日本のコンテンツ産業(アニメ、ゲーム、マンガ、音楽、実写など)を世界で勝てる産業へと押し上げるため、経済産業省が令和7年度補正予算で350億円という大規模な予算を投じてスタートさせるのが「IP360(コンテンツ産業成長投資支援事業)」です。

「IP360」という名前には、日本の優れたIP(知的財産)を、ゲーム・アニメ・マンガなど様々な形に展開し、世界中のファンに届ける(360度展開する)という思いが込められています。

この記事では、これからコンテンツビジネスで世界を目指す企業やクリエイターの皆様に向けて、IP360補助金の9つの支援メニューをわかりやすく解説します。

9メニュー早見比較表

カテゴリメニュー名対象者上限金額補助率公募締切
制作支援IP新規創出支援
(スタートアップ支援)
個人・チーム1,000万円1/2第1回のみ
(6月下旬通知)
IP新規創出支援
(新規IP企画支援)
実績ある事業者7,000万円1/24月下旬頃
大規模作品製作支援
(一般支援)
世界的ヒット狙い15億円1/25月下旬頃
大規模作品製作支援
(ロケ誘致支援)
海外スタジオ連携15億円1/25月下旬頃
PF支援開発プラットフォーム構築支援AI・XR等の技術活用1億円1/24月下旬頃
流通プラットフォーム拡大支援配信PF事業者30億円1/2未定
海外展開IPエコシステム世界展開支援4者以上のコンソーシアム2億円1/23月24日
ローカライズ支援IP権利者(個社)4,000万円1/24月下旬頃
プロモーション支援中堅・中小企業2,000万円1/24月下旬頃

IP360の全体像

令和7年度補正予算
IP360 — 350億円
コンテンツ産業成長投資支援事業
制作支援
スタートアップ支援 1,000万円
新規IP企画支援 7,000万円
大規模作品(一般)15億円
大規模作品(ロケ)15億円
プラットフォーム支援
開発PF構築支援 1億円
流通PF拡大支援 30億円
海外展開支援
IPエコシステム 2億円
ローカライズ支援 4,000万円
プロモーション支援 2,000万円
対象分野:ゲーム ・ アニメ ・ マンガ ・ 音楽 ・ 実写 | 全メニュー共通 補助率 1/2

1. IP新規創出支援(スタートアップ支援)

「これから新しいIPを生み出したい!」という個人やチームの挑戦を後押しするメニューです。

対象者新たにコンテンツ製作・開発に取り組む個人またはチームのスタートアップ
対象分野ゲーム、アニメ、音楽(ライブ・MV)、実写
補助金額上限1,000万円(補助率1/2)
何に使えるかプリプロダクション(企画・準備)、プロダクション(本制作)、ポストプロダクション(編集)、ローカライゼーション(翻訳等)、プロモーション費用
スケジュール2026年6月下旬頃に採択通知予定(第1回のみで終了予定)
こんな方におすすめ:「インディーゲームを開発して世界に売り出したい少人数チーム」や「新しいオリジナルアニメのパイロット版を作りたい若手クリエイター」が、制作費や宣伝費として活用できます。

2. IP新規創出支援(新規IP企画支援)

すでに実績のある企業が、新しいIPの種をまくための初期投資を支援します。

対象者これまでコンテンツ製作・開発に取り組んできた事業者(大企業の場合は社内ベンチャー設置等の要件あり)
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限7,000万円(補助率1/2)
何に使えるかプロダクション(本制作)費用 ※ゲーム・アニメ・実写のプリプロダクションは対象外
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 4月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「これまで下請け制作がメインだったアニメスタジオが、自社オリジナルの新規IPアニメを制作するプロジェクト」などに使えます。資金繰りが厳しい場合は前払い(概算払)の相談も可能です。

3. 大規模作品製作支援(一般支援)

「世界で大ヒットを狙う!」というハイリスク・ハイリターンな超大型プロジェクトを強力にバックアップします。

対象者将来的に世界的な大ヒットを狙えるコンテンツ製作・開発事業者
対象分野ゲーム、アニメ、実写
補助金額上限15億円(補助率1/2)
何に使えるかプリプロダクションからローカライゼーションまでの幅広い制作費用
特徴支援期間は最長2年。人材育成やデジタル投資も支援範囲。大ヒット時は収益の一部を国に納付する要件あり。
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 5月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「世界市場を見据えたAAAクラスの大型コンシューマーゲームの開発」や「海外の動画配信プラットフォームで世界同時配信を狙う超大作アニメの制作」など。

4. 大規模作品製作支援(ロケ誘致支援)

海外の大型スタジオの撮影を日本に呼び込み、国内の制作現場のレベルアップを図ります。

対象者海外スタジオのもとで、国内でのロケ撮影や高度な編集作業(VFX等)を行う日本の制作事業者
対象分野実写
補助金額上限15億円(補助率1/2)
何に使えるか国内でのロケ撮影費用、ポストプロダクション(VFX等の高度な編集作業)費用
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 5月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「ハリウッドの超大作映画の日本ロケにおいて、国内の制作会社がコーディネートや実際の撮影サポート、VFX処理を請け負うケース」など。

5. 開発プラットフォーム構築支援

AIやXR、ブロックチェーンなどの最新技術を使って、コンテンツ制作を効率化・高品質化するシステムの開発を支援します。

対象者コンテンツ制作の生産性向上に資する高度な技術を活用した開発プラットフォームを構築する事業者
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限1億円(補助率1/2)
何に使えるかプラットフォームの構築に関わる費用(システム開発費など)
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 4月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「アニメ制作の作画工程をAIで大幅に効率化するツールの開発」や「ゲーム開発におけるアセット管理をブロックチェーンで最適化するシステムの構築」など。

6. 流通プラットフォーム拡大支援

日本のコンテンツを世界に届ける「独自の流通網(プラットフォーム)」を強化するための新設メニューです。

対象者海外向けコンテンツや外国ファンの拡充、プラットフォーム間の連携を行う国際的な配信・流通プラットフォーム事業者
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限30億円(補助率1/2)
何に使えるかプラットフォームのシステム開発、海外向けコンテンツの拡充、海賊版対策と連動した正規版への誘導プロモーションなど
スケジュール2026年3月末頃公募開始予定
こんな方におすすめ:「日本のマンガアプリが、海外のゲームプラットフォームやアニメ配信サイトと連携し、相互にユーザーを送客しあう大規模なシステム改修とプロモーション」など。

7. 海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援)

複数の企業がタッグを組んで、日本のIPを束ねて海外に売り込む大規模な取り組みを支援します。

対象者4者以上のコンテンツIPの権利者が主体となるコンソーシアム等
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限2億円(補助率1/2)
何に使えるか複数のIPがまとまって海外展開するためのローカライズ(翻訳等)やプロモーション費用
スケジュールすでに公募開始済み → 2026年3月24日締切
こんな方におすすめ:「複数のアニメ会社とゲーム会社が共同で、北米の大型イベントに『日本のアニメ・ゲーム合同パビリオン』を出展し、大々的なプロモーションを行うプロジェクト」など。

8. 海外展開支援(ローカライズ支援)

自社のIPを海外向けに翻訳・カルチャライズする費用を支援します。

対象者コンテンツIPの権利者が主体となって個社で行う事業者
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限4,000万円(補助率1/2)
何に使えるかローカライゼーション(多言語翻訳、吹き替え、現地の文化に合わせた修正など)費用
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 4月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「日本でヒットしたスマホゲームを、英語・中国語・韓国語に翻訳し、現地の声優を使ってフルボイス化するプロジェクト」など。

9. 海外展開支援(プロモーション支援)

自社のIPを海外のファンに知ってもらうための広告宣伝活動を支援します。

対象者コンテンツIPの権利者が主体となって個社で行う中堅・中小企業
対象分野ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写
補助金額上限2,000万円(補助率1/2)
何に使えるか海外向けのプロモーション(広告出稿、イベント出展、インフルエンサー起用など)費用
スケジュール2026年3月末頃公募開始 → 4月下旬頃締切
こんな方におすすめ:「自社のマンガ作品の英語版発売に合わせて、海外の有名VTuberを起用したPR配信を行い、海外のSNSでターゲティング広告を展開するプロジェクト」など。

まとめ

「IP360」は、個人クリエイターのスタートアップから、数十億円規模の超大作ゲーム・アニメ、さらには配信プラットフォームの構築まで、コンテンツ産業のあらゆるフェーズを網羅した強力な支援策です。

特に「海外展開」や「新規IPの創出」に力点が置かれており、日本のコンテンツを世界に売り出したい企業にとっては絶好のチャンスと言えます。

多くのメニューが2026年3月末頃から公募開始となる予定です。申請を検討される方は、経済産業省の特設ページや事務局の公募要領をこまめにチェックして、早めの準備を進めましょう。