中小企業の後継者不足は深刻な状態です。経済産業省の調査では、70歳以上の高齢の経営者はなんと245万人に上り、そのうち127万社は「後継者が決まっていない」と回答しています。
 従来は事業承継といえば「親族内承継」が一般的でしたが、近年では「役員・従業員への承継」や、M&Aの活発化による「第三者への承継」も増えてきました。ただ、事業承継はお金がかかるもの。これがハードルになり進まないことも多いです。
 そこで利用したいのが、事業承継に関する費用の最大2/3の補助を受けられる「事業承継・引継ぎ補助金」です。それでは詳しく見ていきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金の概要

 この補助金は、「事業承継をきっかけに新たな挑戦をする企業」「事業再編・統合による経営資源の引継ぎ」を支援するものです。
 申請の類型は3パターンに分かれており、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」で構成されます。
 それでは、類型ごとの概要と補助対象経費補助率についてご紹介していきます。

経営革新

 事業承継や、M&Aを実施し、さらに経営革新等への挑戦に要する費用を補助します。ここでの「M&A」とは、事業再編・事業統合・経営資源を引き継いで行う創業を指し、「経営革新等」は、事業再構築、設備投資、販路開拓、経営統合作業(PMI)などを指します。なお、補助の具体的な内容は、次のとおりです。

  • 補助率:2/3以内
  • 補助上限:600万円
  • 補助対象経費:設備投資、人件費、店舗・事務所の改築工事費用 等

 補助上限額は、600万円。補助金としてはとかなり大きな部類となっています。特に設備投資や改築工事が対象となるのは、攻めに転じる事業承継には最適ですね。
 ※2022年4月26日現在では「経営革新」のみ公募要領が未公表であり、前年度の制度をベースにご紹介しております

専門家活用

 M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、M&Aに係る専門家等の活用費用を補助します事業を引き継ぎたい買い手側、事業を第三者に承継したい売り手側、どちらも支援の対象です。なお、補助の具体的な内容は、次のとおりです。

  • 補助率:2/3以内
  • 補助上限:600万円
  • 補助対象経費:謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料・廃業

 なお、補助事業期間内に引継ぎが実現しなかった場合には、補助上限額が300万円に縮小されるので注意が必要です。逆に考えれば、引継ぎが実現しなくても最大300万円の補助があるということですね。
 第1回公募のスケジュールは次のとおりで、計4回の公募が行われる予定です。


廃業・再チャレンジ事業

 再チャレンジを目的として、既存事業を廃業するための費用を補助する類型です。事業をクローズする際に発生する様々な費用が補助対象となっており、とても使い勝手の良い類型です。なお、補助の具体的な内容は、次のとおりです。

  • 補助率:2/3以内
  • 補助上限:150万円
  • 補助対象経費:廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約日・移転費用・移設費用

 なお、補助金額の下限は50万円です。補助率が2/3以内ですので、75万円以上を要する事業が補助対象になります。補助事業の期間は、交付決定日から2023年1月31日までとなっています。
 また、こちらの「廃業・再チャレンジ事業」の特徴は、「経営革新事業」「専門家活用事業」との併用申請が可能である点です。事業のクローズを伴う取り組みの場合は、ぜひ利用したい類型ですね。

過去の採択率

 令和3年度当初予算での事業承継・引継ぎ補助金では、次のような採択率でした。

  • 経営革新=75件/136件(55%)
  • 専門家活用=236件/270件(87%)

 近年の補助金の採択率は、概ね40%~60%の間が主流となっていますので、かなりチャレンジしやすい補助金と言っても良いでしょう。
 ただ、「この補助金を使うとまだ決まっていない事業承継が周囲に公表されてしまうのでは?」という不安もあるでしょう。ですが、そこはご安心ください。中小企業庁もこのことは理解しており、デリケートな案件が多い専門家活用型の採択者は非公表となっています。

このような中小企業企業にオススメ

 事業承継・引継ぎ補助金は、次のいずれかに当てはまる企業に特にオススメです。

  • 経営資源の引継ぎ先を探している
  • 事業再編・事業統合を検討している
  • 補助金で事業承継・廃業時のコストを抑えたい
  • 上記を信頼できる専門家とともに進めたい

 この制度を活用することで、コストを抑えながらの事業承継・引継ぎが可能となります。タイミングが合うようでしたら、ぜひ利用したいですね。

まとめ

 いかがでしたか?事業承継・引継ぎ補助金はとても便利な制度です。ただ、「この補助金があるから事業承継しよう!」とはなりにくいのが現実でしょう。
 その一方で、以前から事業承継をご検討されていた企業様は、この補助金を上手く活用することで、コストを抑えた事業承継が可能となります。ぜひ、活用をご検討されてはいかがでしょうか?
 当社所属のコンサルタント事業承継のフィールドでの支援実績が豊富ですので、お気軽にお問合せください!