目次
こちらの記事では11月10日に閣議決定された令和5年度補正予算案に掲載がある中小企業の環境整備、人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援対策についてまとめて紹介します。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
事業目的
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方においても持続的な賃上げを実現する。
事業概要
中堅・中小企業が、持続的な賃上げを目的に、足元の人手不足に対応するための省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行う。
令和5年度補正予算案額
1,000億円(国庫債務負担含め総額3,000億円)
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
補助上限額 50億円
※投資下限額は10億円
※コンソーシアム形式により参加企業の投資額の合計が10億円以上となる場合も対象(ただし、一定規模以上の投資を行う中堅・中小企業がいる場合に限る。)
成果目標
大規模投資を通じた労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大により、対象事業に関わる従業員の1人当たり給与支給総額が、地域別の最低賃金の伸び率を超える伸び率を実現する。
公式URL・その他応募の詳細
申請方法やその他詳細は、経済産業省当該HP(こちら)をご確認ください。
中小企業省力化投資補助事業
事業目的
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とする。
事業概要
IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する。
※なお、中小企業等事業再構築促進基金を用いて、これまで実施してきた、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、企業の思い切った事業再構築の支援については、必要な見直しを行う。
令和5年度補正予算案額
1,000億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
付加価値額の増加、従業員一人当たり付加価値額の増加等を目指す。
中小企業生産性革命推進事業
事業目的
生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助し、切れ目なく継続的に、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援することを目的とする。
事業概要
(1)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)
中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援する。
(2)小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)
小規模事業者等が自ら経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援する。
(3)サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)
中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する。
(4)事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金)
事業承継・M&A・グループ化後の新たな取組(設備投資、販路開拓等)や、M&A時の専門家活用費用等を支援する。
令和5年度補正予算案額
2,000億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
それぞれ以下の達成を目指す。
【ものづくり補助金】
・付加価値額が事業終了後3年で9%以上向上する事業者割合が50%
・事業化を達成した事業者の給与支給総額が、事業終了後5年時点で、年率平均+1.5%以上向上
【持続化補助金】
・事業終了後1年で販路開拓につながった事業者の割合を80%以上
【IT導入補助金】
・補助事業者全体の労働生産性が、事業終了後3年で、9%以上向上すること
【事業承継・引継ぎ補助金】
・事業承継・引継ぎ補助金の補助事業者(経営革新事業)について、補助事業者全体の付加価値額が、事業終了後5年で、+15%以上向上すること
公式URL・その他応募の詳細
申請方法やその他詳細は、中小企業基盤整備機構当該HP(こちら)をご確認ください。
日本政策金融公庫等による資金繰り支援
事業目的
新型コロナウイルス感染症の影響のもとで債務が増大した事業者、物価高騰に加え、処理水放出に伴う風評や一部の国や地域による輸入規制強化による影響を受けた事業者の事業継続、賃上げ等に取組む事業者の支援等のため、日本政策金融公庫等による資金繰り支援を行う。
事業概要
日本政策金融公庫等による資金繰り支援のため、以下を実施。
(1)セーフティネット貸付
物価高騰に加え、処理水放出に伴う風評等の影響から売上減少を余儀なくされている事業者に対して、セーフティネット貸付の金利引下げ(▲0.4%)により支援。
(2)新型コロナ対策資本性劣後ローン等
新型コロナウイルス感染症の影響で債務が増大した事業者に対し、民間金融機関が資本と見做すことのできる長期間元本返済のない資本性劣後ローン等により支援(直近決算が黒字であっても金利負担により実態上赤字になる事業者向けの運用改善を含む)
(※)貸付制度は2024年3月末まで(既貸付先への運用改善は2024年3月
以降も実施)
(3)賃上げ等に取り組む事業者向け融資
賃上げ等に取組む事業者に対する、資金繰り支援を拡充
令和5年度補正予算案額
680億円 <うち財務省計上 51億円>
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
日本政策金融公庫等が低利融資を行うことにより、中小企業者等の資金繰りの円滑化を支援する。短期的には、中小企業の資金繰り円滑化を、長期的には、中小企業の倒産件数の抑制を、それぞれ成果目標とする。
公式URL・その他応募の詳細
申請方法やその他詳細は、日本政策金融公庫当該HP(こちら)、中小企業庁当該HP(こちら)をご確認ください。
中小グループ化・事業再構築支援ファンド出資事業
事業目的
中小企業における「グループ化」・「事業再構築」への取組は、既存事業の延長線上にない取組であり、非連続な成長を実現する上で有効な手段であることから、これらの取組を促進し、中小企業の成長を支援する。
事業概要
独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資によりファンドを組成し、「グループ化」・「事業再構築」への取組を通じた成長を目指す中小企業に対する、リスクマネーの供給、ハンズオン支援を実施する。
令和5年度補正予算案額
120億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
グループ化や事業再構築を支援するファンドに対し、独立行政法人中小企業基盤整備機構より出資を行うことで、グループ化や事業再構築への取組を通じて成長を目指す中小企業等へ120億円以上のリスクマネーを供給し、複数M&Aや、事業再構築による抜本的な経営革新を促進する。
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申請方法やその他詳細は、中小企業庁当該HP(こちら)をご確認ください。
事業環境変化対応型支援事業
事業目的
インボイス制度の導入やエネルギー価格・物価の高騰、最低賃金引き上げ等の様々な事業環境変化の影響を受ける中小企業・小規模事業者への相談や各種支援施策の活用を促すべく、中小企業団体等と連携した支援体制を強化することを目的とする。
事業概要
(1)経営相談体制強化事業
外部環境の変化に伴う経営課題に対応するため、支援機関に対する専門家派遣や指導員向けの講習等を通じて、相談体制強化を図る。
(2)よろず支援拠点事業
外部環境の変化に伴う経営課題に対応するため、よろず支援拠点におけるコーディネーターの増員等を通じて、相談体制強化を図る。
(3)インボイス相談窓口事業
中小・小規模事業者がインボイス制度への対応を円滑に実施できるように、相談内容に応じた各種窓口への案内や相談体制の構築等を行う。
令和5年度補正予算案額
112億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
(1)中小企業団体における窓口相談等対応件数のうち、解決策を得られた件数の割合を80%以上にする。
(2)よろず支援拠点への相談者が経営課題を解決した件数が30,000件以上になることを目指す。
(3)インボイス制度への円滑な対応のために構築する相談体制において、相談実施事業者のうち最終的に課題解決済を選択した事業者の割合を80%以上にする。
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中小企業活性化・事業承継総合支援事業
事業目的
財務上の問題を抱えている中小企業等に対して、収益力改善・事業再生等を支援するとともに、後継者不在の中小企業等に対しては、事業承継・事業引継ぎを支援することで、地域の経済と雇用の基盤を支えることを目的とする。
事業概要
(1)中小企業活性化事業
民間ゼロゼロ融資の返済が本格化することにより、財務や事業の抜本的な見直しが必要な企業の増加が見込まれる中で、全国の認定支援機関に設置された中小企業活性化協議会において、弁護士や会計士等の外部専門家を含めた個別支援チームにより金融機関との調整等を行い、再生計画の策定支援等を実施できるよう体制整備を行う。
(2)事業承継総合支援事業
全国の認定支援機関等に設置された事業承継・引継ぎ支援センターにおいて、後継者不在の中小企業・小規模事業者と事業等の譲受を希望する事業者とのマッチング支援や、プッシュ型の事業承継診断・事業承継計画の策定支援等を実施する。また、サプライチェーン維持の観点から地域の事業承継を促す普及啓発や、M&A支援機関の登録制度といった事業承継・引継ぎ推進に係る基盤整備を実施する。
令和5年度補正予算案額
52億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
(1)(2)ともに以下の事業スキームにて運用
(※1)産業競争力強化法
(※2)(1)は中小企業活性化協議会、(2)は事業承継・引継ぎ支援センター等
成果目標
(1)中小企業活性化事業
二次破綻率(再生計画策定支援完了後、3年のモニタリング期間中に再度破綻した率)を1.9%(過去3年間の平均)以下に抑制することを目指す。
(2)事業承継総合支援事業
全国の事業承継・引継ぎ支援センターにおいて、3,300件の成約を目指す。
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中小企業取引対策事業
事業目的
足元の急激な物価高に伴うコスト上昇分のみならず、賃上げ原資の確保も含めて中小企業の適切な価格転嫁を実現するため、価格交渉促進月間のフォローアップ調査を実施する。
下請Gメンヒアリングによる取引実態の把握、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)の厳正な執行や下請トラブルに関する相談対応等により、中小企業の価格交渉・価格転嫁を促進する。
併せて、インボイス制度の導入に係る取引実態調査を行う。
事業概要
中小企業の取引適正化を図るために、以下の取組を行う。
(1)下請取引改善事業
・9月と3月を価格交渉促進月間と位置づけフォローアップ調査を実施する。
・下請中小企業の価格交渉力向上のためのプッシュ型支援を実施する。
(2)インボイス制度導入に係る取引実態調査事業
・インボイス制度の導入に係る取引実態調査を実施する
令和5年度補正予算案額
8.3億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
・価格交渉促進月間の下請事業者へのアンケート調査により取引実態を把握し、発注側企業の交渉・転嫁のリスト公表や業所管大臣名での指導・助言等を通じ、取引適正化を促進する。
・受注側企業向け調査において、「発注側事業者に協議を申し入れ、協議に応じてもらった」と回答する割合を70%以上となることを目指す。
公式URL・その他応募の詳細
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中小企業信用補完制度関連補助事業
事業目的
経営者保証は、経営の規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方で、経営者による思い切った事業展開を躊躇させるなどの阻害要因となっていることを踏まえ、保証料上乗せにより経営者保証の提供を選択できる信用保証制度の創設により積極的な投資促進、中小企業の資金繰りの円
滑化を図ることを目的とする。
事業概要
全国51ある信用保証協会による信用保証制度において、経営者保証改革を進めるにあたり、保証料上乗せにより経営者保証の提供を選択できる新制度の構築に際し、信用保証料の補助を行うと共に、信用保証協会の損失の一部補填に係る措置を行う。
なお、新制度の活用を促す観点から制度創設後3年間に行った保証承諾案件に限り信用保証料の補助を行うこととし、その補助については、制度創設1年目の利用者は0.15%分の補助、制度創設2年目の利用者は0.1%分の補助、制度創設3年目の利用者は0.05%分の補助と段階的に引き下げることで早期の利用を促す。
令和5年度補正予算案額
71億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
成果目標
保証料上乗せにより経営者保証の提供を選択できる新制度の構築により、中小企業者等の資金繰りの円滑化を支援する。
短期的には、中小企業の資金繰り円滑化を、長期的には、中小企業の倒産件数の抑制を、それぞれ成果目標とする。
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物流効率化に向けた先進的な実証事業
事業目的
我が国の国民生活・経済を支える社会インフラである物流には、「物流の2024年問題」のみならず、構造的な需給ひっ迫による輸送力不足の危機が迫る。
物流の2024年問題を乗り越え、社会インフラである物流を維持するためには、荷主企業の行動変容が重要。
『即効性のある設備投資の促進』を加速化させるために先進的な実証事業を行うことで、物流の投資効果を明らかにし、荷主企業の投資意欲を喚起するとともに、本実証の成果の積極的な横展開を行う。また、ラストワンマイル配送の省力化に向けた先進的な実証も行う。
事業概要
(1)荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業
荷主企業の物流施設の自動化・機械化に資する機器・システムの導入等に係る費用を補助することを通じて、荷主企業の省力化や物流効率化の投資効果を明らかにする実証を行う。
(2)自動配送ロボット導入促進実証事業
公道を走行する自動配送ロボットの採算性を確保したサービスモデルを創出し、市場の確立を図るため、複数拠点・多数台運行による大規模なサービス実証を行う。
令和5年度補正予算案額
55億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
(1)補助率:中堅企業1/2、中小企業2/3
(2)補助率:大企業・中堅企業1/3、中小企業2/3
成果目標
本実証事業を通じ、『即効性のある設備投資の促進』を加速化させ、「物流の2024年問題」及び構造的な需給ひっ迫による輸送力不足の解消に寄与する。
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ライフステージを支えるサービス導入実証等事業
事業目的
人手不足等が進展する我が国において、働く人がキャリアを形成する上で直面する、家事負担の軽減等は企業における多様な人材の活躍を後押しする観点から重要。
そのため、企業における家事支援サービスの導入実証等を実施し、多様な人材の活躍に向けた環境整備を行うことを目的とする。
事業概要
(1)家事支援サービス福利厚生導入実証
家事支援サービスの利用機会を従業員に対して提供しようとする中小企業等の取組に関する実証事業を行う。
(2)キャリア形成に資するサービスの企業等における導入環境構築のための実証
キャリア形成に資するライフデザイン支援といったサービスの企業等における導入環境構築のための実証を行う。
令和5年度補正予算案額
12億円
事業スキーム(対象者、対象行為、補助率等)
(1)家事支援サービス福利厚生導入実証
(2)キャリア形成に資するサービスの企業等における導入環境
構築のための実証
成果目標
サービスの導入実証等を通じ、働く人がキャリアを形成する上で直面する、家事負担といった課題の解消と、これらを通じた企業における多様な人材の活躍に向けた環境整備を目指す。
まとめ
応募に関する詳細は迫って別途記事にてご紹介させていただきます。
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