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中小企業や小規模事業者が、デジタル技術を活用して省力化投資を行う際に活用できる補助制度「中小企業省力化投資補助金(一般型)」について、最新情報をまとめました。人手不足の解消や生産性向上、賃上げなどに取り組む企業の皆さま必見です!
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?
「中小企業省力化投資補助金(一般型)」は、
- 人手不足に悩む中小企業・小規模事業者等が、IoTやロボットなどの省力化に効果のある設備を導入するための費用を一部補助し、
- 売上拡大や生産性向上、そして賃上げにつなげる
ことを目的とした制度です。
どんな設備導入が対象になるの?
- IoT・ロボット技術を活用した機械装置やシステム構築
- 生産・業務プロセスやサービス提供方法の省力化に有効な専用設備(オーダーメイド設備)
などが主な対象となります。
カタログ注文型の補助金制度もありますが、一般型は企業ごとの導入環境や要件に合わせより柔軟に省力化投資を行いたい方におすすめです。ただし審査項目が多く、事業計画書の作成にはより詳細な検討が必要となります。
補助対象となる事業・要件
1. 補助対象となる事業の概要
- 生産・業務プロセスやサービス提供方法の省力化を行う事業
- 3〜5年の事業計画期間内に、設備投資前と比較して付加価値額を増加させる取組
2. 基本要件
本補助金に応募するには、以下4つの要件を満たす事業計画を策定する必要があります。
- 労働生産性を年平均成長率 +4.0%以上増加させること
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が最低賃金の直近5年平均以上、または給与支給総額の年平均成長率 +2.0%以上
- 事業場内最低賃金が、事業実施都道府県の最低賃金 +30円以上
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表(※従業員21名以上の場合)
最低賃金引上げ特例(後述)を利用する場合は、要件③が適用外になります。
3. 要件未達の場合の返還義務
- 要件②(賃上げ目標)未達:未達成率に応じた補助金返還
- 要件③(最低賃金引上げ)未達:計画年数で割った額を毎年返還
ただし、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合や、付加価値額が増加せず、かつ営業利益赤字が過半数となった場合などは返還が免除される可能性があります。
補助対象となる事業者
補助の対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する以下いずれかの条件を満たす事業者です。
- 中小企業者(組合関連含む)
- 資本金や従業員規模が中小企業基本法で定める範囲内
- 小規模企業者・小規模事業者
- 製造業・サービス業(宿泊業・娯楽業は除く)で常勤従業員20人以下
- 商業・サービス業(上記を除く)で常勤5人以下
- 特定事業者の一部
- 資本金10億円未満、かつ業種別に定める従業員規模を下回るなど
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 従業員数300人以下、収益事業を行っている等
- 社会福祉法人
- 従業員300人以下で、収益事業の範囲内で補助事業を行う場合
補助対象外となるケース
- みなし大企業に該当する事業者
- 同一法人とみなされる複数企業が重複申請
- 暴力団との関係がある事業者
- 既に他の国の補助金等を同一経費で申請している場合 など
補助率・補助上限額
中小企業・小規模事業者等で異なる補助率や、賃上げ幅の大きい企業向けの特例があります。
1. 基本的な補助上限額
常勤従業員数 | 補助上限額(大幅賃上げ特例適用時) |
---|---|
5人以下 | 750万円(1,000万円) |
6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
2. 補助率
- **中小企業:**1/2(最低賃金引上げ特例の場合2/3)
- ただし、補助金額1,500万円を超える部分は1/3
- **小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:**2/3
- ただし、1,500万円超の部分は1/3
2-1. 大幅賃上げ特例
- 給与支給総額の年平均成長率 +6.0%以上
- 事業場内最低賃金が都道府県の最低賃金+50円以上
- 上記を達成できなかった場合は上乗せ分を返還
2-2. 最低賃金引上げ特例
- 中小企業が一定条件を満たす場合、補助率が2/3に引上げ(小規模事業者・再生事業者はもともと2/3)
- 直近3か月以上、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全体の30%以上 など
申請から交付・事業実施までの流れ
- 公募開始
- 3月上旬に申請様式公開、3月中旬申請受付開始、3月下旬申請締切予定
- 申請(電子申請のみ)
- 申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須です
- 必要書類(事業計画書や見積書の準備)を電子システムで提出
- 審査・採択決定
- 書面審査や、補助申請額が一定以上の場合は口頭審査(オンライン)を実施
- 交付申請・交付決定
- 採択後、交付決定手続きで経費内容を精査
- 事業実施期間(交付決定日から18か月以内)
- 設備の導入・検収・支払いなどを完了
- 実績報告書の提出・補助金の確定
- 補助金は、原則として事業完了後の精算払いです
- 効果報告・賃上げ要件の確認
- 事業完了後5年間、毎年度の給与支給総額や最低賃金達成状況、生産性などを報告
申請に必要な準備・注意点
- GビズIDプライムアカウントを早めに取得
- ID取得に時間がかかるため、まだお持ちでない方は早めの手続きを
- 事業計画書の作成
- 省力化指数(導入による削減時間と増加時間)、投資回収期間、付加価値の増加見込みを明確に
- 賃上げ計画や最低賃金引上げ目標を具体的な数値で設定
- 申請に必要な見積書・契約書類の準備
- 補助金交付決定後は、2者以上の見積比較や仕様書による価格妥当性の確認が求められる
- 資金調達・資金繰り
- 事業完了後に精算払いとなるため、融資などを活用して自己資金の確保が必要
- 導入機械装置の担保設定時は事前申請
- 補助設備を金融機関の担保とする場合には、中小機構への事前申請が必要
よくある質問(FAQ)
Q1. カタログ注文型とはどう違うの?
A. カタログ注文型は、国が省力化効果を認めた製品カタログの中から設備を選んで導入する補助金です。
一般型は、カタログにない独自の設備やオーダーメイドのシステムなど柔軟な投資が可能ですが、審査項目や必要書類はより詳細です。
Q2. 小規模事業者が途中で従業員数を超えた場合、補助率はどうなる?
A. 交付決定前や事業実施期間終了までに従業員数が増え、小規模事業者の定義を外れた場合は、補助率が1/3〜1/2に変更となります。
Q3. 既に他の補助金を利用中でも申請できる?
A. 同一の経費を重複して申請することはできません。他の補助金で導入する設備と明確に区分できる必要があります。
Q4. 交付決定前に契約や発注をしてしまった場合、どうなる?
A. 原則、交付決定前に発注・支払いをした経費は補助対象外となるため注意してください。
お問い合わせ先
中小企業省力化投資補助事業 コールセンター
- ナビダイヤル:0570-099-660
(通話料がかかります) - IP電話等から:03-4335-7595
受付時間:9:30~17:30/月曜~金曜(土・日・祝日除く)
ダイヤルに接続後、「一般型に関しては2番」 を選択してください。応募申請前の方はさらに「1番」を、申請後の方は「2番」を選択します。
まとめ
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足の解消や賃上げ、生産性向上を同時に目指す企業にとって、非常に魅力的な制度です。
申請には詳細な事業計画や賃上げ要件など、多数の要件がありますが、条件を満たせば最大で1億円(従業員101人以上の場合)の補助上限額や補助率2/3が適用されるなど、しっかりとした支援が受けられます。
ぜひこの機会に、自社の業務プロセスを見直し、生産性向上と賃上げを両立できる投資へと踏み出してみてはいかがでしょうか?
公募要領や公式情報は必ず最新のものをチェックし、正確な申請手続きを行いましょう。
▼参考リンク
(本記事は2025年1月30日・2月3日公表の公募要領・FAQ等をもとに作成しています。最新情報は公式サイトを必ずご確認ください。)