観光庁は2024年1月22日に、コロナ禍が収束しつつある現在、一部地域で問題視されている「オーバーツーリズム」、つまり観光客が一か所に押し寄せることにより起こる過度な混雑やマナー違反等、が目立つ地域において対策を講じるため、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」の事業者の公募を開始しました。
本記事では、事業の概要、事業スキーム、補助対象事業、補助対象経費、事業スケジュール、申請方法など、詳しく解説していきます。
事業の概要
国内外の観光需要が急速に回復し多くの観光地が賑わいを取り戻す中、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念も生じている状況であり、適切な対処が必要。
観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立しつつ、持続可能な観光地域づくりを実現するには、地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じることが有効であり、こうした取組に対し総合的な支援を行う。
観光庁は当事業の事業者説明会において、「『未然防止・抑制』がポイントであり、制限をするだけがこの事業の趣旨ではない」と述べています。また、「地域によって適切な対策は異なる。事業の趣旨に沿っていれば、幅広い対策を受け入れる予定」とも表明しています。
事業スキーム
事業の申請型として、「➀先駆モデル地域型」と「➁一般型」があります。それぞれ申請要件、補助率、補助額等が異なりますので、よく確認の上申請準備をしましょう。
➀先駆モデル地域型
先駆モデル地域型には「➀-A 先駆モデル地域型(通常実施)」と「➀-B 先駆モデル地域型(先行実施)」の2種類があります。
共通事項
対象地域 | 〇地方公共団体を中心とした地域住民を含む地域の関係者による協議の場※1において、現状・将来像の分析に基づく計画を策定し、計画に基づき取組を実施する地域 〇協議の場において課題及び影響を把握し、地域が目指す観光地としてのあり方に関する議論を行った上で、具体的な計画を策定し、計画に基づき関係者が連携し、具体的な取組を実証・実装ベースで実施 〇我が国のオーバーツーリズム未然防止・抑制対策として、先駆的であり、他地域においても横展開可能となるモデル的な取組を目指す |
取組範囲 | 〇様々な課題のうち、原則として複数のタイプに係る対策を講じる取組を想定 〇課題と対策の検討に当り、観光地として地域のあるべき姿に向けたビジョンの検討を行う |
申請主体 | 地方公共団体 |
補助率 | 2/3 |
補助上限 | 8,000万円(補助対象経費上限1.2億円)※2 補助下限額なし |
※1「協議の場」の要件については、公募要領4ページ(こちら)をご確認ください。
※2 同一内容の事業において、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)が重複する事は認められない。(併用不可)
➀-A 先駆モデル地域型(通常実施)
- 地域の関係者による協議(地域住民の参画や意見反映・聴取の実施を含む)の場を設置し、観光地としての現状や将来像の分析に基づき、具体的な対策に係る計画を策定
- 計画に基づき、我が国の各地域におけるオーバーツーリズムの未然防止・抑制対策として先駆的な取組を実施
事業の流れ
➀-Aの場合、地域採択後に対策計画の策定を行い、審査を経て計画の採択を受けます
➀-B 先駆モデル地域型(先行実施)
上記の➀-Aの要件に加え、下記の要件を有している場合は、地域の申請・採択の段階で、対策計画についても一括して審査を受けることも可能です。
- 申請時において、地域における協議の場を経て策定された観光地としての現状や将来像の分析に基づき、具体的な対策に係る計画を有している
- 採択後、早期に具体の取組実施に着手したい
事業の流れ
➀-Bの場合、地域採択と計画採択の審査・採択を同時に受けます
➁一般型
対象地域 | 〇地域の観光関係者が連携し、地域で生じている又は発生が想定される課題の未然防止・抑制を図るため、具体的な取組を実施する地域 〇計画の策定や取組の実施に当たっては、地域の関係者が連携し、課題及び地域への影響の把握、現状・将来像の分析を踏まえた上で行う |
取組範囲 | 様々な課題のうち、一つまたは複数のタイプに係る対策を講じる取組を想定 |
申請主体 | 地域公共団体・DMO・民間事業者等 (DMO・民間事業者等は、地方公共団体の連携の同意が必要) |
補助率 | 1/2 |
補助上限 | 5,000万円(補助対象経費上限1億円)※1 補助下限額なし |
※1 同一内容の事業において、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)が重複する事は認められない。(併用不可)
補助対象事業
➀調査・分析
現状の把握・分析や新たな制度導入の検討に係る費用
例
・人流把握・予測のための調査分析費
・新たな制度導入の検討にあたっての専門家意見聴取に係る経費
・取組の効果検証費 等
➁対策計画策定
協議会の運営や対策計画策定にかかる費用
例
・協議会の開催にあたっての会場費
・住民の意見を反映するためのアンケート実施に係る経費 等
➂受入環境の整備・増強
観光客が集中する地域における交通手段や観光インフラの充実に係る費用
例
・ポイ捨て防止のためのICTを活用したごみ箱設置費
・渋滞緩和のためのパークアンドライド駐車場整備費 等
➃需要の適切な管理
実情に応じた入域管理や異なる需要に対応した運賃設定の促進等に係る事業
例
・観光客の過度な集中を抑制するための予約システム導入費
・観光税や入場料導入に係る経費 等
⑤観光客の分散・平準化
空いている時間帯・時期・場所への誘導・分散化に係る事業
例
・混雑を可視化するためのウェブサイトやアプリ開発費
・早朝プログラムなどのコンテンツ開発費 等
⑥マナー啓発
マナー違反の防止や旅マエ・旅ナカにおける啓発に係る事業
例
・マナー啓発のための看板・ポスター設置等のプロモーション費用
・外国人観光客へのマナー啓発のための多言語化対応費 等
⑦地域住民と協業した観光振興
観光の意義や効果に係る地域住民の理解・認知向上に図る事業
例
・学生などの地域住民向け観光教育に係る経費
・観光施設と住民間の交流プログラムの造成費 等
補助対象経費
補助対象経費の考え方
・本事業の対象は、「オーバーツーリズム」の未然防止・抑制に効果が期待される事業に係る経費」です
・オーバーツーリズムの未然防止・抑制への効果が薄い取組は補助対象外となりますのでご注意ください
<NG例:補助対象外経費>
- オーバーツーリズムの未然防止・抑制につながらない単なる整備費や広告宣伝費、物品購入費など
- 本事業の事業期間外に発生する経費(対象案件として選定される前の経費及び事業期間終了後に掛かる経費)
- 同一事業の経費において、国(独立行政法人含む)より別途補助金が支給されている場合
- 不動産の購入にかかる費用
- 特典としてのポイント付与や料金割引の補填
- 補助対象外法令又は条例等において義務化されている設備等の導入に係る工事費
- 親睦会に係る経費
- 振込手数料
- 国の支出基準を上回る謝金費用
事業スケジュール
申請型➀➁共通のおおまかな事業スケジュールは以下の通りです。
- 公募開始:2024年1月25日
- 公募締切:2024年2月15日12:00
- 採択:2024年3月中旬頃から順次
- 交付申請:2024年3月中下旬頃から順次
- 事業完了:2025年2月末
- 2次公募予定中(詳細は未定)
申請方法
申請方法は以下の2種類がございます。
- 指定のメールアドレス※宛にメールにて提出書類を添付の上申請
- ※メールアドレスは観光庁当該HP(こちら)をご確認ください。
- 留意事項:特設Webサイトが開設したら、申請フォームで改めて申請をする必要性あり
- 令和6年2月上旬開設予定の特設Webサイトの申請フォームより申請
- 特設WebサイトのURLは開設後に観光庁HP(こちら)にて案内予定。
申請書類
必要な申請書類は、申請の類型によって異なります。詳細は観光庁当該HP(こちら)をご確認ください。
審査基準
審査方法
有識者を含む委員会において、右記の項目に基づいて総合的に評価を行った上で採択を行います
審査の観点
A)地域の現状が適切に把握できているか
B)適切な実施体制となっているか
C)地域の課題に応じた取組であるか
D)具体性・計画性を伴い、十分な効果が期待できる取組となっているか
E)持続可能な観光地域づくりに寄与するか
なお、先駆モデル地域型の審査においては、上記の他、以下の観点からも審査します。
F)取組の構想は新規性又は独自性を有しているか
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