リ・スキリングについて皆さんはどのくらい情報をご存じですか?

岸田総理大臣が、政府として個人のリスキリング支援に5年間で1兆円を投じる方針を紹介したことでも再注目キーワードとなっています。加えて、リスキリングは日本にとって更なる経済成長の鍵であると述べています。
(参考:日本経済新聞)(参考:首相官邸

リスキリングとは新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させることです。
近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えています。

よく「リカレント教育」と言葉を混同してしまう方もいますが、意味は異なります。リカレント教育は「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し続けるありようのことです。新しいことを学ぶために「職を離れる」ことが前提となります。

リスキリングは単なる「学び直し」ではなく、昨今の「学び」への注目のなかに、個人が関心に基づいて「さまざまな」ことを学ぶこと全体をよしとする言説が多いですが、リスキリングはこれからも職業で価値創出し続けるために必要なスキルを学ぶ、という点が強調されます。

また、企業が”DX化”を導入する場合、ビジネスモデルや事業戦略が変わります。導入に伴い人材戦略も必然的に変わるはずです。

つまり、リスキリングによってデジタル技術の力を使いながら価値を創造できるように、多くの従業員の能力やスキルが再開発される為、企業にとっても『DX時代の人材戦略=リスキリング』が重要なキーポイントとなります。

また、先日閣議決定された令和5年度補正予算案でもリスキリングに関する詳細の発表がありました。

このように、日本経済の成長のため注目されているキーワードの一つです。

具体的に、企業がリスキリング事業をどのように導入をしているのか経済産業省が作成する資料を基に海外・国内での事例を紹介していきます!

AT&T

画像引用:AT&T公式”X”より

携帯電話の普及に伴い、データ通信量が爆発的に増加した2010年代。アメリカの通信大手AT&Tは、ネットワークインフラの限界に直面しました。従来のハード中心の通信システムでは到底対応できない状況で、AT&Tはソフトウェア重視のシステムへと舵を切ることを決断。しかし社内には、必要なスキルを持つ社員が半数に満たないことが判明しました。ここでAT&Tがとった方策が、社員の大規模なリスキリング対策でした。

まず社内のスキルを全て洗い出し、ソフト開発・運用に必要な能力を特定。それに基づき業務を再編成するとともに、社員が自身のスキルと会社の人材ニーズを互いに把握できる仕組みを構築しました。すると多くの社員が積極的に学び直し、新たな職種への転身を果たしていきました。

例えば、10年以上、電話交換機の保守業務に従事していた社員は、オンラインでコンピュータサイエンスの学位を取得。エンジニアへの転身に成功しました。このように、リスキリングプログラムに参加する従業員は、そうでない従業員に比べ、1.1倍高い評価、1.3倍多い表彰、1.7倍の昇進を実現。離職率は1.6倍低い数字を獲得しました。10億ドルの巨費を投じたこの社員教育が、AT&Tの業容拡大を支える原動力となりました。

時代の変化に柔軟に対応するためには、社員のスキルを常にアップデートしていくことが不可欠です。AT&Tの事例は、人材育成こそが企業の成長を左右するということを教えてくれます。

画像引用:経済産業省

参考:NHK

アマゾン

画像引用:Amazon

2021年9月、Amazonは、2025年までの「Upskilling 2025」という公約の一環として、300,000人の従業員が教育プログラムやスキル訓練にアクセスできるよう、12億ドルを拠出すると発表しました。この中には、フロントラインの従業員のための大学の授業料も含まれています。Amazonは、2025年までに従業員とパートナーのスキルアップを支援するため、リスキリングに関するプログラムを従業員に提供を始めました。

主な内容:

  • Amazon Technical Academy – 技術分野での就業を目指す従業員向けの無料で包括的な職業訓練プログラム。ソフトウェア開発やITサポートなどの職種の訓練が受けられる。
  • Machine Learning University – 機械学習のスキルと知識を身につけられる無料のオンラインプログラム。
  • Upskilling in Amazon Stores – 小売店舗での職種のスキルアップを支援。マネジメントスキルや小売業務のスキル向上など。
  • AWS Training and Certification – Amazon Web Servicesのスキルと知識の習得を支援。クラウドコンピューティング分野でキャリアアップ。
  • Introduction to IT – IT分野を目指す初心者向けのオンラインコース。ITの基礎知識からプログラミングなどを学べる。

Amazonは、従業員のより良い将来のために自発的にスキルを習得することを奨励しています。

参考:Amazon

ウォルマート

画像引用:公式ホームページ

ウォルマートU.S.は、Progressive Grocer’s 2022に発表した北米の食品・小売業トップリスト「PG 100」の1位を獲得しています。

同社は、従業員の賃金上昇とキャリアアップの機会拡大に取り組むため、オンライン学習プラットフォームであるスプリングボードと提携しました。ウォルマートが提供している従業員教育プログラム「Live Better U」に、データ分析やソフトウェア開発など、技術職で活躍するために必要なスキル習得のための新たなコースが追加されます。

スプリングボードのビジネス・プラットフォームを通じて、ウォルマートの従業員は、データ分析、ソフトウェア開発、データ主導型の戦略的思考などを学ぶことができます。ウォルマートは、従業員のスキルとキャリア成長に注力することで、従業員のエンゲージメント向上と企業成長を目指しています

参考記事:こちら

日立製作所

画像引用:公式サイト(こちら

日立製作所の国内グループ企業の全社員約 16 万人を対象としたDX基礎教育を提供しました。

具体的なリスキリング事業として、DXに対応した人材の育成に力を入れています。DX のプロセスに沿って、教育コンテンツの開発を進め、現在約 100 コースほどを整備。全体のリテラシーの底上げを目的とする教育としては、国内の日立グループの全従業員に対して e-Learning を実施します。

その後、ベーシックレベル、プロフェッショナルレベルと進みますが、プロフェッショナルレベルでは、実際の案件を有する現場に異動し、一定期間実務に携わるという取組を通じて、実践的な人材の育成を図っています。

参考:経済産業省 第2回デジタル時代の人材政策に関する検討会

参考資料:こちら

富士通株式会社

画像引用:公式サイト

時田社長新体制のもと、「ITカンパニーからDXカンパニーへ」を提唱し、「人材のリスキリング」は重要課題と明確に宣言しました。

富士通では、従業員のリスキリングとスキルアップを支援するため、オンデマンド型の教育プログラムを充実させています。

学習プラットフォーム「Fujitsu Learning Experience(FLX)」では、自身が必要とするコンテンツを、いつでも誰でもどこでも学ぶことができます。DX技術、AI、コンピューティング、クラウドなど、最新テクノロジーからビジネススキルまで、幅広い選択肢が用意されています。

FLXは従業員一人ひとりのスキルとキャリア目標に合わせて、関心のある分野のコンテンツを自由に選択し、自律的に学習できる環境を提供しています。富士通は従業員の主体的なスキルアップ支援に取り組みます。

まとめ

リスキリングは企業、働く従業員にとって多くのメリットがあります。

企業がリスキリング事業を導入するメリットは以下の5つです。

  1. 従業員のスキルを時代に合わせてアップデートできる

市場の変化に合わせて、従業員のスキルを柔軟にアップデートすることができます。事業環境の変化に対応できる人材を確保できます。

  1. 従業員のモチベーションアップ

スキルアップの機会を提供することで、従業員のモチベーションが高まります。また、自身のスキルを向上させることで、役職に就く人材が増え、任せる業務内容の幅も広がるため、事業拡大につながります。

  1. 人材流出の防止

スキルを学べる環境があるため、社外への転職を防ぐことができます。

  1. 採用コストの削減

社内リスキリングで必要な人材を育成するため、外部採用コストを抑えられます。

  1. 企業イメージの向上

従業員に投資する企業としての評判が高まります。優秀な人材の獲得に有利になります。

企業イメージアップにもつながるリスキング事業を採用してみませんか?

政府は、リスキリング事業を導入する企業を応援します。補助金に関する記事は別途紹介しているので是非合わせてご参考ください。

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