出典:GENIAC特設HP

経済産業省は2024年2月2日、国内の生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」を始動しました。各国でAI技術の開発競争が激化している現代において、国内での開発力を強化するのは必至と言えるでしょう。そんな中で立ち上がったプロジェクト「GENIAC」について、詳しく解説をしていきます。

GENIACとは?事業概要

GENIACでは、国内の生成AIの基盤モデルの開発力強化を目的とし、事業者へ計算資源の提供他、事業者間で開発ノウハウの共有をできる機会と場を提供するとしています。

また、2月22日には、計算資源の提供者としてMicrosoft「Azure」の採用が決定し、経産省やNEDOと連携しながら、マイクロソフトも開発から社会実装まで、総合的な支援を行なっていくとの事です。

採択者(第1期)

出典:GENIAC特設HP

2月2日プロジェクト発表と同日に、第1期の採択者も併せて発表されました。採択者は以下の通りです。

団体・企業名担当者名
株式会社ABEJA代表取締役CEO 岡田陽介
Sakana AI株式会社Research Scientist 秋葉拓哉
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構国立情報学研究所所長 黒橋禎夫
ストックマーク株式会社取締役CTO 有馬幸介
Turing株式会社CTO 青木俊介
国立大学法人 東京大学東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授 松尾豊
株式会社Preferred Elements代表取締役社長 岡野原大輔

また、2月16日~3月18日に事業者の追加公募が行われたため、上記からさらに事業者が増える見込みです。

主な支援内容

3月7日に行われた採択者のコミュニティKick Offイベントで、以下のような事業が行われると発表がありました。

  1. 計算資源
    • 生成AIのコア技術である基盤モデルを開発する上で確保しなければならないGPUなどの調達を支援。(前述した通り、計算資源の提供者としてMicrosoft「Azure」が採用されています)
  2. データ
    • データ活用に向けた支援プログラムなどを通じて、ユーザーなどデータ保有者との連携を促進。
  3. ナレッジ
    • イベントやコミュニケーションツールによって、国内外の開発者同士や政府の各種制度担当者との交流を促進。3月下旬から4月上旬には、海外の開発者との交流を目的として、Googleの基盤モデル開発者が登場するイベントを予定。

開発事業者コミュニティの詳細

開発事業者コミュニティの構築

出典:GENIAC特設HP

この事業では、採択者間はもちろん、採択事業者以外も含めた開発事業者コミュニティを構築することにより、日本の開発力の底上げを図るとしています。

コミュニティのコンセプト

日本からイノベーションを起こすために欠かせない要素として、以下の3つのコンセプトを掲げています。

  1. 共有知の在り方を創る
    • 開発事業者間での情報知見を共有し、積極的なコミュニティの発信を行う。
  2. パートナーシップの在り方を創る
    • 実際にAIを利用する企業、基盤モデルの上でアプリケーション開発を行う企業とのマッチングイベントの開催など。
  3. ルールの在り方を創る
    • 社会実装を進める上で、どういった規制やルールがハードルになるのかを検討、提言する。

コミュニティの取組内容

  1. グローバルテック企業・アカデミアを招いたセミナーの実施
    • 基盤モデルの開発を行う企業を招き、どのような基盤モデルを開発しているのか、今後の展望を共有し、ディスカッションする。
  2. 開発者間でのノウハウの共有・議論を通じた相互支援
    • 個別の議論の場、成果報告会など、一連の開発の中で得られた成功だけで無く、どのようなチャレンジや失敗があったか、成果を発表する。
  3. ベストプラクティスの収集・蓄積
    • Slackを使い、知見やノウハウを共有、ディスカッションする。そのやり取りをベストプラクティスとしてやNotionに蓄積。
  4. 開発企業―利活用企業・アプリケーション企業等とのマッチング
    • 社会実装に向けて、エンドユーザーや開発事業者とのマッチングイベントを実施する。

今後のスケジュール

GENIACプロジェクトの今後のスケジュールは以下の通りです。