰等の環境変化の影響を受けていることの宣誓書」です。
 それでは、書き方をご説明していきます。

足許で原油価格・物価高騰等の環境変化の影響を受けていることの宣誓書の書き方

 この緊急特別枠の申請に必要な書類が「足許で原油価格・物価高騰等の環境変化の影響を受けていることの宣誓書」です。

 具体的には、次の様式に記載することになります。(こちらは売上高が減少したケースの様式ですが、付加価値が減少した場合は別の様式になります)


 ご覧のとおり、次の3つの要素で構成されていますね。

 1.足許の原油価格・物価高騰等の環境変化への影響について
 2.売上高の減少について
 3.誓約日・企業情報・代表者情報
(様式に3.の記載はないため便宜上の番号です)

それでは、簡単な順番からご説明していきます。

●3.誓約日・企業情報・代表者情報
 この項目は、全く難しくありませんね。日付は電子申請を行う日を入力すればOKです。第7回公募の開始後の日付(7月1日)~電子申請日の間でも問題はないでしょう。
 ただし、日付が当誓約書の公開前の日付(~6月30日)であったり、電子申請日よりも未来の日付であれば時系列がおかしくなりますので、ここは注意が必要ですね。

●2.売上高の減少について
 3.と同じく、こちらも難しくありません。今年に入ってからの売上を過去の売上と比較しましょう。
 具体的には、まず次の情報を用意します。

①今年の1月~8月の月ごとの売上高
②2019年・2020年・2021年の1月~8月の月ごとの売上高

 これらを並べてみて、2022年のいずれかの月が、過去の同月と比較して10%低下しているか?を探してみましょう。
 多少売上に変動がある業種でしたら、どこかの月で条件にあう可能性が高いです。(原油価格高等の影響を受けたことが前提です)

●1.足許の原油価格・物価高騰等の環境変化への影響について
 最も内容に苦労しそうなのが、こちらの項目ですね。こちらの枠に入る文字数をカウントしてみました。

 結果は、概ね330文字でした。事業計画書の概要は100文字でまとめますから、その約3倍の分量といえば結構なボリュームですね。

 とはいえ、文字数で適否を判断されるものではありません。あくまでも客観的に見て、合理的な理由があると判断できるのか?という点が大切です。
 それさえ記載があれば、100文字でも200文字でも問題はないでしょう。

 それでは、緊急特別枠で記載すべきポイントを見ていきましょう。
 基本的にはこれらの要素を念頭に、自社に当てはまるものを記載していけば、しっかりと「原油価格・物価高騰等の環境変化の影響」を説明できるはずです。
 具体的な書き方を事例を踏まえて見ていきましょう。

①製造業
 当社は、プラスチック成形用の金型を製造している。この度の原油価格高の影響により、当社の主要顧客であるA社は、コストダウンのために金型の内製化を開始。当社を含めた外注の削減を進めている。このため、当社への金型製作の発注も減少し、2022年7月の売上は20%も減少してしまった。
 また、原油価格高によって当社の燃料費も大きく増加。電力料金も値上がりが続いており、金型の製造コストが増加したことで、営業利益が圧迫されている。従来は電気料金が安価であった新電力も値上げ・新規受付の停止などを行っており、コストダウンに向けた対策が難しい状況にある。

②飲食業
 当社の扱う食材のうち、海外からの仕入れによるものは全体の30%を占める。ウクライナ情勢の影響による需給バランスの変化による海外食材の高騰、円安による輸入価格の高騰などを受け、原価率が急激に上昇。全メニューのうち約30%を5%~10%ほど値上げせざるを得ない状況となった。
 この値上げの実行後、割高感を感じたお客様の来店が減少。注文点数の減少によって、客単価も低下する事態となり、当社の売上は大きく減少した。また、包装資材や容器といった備品の値上がりも、テイクアウト品が当社の利益を大きく圧迫しており、利益率の改善が見通せない状況となっている。

③建設業
 当社の扱う建築資材は、高騰を続けている。ウクライナ危機・コロナ禍などの影響で、製材・合板・鉄鋼などは大きく値上がりしている。特に合板に至っては、2020年と比較して2倍に迫るほど高騰しており、当社の収益性を大きく低下させている。
 このような中で利益を確保するためには、原材料の高騰を価格に反映させることを余儀なくされた。しかし、価格転嫁による割高感から、売上が減少しており、経営は非常に厳しい状況に追い込まれている。
 加えて、原油価格の高騰により、車両・重機の燃料費が大きな負担となっている。作業員の移動や建築資材の運搬、現場での工事に燃料は不可欠であり、これも利益を圧迫する大きな要因となっている。

 記載例は以上です。原油高・物価高などの影響をしっかりと記載することが大切です。
 次に緊急対策枠特有の追加書類を見ていきましょう。

緊急対策枠の追加書類

 緊急対策枠では、次の2書類が追加で書類が必要になります。
 まずは、今年の売上が過去よりも減っていることを示す書類です。

①足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降 の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の売上 高と比較して10%以上減少している(又は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意 の3か月の合計付加価値額が2019年~2021年の同3か月の付加価値額と比較して15%以上 減少している)ことを示す書類

★法人の場合
 (1)申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え(1枚)
(2)(1)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)
(3)受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
(4)申請に用いる任意の3か月の売上がわかる確定申告書別表一の控え(1枚)
(5)(4)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)

★個人事業主の場合
(1)申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書第一表の控え(1枚)
(2)(1)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある 方は、その控え(両面)
※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類
(3)受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
(4)申請に用いる任意の3か月の売上がわかる確定申告書第一表の控え(1枚)
(5)(4)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある方は、その控え(両面)
 ※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類

②足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることの宣誓書
 こちらは先ほど書き方をご説明した書類です。応募申請時には忘れずにアップロードしましょう。

 ①は細かい注意点なども多いので、申請前に余裕をもって公募要領でご確認ください。当社に申請支援をご依頼いただければ、各種書類の作成・準備も全面サポートいたします。

まとめ

 いかがでしたか?緊急特別枠は、便利で費用対効果の良い枠ですが、独自のルールや必要書類などがあります。
 このルールに沿った書類を提出できない場合は、事業計画の内容に関わらず、採択されることはありません。

 このような落とし穴を避けるためには、事業再構築補助金に精通したコンサルタントとの連携が最も効果的です。
 当社にご相談いただければ、お客様の業種に精通した実績豊富な中小企業診断士などのコンサルタント補助金採択・事業の成功を力強くサポートします。
 ぜひお気軽にお問い合わせください。