目次
- 1 大規模成長投資補助金とは
- 2 大規模成長投資補助金の事業スキーム
- 3 大規模成長投資補助金の補助対象事業者・補助事業の要件
- 4 大規模成長投資補助金の補助率と補助上限金額等
- 5 大規模成長投資補助金の補助対象経費
- 6 大規模成長投資補助金の補助対象となる取り組み例
- 7 大規模成長投資補助金のスケジュール(次回未定)
- 8 大規模成長投資補助金の提出物
- 9 大規模成長投資補助金の加点制度は?
- 10 大規模成長投資補助金は利益が出ると返金必要?
- 11 大規模成長投資補助金の採択率は?
- 12 大規模成長投資補助金はどんな企業・取り組みが採択されやすいか?
- 13 大規模成長投資補助金で不採択となったら?
- 14 補助金入金時の税制対応(圧縮記帳)
- 15 まとめ
- 16 大規模成長投資補助金の当社支援体制・報酬
令和5年度補正予算において、3,000億円という予算規模で創設された大規模成長投資補助金(中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)。新たに、令和6年度補正予算において、3,000億円の予算が追加され、2025年2月頃に3次分開始が見込まれます。
「大規模の投資(投資額10億円以上)」が必要であるため、活用できる事業者は限られるものの、最高50億円の補助金を得られる魅力的な制度です。それでは、制度の詳細について詳しく解説していきます。
当社では二次の支援先企業様の採択率が100%となりました!
次回に向けた相談や不採択企業様向け相談受付中ですのでお気軽にご相談ください。
大規模成長投資補助金とは
大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小企業の大規模な投資を支援する制度です。これらの企業が人手不足等の経営課題に対応し、「企業の成長」と地方における「持続的な賃上げ」を実現することを目的としています。
以下前回資料ですが、次回2025年も同様と推定しております。
大規模成長投資補助金の事業スキーム
国(経済産業省)が民間企業等(事務局)に補助金を託し、事務局が公募・採択事業者の選定を行い、採択された中堅・中小企業に補助金を交付します。採択事業者の選考については、経済産業局が所管するエリアごとに審査委員会を設置する見通しです。
なお、事務局を務めるのは、株式会社博報堂、TOPPAN株式会社です。いずれも補助金運営に精通していますので、採択後の事業遂行におけるバックアップ体制は万全と考えて良いでしょう。
次に、補助対象事業者と補助事業の要件をご紹介します。
大規模成長投資補助金の補助対象事業者・補助事業の要件
補助対象事業者
補助対象事業者は、中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等)です。
※一定の要件を満たす場合、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式:最大10社)も対象となります。
※みなし大企業や実施する補助事業の内容が農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は補助対象外。
補助事業の要件
補助事業の要件は以下の通りです。
① 投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
② 賃上げ要件(補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上)
※持続的な賃上げを実現するため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。事業者名は公表しない。)。
※賃上げ要件の詳しい計算式や事例等は、概要資料(こちら)をご確認ください。
大規模成長投資補助金の補助率と補助上限金額等
必要な投資規模、補助率・補助金額は次のとおりです。
- 投資規模:
- 10億円以上(これを下回ると応募できません)
- 補助率:
- 1/3(中小企業・中堅企業いずれも補助率は同じ)
- 補助上限額:
- 50億円
- 採択件数:
- 予算総額は3,000億円のため、10億平均の場合は、300社
大規模成長投資補助金の補助対象経費
補助対象経費は、建物費(拠点新設、増築等)、機械装置費(器具・備品含む)、ソフトウェア費、外注費、専門家経費の5項目です。主に使ってよい経費は、建物費(拠点新設、増築等)、機械装置費(器具・備品含む)、ソフトウェア費の3経費です。
詳細は以下の通りです。
1. 建物費
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費(単価100万円(税抜き)以上のものに限る)
備考
・生産設備等の導入に必要な「建物」、建物と切り離すことのできない「建物附属設備」、及びその「付帯工事(土地造成含む)」は対象
・建物の単なる購入や賃貸、土地代、建物における構築物(門、塀、フェンス、広告塔等)、撤去・解体費用は対象外
2. 機械装置費
① 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費(単価100万円(税抜き)以上のものに限る)
② ①と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
備考
・「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」は対象
・「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」は対象外
・事業者とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能
3. ソフトウェア費
① 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費(単価100万円(税抜き)以上のものに限る)
② ①と一体で行う、改良・修繕に要する経費
備考
・「パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用」は対象外
4. 外注費
補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費
※4及び5の合計額は、1~3の合計経費未満
備考
・「成長投資計画の作成に要する経費」、「外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用」、「外部に販売・レンタルするための量産品の加工を外注する費用」は対象外
5. 専門家経費
補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※4及び5の合計額は、1~3の合計経費未満
備考
・本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費が対象
・「成長投資計画の作成に要する経費」は対象外
次に、想定される具体的な活用事例をご紹介します。
大規模成長投資補助金の補助対象となる取り組み例
大規模成長投資補助金は、「労働生産性の抜本的な向上と規模拡大」を押し進めることを支援する制度であるため、次のような取り組みが補助対象になると考えられます。
工場の新設
製造業を営む事業者による工場の新設。このケースが最も多いのではと思われます。ただし、一般的な工場よりも生産効率が高い工場であることが不可欠です。
そのためには、工場の効率的なレイアウト設計はもちろんのこと、IoTやAIなどを用いて「自動化・省力化された設備」の導入が必須となるでしょう。
物流センターの新設
卸売業を営む事業者や、大規模の製造業による物流センターの新設。このケースも大規模成長投資補助金を使いやすいでしょう。Amazonの物流センターに代表されるように、センサー・自動搬送ロボット・AI・IoTにより、物流センターでの商品格納・出荷の自動化は急速に進化しています。
Amazonのような規模・自動化レベルとはいかないまでも、物流センターは「大規模投資による省人化」を実施しやすい業種です。全額自己負担での投資はハードルが高いですが、補助金の活用で投資額の1/3が補助されることを加味すると、チャレンジする価値は相当に高いと言えます。
既存拠点への大規模設備投資
現在稼働している工場の生産ラインや物流センターに、「レイアウト変更」や「最新設備の導入」を行うことによって拠点を再構築し、自動化・省力化を実現する取り組みも補助対象になるでしょう。このケースですと、新拠点の建設という資金的・期間的なハードルを大きく下げられるため、上記の2パターンよりも挑戦しやすくなります。
ただし、こちらのパターンでも「高度な自動化ラインの構築」「10億円以上の投資規模」が不可欠である点には注意が必要です。
大規模成長投資補助金のスケジュール(次回未定)
- 3次公募は2025年2月と想定しています
※スケジュールイメージ(1回目のスケジュールです)
大規模成長投資補助金の提出物
・成長投資計画書(様式1)
・成長投資計画書事業
・計画書別紙事 ローカルベンチ マーク (様式3)
・決算書等(3期分)
・金融機関から成長投資計画の確認
大規模成長投資補助金の加点制度は?
今回の加点制度は以下の2点のようです。1つ目の地域未来牽引企業は取得まで時間がかかるため、2か月程度準備が必要です。後者は10分程度で取得が可能です
・地域未来牽引企業
・パートナーシップ構築宣言登
・金融機関の確認書発行およびプレゼンへの同席
大規模成長投資補助金は利益が出ると返金必要?
通常の補助金では、補助金を受けた事業で利益が出ると補助金の交付額を上限に利益を返金しないといけませんでした。
当制度では、収益納付制度がありません。
大規模成長投資補助金の採択率は?
採択率は、第一次公募15%、第二次公募9%と言う結果となりました。
〇一次公募
・公募736件→プレゼン審査254件→最終採択109件
(書類採択率35%・プレゼン採択率40%・最終採択率15%)
・採択業種は、製造業と物流業のみ
・採択者の総補助金額は1,780億円(二次は1千億円程度の予算のため、二次採択率は8%前後(60社前後と推定))
・採択者の平均投資予定額は約54億円、平均目標賃上げ率の中央値は4.3%
採択企業例は以下の通りです(数値が取得しやすい上場企業をピックアップ)
ボトムは従業員100~200人台となっております
〇二次公募
・公募605件→プレゼン審査220件→採択55社
(書類採択36%・プレゼン採択25%・最終採択率9%)
・業種別には以下の構成となり、1回に比べ幅広い業種が採択されています
製造業: 37件 (67.27%)宿泊: 6件 (10.91%)食品: 3件 (5.45%)物流: 2件 (3.64%)リサイクル: 2件 (3.64%)建設: 2件 (3.64%)飲食: 1件 (1.82%)映画・娯楽: 1件 (1.82%)包装: 1件 (1.82%)
二次申請数は一次に比べ140社程度少なくなっており、採択者の高い一次の採択者指数を見て諦められたのかもしれません。ちなみに二次のKPIは以下の通りとなり、「8 年平均従業員目標賃上げ率」が大きく向上し5.5%(前回4.3%)となりました。
大規模成長投資補助金はどんな企業・取り組みが採択されやすいか?
どのような企業が採択されやすいかと言う視点では、以下のような企業がど真ん中と思われます。
- 成長産業である製造業・物流事業者(特にAI・半導体・脱炭素・防衛・宇宙などの成長産業であり国策セクター)※不動産業の賃貸マンションも対象とはなりますが、採択のされやすさでは成長産業である製造業が高いと想定しています
- ビジョン・戦略が一般論ではなく、高収益構造が構築でき、優位性がある事
- 従業員100人以上の地域の雇用を支える企業(総数で見たときに賃金増加インパクトが大きい企業)
- 総売上の最低20%以上に寄与する事業である
- 新たに15%超の雇用を創出する(既存事業の総売上の20%向上だとすると、従業員数は15%程度は増加(既存従業員が100名だと15名超の新規社員雇用))
- 労働生産性のCAGR4,5%前後の計画(必須は約3%)
- 先端technologyが使われるなど生産性の伸びが高い
- 財務基盤良好(スコアA)
- 地域経済牽引事業
※経済産業省は、「ものづくり補助金」や「持続化補助金」などを通じて中小企業・小規模事業者を支援していますが、これからは地域雇用への波及効果が高い「中堅企業の支援」についても積極的に進めていく方針としています。
大規模成長投資補助金で不採択となったら?
二次採択企業様の相談を多くいただきますが、主に以下項目についてのフィードバックが多くあります。
(書類選考で不採択となった場合は、論点が異なるため、ご相談ください)
■よくあるフィードバック例
戦略面:内外を熟慮した一段上の展開ではなく、これまでの延長線上の取り組みに見える。延長線上であっても、AIなどを組み合わせて生産性を大きくあげるなど一段上のビジネスモデル構築による成長の歯車化が見えると理想
競争優位性:大手が入ってくる余地があり、かつ、大手参入で負けてしまうように見えるため、大手比較でも優位性を持つ。比較表を作成し、他社との優位性を整理されることをおすすめします。
賃金のKPI:総支給額の額が小さい事が多いです。特に補助事業を小さく絞った場合、寄与する人数が少なくなるため、当制度の主コンセプトの賃上げの寄与度が小さい
実現可能性:その事業が上手くいくためのKSFを中心に、具体的に揃っている事(揃う事)を記載する。表現によって、可能性or確実か、明確にする
補助金入金時の税制対応(圧縮記帳)
当補助金では、最低3億以上の補助金が交付されるため、税制の対応が必要不可欠となります。税制対応方法としては、複数ありますが、まずは、圧縮記帳をご検討くだささい。
圧縮記帳とは、固定資産を取得するために国や地方公共団体から受け取った補助金等について、税務上の特例処理を適用することを指します。この処理を行うことで、補助金等で取得した固定資産の減価償却費の計算が調整されます。
以下に、補助金の圧縮記帳の概要を説明します:
- 通常の処理:
- 補助金等で固定資産を取得した場合、取得価額から補助金等を控除した金額を固定資産の取得価額とします。
- この取得価額をもとに減価償却費を計算します。
- 圧縮記帳の処理:
- 国や地方公共団体からの補助金等で取得した固定資産について、圧縮記帳を適用することができます。
- 圧縮記帳を行う場合、補助金等に相当する金額を固定資産の取得価額から直接控除するのではなく、別途「圧縮記帳積立金」等の勘定科目で処理します。
- 圧縮記帳を行った固定資産の減価償却費は、圧縮記帳前の取得価額で計算します。
- 圧縮記帳のメリット:
- 圧縮記帳を適用すると、補助金等に相当する金額だけ、将来の減価償却費が多く計上されることになります。
- その結果、圧縮記帳を行った事業年度の課税所得が減少し、税負担が軽減されます。
- 圧縮記帳の要件:
- 国庫補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合に適用できます。
- 圧縮記帳を行うためには、一定の手続きが必要です。
圧縮記帳は、税務上のインセンティブの一つであり、補助金等で取得した固定資産の税務処理において、企業の税負担を軽減するための特例措置です。ただし、適用には一定の要件があるため、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたか?1・2回が終わり次回3回目が確定しました。多額の資金を要する新拠点の建設や大規模な設備投資をお考えの事業者様とっては、最大で50億円の補助を受けられる大きなチャンスです。これを獲得できれば、新拠点等の損益分岐点を大きく引き下げることが可能となり、資金繰り面でも大きな恩恵を受けられます。
当補助金はこれまでと異なり「コンサルファームの資料作成ノウハウ×経済産業省の補助金に精通した高度な知識とノウハウ」が必要です。弊社は、グローバルユニコーンを支援する戦略ファーム出身者・会計士・中小企業診断士が在籍し、経済産業省の補助金の獲得実績が豊富です。
対応可能な件数には限りがありますので、大規模成長投資補助金にご興味がお有りの事業者様は、お早めにお問合せください。
大規模成長投資補助金の当社支援体制・報酬
〇支援内容
〇申請時
①現状分析~計画作成
②添付資料用意
③加点制度の取得
④銀行調整(金融機関確認書をもらうとポイントアップします)
⑤プレゼン準備
‐プレゼン原稿の共同作成
‐プレゼンの模擬実施
〇報酬
・着手金0~80万円
・採択時報酬額1.5%~3%
〇まずは、採択可能性の診断のため「無料相談」フォームからご相談ください