固定資産税の特例

概要

  • 先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業者は、一定の設備について固定資産税の課税標準を最大3分の1に軽減できる(賃上げ表明で上乗せの場合あり)。
  • 適用期限は令和7年3月31日まで(計画認定+設備取得が必要)。
  • 認定には市町村への申請が必要。

中小企業経営強化税制

概要

  • 経営力向上計画の認定を受け、一定の要件を満たす設備投資を行った場合、特別償却(最大100%)または税額控除(最大10%)を選択適用できる。
  • 対象設備:機械装置、ソフトウェア、器具備品、建物附属設備等(各要件あり)。
  • 令和7年3月31日までに取得した設備が対象。

中小企業投資促進税制

概要

  • 資本金1億円以下の中小企業者が対象設備(機械装置等)を取得した場合、30%特別償却または7%税額控除を選択適用できる。
  • 適用期限:令和7年3月31日までに取得等した設備。
  • 取得価額の最低要件(例:機械装置は160万円以上など)があるので、詳細を確認する必要がある。

少額減価償却資産の特例

概要

  • 30万円未満の減価償却資産は一括で損金算入(合計300万円まで)。
  • 令和8年3月31日までに取得し、事業の用に供した場合が対象。
  • 青色申告の中小企業者等が対象で、事前申請は不要。

地域未来投資促進税制

概要

  • 都道府県知事の承認および主務大臣の確認を得た地域経済牽引事業計画に基づき、設備投資を行った場合、特別償却(最大40~50%)または税額控除(最大4~6%)が選択適用可能。
  • 令和7年3月31日までに対象設備を取得し、事業の用に供することが必要。

中小企業防災・減災投資促進税制

概要

  • 事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画の認定を受け、一定の防災・減災設備を取得した場合、取得価額の18%(2024年度改正後は16%)の特別償却が適用可能。
  • 対象設備:自家発電装置、排水ポンプ、耐震装置など。
  • 計画認定と設備取得が令和7年3月末までに必要。

地方拠点強化税制

概要

  • 東京23区から地方に本社機能を移転または拡充する企業に対し、法人税・所得税の優遇措置および地方税(固定資産税、不動産取得税等)の軽減措置が提供される。
  • 主にオフィス減税(建物取得に対する税額控除または特別償却)と雇用促進税制(新規雇用増に応じた控除)の2種類がある。
  • 令和8年3月31日までに、都道府県への整備計画の提出と認定が必要。

公害防止税制

概要

  • 公害防止設備(汚水処理施設、除害施設など)を取得した場合、固定資産税や償却資産税の課税標準が軽減される。
  • 対象設備を令和8年3月31日までに取得し、所定の要件を満たす場合、3年間などの軽減特例が適用される。

再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置

概要

  • 太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー発電設備を取得した場合、固定資産税の課税標準が一部軽減される(例:1/2、2/3など)。
  • 取得後から3年度分の固定資産税が軽減される。
  • 令和8年3月31日までに取得し、事業用に供用する必要がある。

カーボンニュートラル投資促進税制

概要

  • 産業競争力強化法に基づく「エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画」の認定を受けた事業者が、生産工程効率化等設備を取得した場合、取得価額の50%の特別償却または最大14%の税額控除を選択適用できる。
  • 炭素生産性の向上が要件となり、計画認定期限は令和8年3月31日までとなっている。

DX投資促進税制

概要

  • 産業競争力強化法に基づく「情報技術事業適応計画」の認定を受けた事業者が、ソフトウェアなどのデジタル化関連設備を取得した場合、取得価額の30%の特別償却または3~5%の税額控除を選択適用できる。
  • 対象は、遠隔操作、可視化、自動制御化など、デジタル技術を活用した事業変革が認定された投資。
  • 令和7年3月31日までに取得し、事業用に供用する必要がある。

研究開発税制

概要

  • 企業が行う研究開発費の一定割合を法人税や所得税から控除する制度。
  • 中小企業は「中小企業技術基盤強化税制」として、試験研究費の控除率が最大17%など優遇される。
  • 控除上限は当期法人税額の25〜35%で、繰越控除も利用可能。

オープンイノベーション促進税制 (新規出資型)

概要

  • 個人や企業が、未上場スタートアップの新規発行株式を一定額以上取得した場合、取得価額の最大25%を損金算入できる。
  • 対象期間は令和2年4月1日から令和8年3月31日まで。
  • スタートアップとの協働による新規事業開拓が要件となる。

オープンイノベーション促進税制 (M&A型)

概要

  • 外部スタートアップをM&Aで過半数取得し、事業連携による事業成長を目指す場合、株式取得額の最大25%を損金算入できる。
  • 令和5年4月1日から令和8年3月31日までに行う株式取得が対象。
  • 5年以内に一定の成長投資・事業成長要件を満たせなかった場合、準備金の一括取り崩し(益金算入)となる。

中小企業向け賃上げ促進税制

概要

  • 中小企業者等が、前期比で給与支給総額を1.5%以上増加させた場合、増加額の15%を、2.5%以上増加させた場合は30%を法人税や所得税から控除できる。
  • 教育訓練費の増加や、子育て支援・女性活躍支援を受けた場合は、さらに控除率が上乗せされ、最大45%となる。
  • 控除できなかった額は、5年間繰越が可能。
  • 対象は令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する各事業年度。

事業承継税制

概要

  • 非上場株式の相続・贈与に係る相続税・贈与税を、納税猶予または免除する制度(法人版・個人版)。
  • 法人版:株式の全額(最大100%)が納税猶予の対象となる。特例承継計画の提出や、一定の雇用維持要件が必要。
  • 個人版:事業用資産(建物、機械装置など)が対象となる。
  • 適用時期や条件は、相続や贈与の実施時期によって異なるため、詳細確認が必要。

不動産取得税の特例

概要

  • 他の中小企業等から事業承継のために事業譲渡を行い、不動産を取得する場合、承継計画の認定を受けることで不動産取得税が軽減される。
  • 中小企業経営強化法の認定計画に基づき、令和8年3月31日までに取得する必要がある。
  • 認定には都道府県知事および主務大臣の手続きが必要。

特別事業再編計画に基づく登録免許税の特例

概要

  • 成長志向の中堅・中小企業がグループ化の取組みを行う場合、合併・分割・事業譲渡等に係る登録免許税が軽減される。
  • 産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」の認定を受け、認定後2年以内に登記手続を完了する必要がある。
  • 対象は令和9年3月31日までに計画認定を受けた企業。

中小企業事業再編投資損失準備金

概要

  • 他の中小企業等の株式取得(M&A)による事業承継時に、取得価額の70%(上限10億円まで)を準備金として積み立て、その準備金を当年度の損金算入できる制度。
  • 5年間据置後、取崩要件に該当しない場合は均等に益金算入される。
  • 対象は、経営力向上計画または特別事業再編計画の認定を受けた企業。

エンジェル税制

概要

  • 個人投資家がスタートアップへ投資した場合、投資時に所得控除や、譲渡益との通算など、税制上の優遇措置が受けられる。
  • 譲渡時には、売却損失を他の株式譲渡益と3年間通算可能な特例も存在する。
  • 投資先企業の要件や出資条件など、詳細な審査基準が設けられている。

外国人旅行者向け消費税免税制度

概要

  • 免税店として登録し、外国人旅行者や一時帰国者向けに一定金額以上の物品販売を行う事業者は、消費税が免除される。
  • 一般型、手続委託型、自動販売機型などの形態があり、免税手続きが必須。
  • インバウンド需要を取り込むための施策として位置づけられている。

消費税の特例

概要

  1. 事業者免税点制度
    • 前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納税義務が免除される。
    • ただし、適格請求書発行事業者の登録や特定期間の状況により課税事業者となる場合もある。
  2. 簡易課税制度
    • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下なら、みなし仕入率(40~90%)を用いて仕入税額控除を簡易に計算できる。
  3. インボイス制度
    • 令和5年10月から開始。登録事業者は適格請求書の交付が必須となり、経過措置や2割特例(3年間)が設けられている。

国税の猶予制度

概要

  • 災害や事業不振などで一時的に納税が困難な場合、所定の要件を満たせば「納税の猶予」または「換価の猶予」が認められる。
  • 猶予期間は原則1年以内で、延滞税の一部免除や財産差押えの猶予措置がある。
  • 申請には所轄税務署への必要書類の提出が求められる。

関連リンク・参考資料


【まとめと注意点】

  • 中小企業税制は多岐にわたり、適用時期、対象設備、要件の詳細を十分に確認する必要があります。
  • いずれの制度も適用を受けるためには、事前届出や計画認定などの手続きが必要となるものが多いため、早期に検討・準備を行いましょう。
  • 最新の法改正や経過措置の情報は、必ず 国税庁中小企業庁 の公式サイトで確認してください。

本記事は令和6年度(2024年度)版の主要な中小企業税制をまとめたものであり、各制度の詳細な要件や適用条件は変更される可能性があります。必ず専門家(税理士等)や所轄の税務署に最新情報をご確認の上、適用手続きを進めてください。