コロナ禍・物価高騰等からの事業の立ち直しをサポートする事業再構築補助金。新たな分野にチャレンジする際の設備投資(建物・機械・システム等)、広告宣伝などに活用できる、かつてない予算規模の補助金です。
 2023年1月に締め切られる第8回公募で終了の予定でしたが、秋の臨時国会での成立が確実視され、来年度も継続されることが確定的な状況となりました。
 今回は、これまでの事業再構築補助金と、令和4年度2補正の事業再構築補助金の変更点についてご紹介します。

従来の事業再構築補助金の概要

 事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナに対応するための補助金です。ただし、世の中にはコロナ禍が追い風となっている企業もありますので、すべての企業が申請できる訳ではありません。申請のためには細かい条件がありますが、主に次の条件を満たす必要があります。

①コロナ前後の一定期間で売上が10%以上減少している
(緊急対策枠の場合:2022年と過去3年の一定期間を比較して売上が10%減少で可)
②新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編のいずれかを行う
③②の売上が3~5年の事業計画期間終了後、企業全体売上の10%に達する

 これらは現行の事業再構築補助金での要件ですので、来年の事業再構築補助金では、要件が若干変更になることも考えられます。
 それでは、来年の事業再構築補助金について見ていきましょう。

令和4年度2次補正 事業再構築補助金の概要

 11月10日に、中小企業庁から事業再構築補助金のPR資料が発表されました。こちらがその資料の抜粋です。

 なんと、これまでメインであった申請類型の「通常枠」がなくなっています。一方、グリーン成長枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、最低賃金枠、といった従来の特別枠はそのまま残っていますね。グリーン枠は、エントリーという枠が加わっています。従来より補助金額が小さいため、申請の要件もハードルが下がるものと推測されます。
 そして、肝心な新枠ですが、「成長枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」の3つが追加されました。それでは、それぞれの内容を見ていきましょう。

【新枠①】成長枠

 成長分野への“大胆な事業再構築”に取り組む事業者向けの枠です。
補助金額の上限は2,000万円~7,000万円となっており、中小企業は補助率が1/2、中堅企業は1/3となっています。金額は大きいですが、補助率は物足りない気がしますね。
 ここで最も気になるのは、「成長分野」とは具体的にどの分野を指すのか?という点です。まず考えられるのが、電気自動車やクリーンエネルギーといったカーボンニュートラルの分野ですが、これはグリーン成長枠と内容が被るので微妙なところ。スマート農業などは成長分野のように思えますが、農業は補助対象から外れています。
 デジタル化やDX、蓄電池やバイオテクノロジーなどは対象になるかもしれません。とはいえ、スタンダードな役割の枠でしょうから、間口を狭くし過ぎないのではと思われます。幅広い範囲が対象になることを期待しながら、続報を待ちましょう。
 次に、産業構造転換枠を見ていきます。

【新枠②】産業構造転換枠

 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・ 業態の事業者向けの枠です。
 補助金額の上限は、成長枠と同じ2,000万円~7,000万円ですが、中小企業は補助率が2/3、中堅企業は1/2となっています。成長枠で物足りなさを感じた補助率が、こちらの枠だと十分に措置されるようです。
 そしてこちらで気になるのが、“構造的な課題に直面している業種・ 業態”が何を指すのか?という点です。真っ先に思い浮かぶのは、縫製業農業です。これらの業種は、海外生産や人口減少により市場規模が縮小しており、最低賃金の雇用者もいるため、賃上げが必須である「ものづくり補助金」を使えないことも多い業種です。
 このような、ある意味「詰み」に近い状況の業種の事業者が、構造を転換して事業を再構築することを応援する枠ですので、政策的に意義の大きい枠といえますね。補助率の高さも、この重要性を表しているのかもしれません。
 最後に、サプライチェーン強靭化枠を見てみましょう。

【新枠③】サプライチェーン強靭化枠

 海外生産の部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取り組みが対象となる枠です。
 補助金額の上限は、驚きの5億円。補助率は中小企業が1/2、中堅企業は1/3となっています。かつてない“5億円”という金額のインパクトは大きいですね。満額もらおうとすると、投資額は中小企業で10億円、中堅企業で15億円と壮大なスケールです。
 この規模ですと、自動車メーカーでいう所のティア1(1次下請け)またはティア2あたりを想定しているかもしれません。こちらも成長枠と同じく、対象となる分野が限定される可能性があります。真っ先に思い浮かぶ「半導体」「自動車部品」「蓄電池」といった分野は該当する可能性が高そうです。
 具体的な分野は公募要領で示されるでしょうから、続報を待ちましょう。
 このように、既存の申請類型に加えて、タイプの異なる新規の類型が追加され、ますます間口が広がってきそうです。

まとめ

 いかがでしたか?第8回で終了予定であった事業再構築補助金は、さらに使い勝手を高めて1年間延長されることになりました。ここまで大きな補正はこの度で一段落するでしょうから、新規事業をお考えの企業様は、ぜひ活用したいですね。
 とはいえ、申請類型が増えてこれまで以上に複雑な制度になっています。自力で公募要領を読み解き、全ての要件を満たす計画書を作成するのは容易ではありません。ここでオススメしたいのが、外部の専門家の活用です。
当社には、信頼できる実績豊富な中小企業診断士などのコンサルタントが多数在籍しており、補助金採択・事業の成功を力強くサポートします。
 ぜひお気軽にお問い合わせください。

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ものづくり補助金は、中小企業・個人事業等の設備投資による生産性向上革新的なサービス開発について、最大3,000万円の補助を受けられる制度です。2012年から国の補正予算によって運用され、人気の補助金となっています。
 業種や用途も様々で、代表的な活用方法としては、製造業による加工機械・検査機器の導入や、建設業による重機や計測器ドローンの導入、農業によるトラクターや精米機・選別機の導入などが挙げられます。
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事業再構築補助金の総予算は2020年補正予算にて1兆円1,485億円、2021年補正予算にて6000億円確保されており、過去に類を見ない非常にチャレンジングな補助金です。
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