新型コロナウイルス感染症による経営環境の変化を経て、現在は人手不足や賃上げ、原材料費の高騰など、多岐にわたる経営課題が生じています。こうした状況を踏まえ、政府や信用保証協会、日本政策金融公庫(以下「日本公庫」)などでは、2025年1月以降の資金繰り支援を大きく見直し・拡充し、継続的な経営改善と成長促進を後押ししていきます。

本記事では、今後利用できる主な支援メニューをまとめました。資金繰りにお悩みの方はぜひご確認ください。


資金繰り支援の全体像

  1. 協調支援型特別保証の新設
    • 民間金融機関によるプロパー融資※と信用保証付融資を組み合わせることで、金融仲介機能を一層強化
    • 人手不足など多岐にわたる経営課題解決の取り組みを支援
    • 保証上限:2.8億円/保証割合:80%
    • 据置期間:運転資金1年以内、設備資金3年以内
    ※プロパー融資:信用保証協会の保証がなく、民間金融機関が独自に実施する融資です。
  2. 経営改善サポート保証(コロナ対応型)から経営改善・再生支援強化型へ
    • コロナ対応型は2025年3月末まで実施
    • その後は**「経営改善・再生支援強化型」**へ移行し、経営改善・再生計画を策定したうえでの借換えを支援
    • 保証上限:2.8億円
    • 保証料率:0.3%
    • 据置期間:最大3年
  3. 日本公庫による資本性劣後ローンの拡充
    • コロナ資本性劣後ローンは2025年2月末まで延長実施
    • その後は通常の資本性劣後ローンを拡充し、省力化投資などを行う成長志向の事業者も対象に追加
    • 融資上限:(中小事業)15億円、(国民事業)7,200万円
    • 業績に応じた2区分の利率(赤字:0.5%/黒字:3%台)
    • コロナ資本性劣後ローンの場合、融資後3年間は利率0.5%
  4. 日本公庫によるセーフティネット貸付の金利引下げ措置
    • 原油価格や資材費等の高騰により利益率が減少した方向けに、基準金利から0.4%引下げ
    • 2025年3月末まで延長実施
    • 融資上限:(中小事業)7億2千万円、(国民事業)4,800万円
    • 貸付期間:設備資金15年以内、運転資金8年以内
    • 据置期間:最大3年
  5. 小口零細企業保証の継続
    • 従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者向け
    • 100%保証が可能(保証上限:2,000万円)
    • 既存の100%保証融資は同じ100%保証で借換え可能
  6. 早期経営改善計画策定支援事業の延長
    • 国が認定した専門家(税理士・中小企業診断士など)や、一定の条件を満たした民間金融機関による経営改善計画策定への支援費用を2/3補助
    • 早期経営改善計画策定支援の対象拡大が2028年1月末まで延長

「経営者保証」を不要とする保証取扱いについて

経営者が融資の際に連帯保証人となる**「経営者保証」。一定の要件を満たすことで、信用保証協会の保証において経営者保証を不要**とする可能性があります。代表的な3つの取扱いは下記のとおりです。

通称主な要件
金融機関連携型– 取扱金融機関が、
 (1) 信用保証協会の保証なし
 (2) 経営者保証不要
 (3) 無担保融資残高を有すること
(または同内容の融資を同時に実行)

– 直近決算期で債務超過でない、かつ直近2期の減価償却前経常利益が連続赤字でない
– 法人と経営者の一体性が解消されている(金融機関が確認) など
財務要件型– 直近決算期において一定の財務要件を満たす(「財務要件型無保証人保証制度」利用)
担保充足型– 法人または経営者所有の不動産により十分な保全を図れる場合

参考リンク:
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/pamphlet/shikinguri_shien.pdf
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/download/leaflet_kyokai.pdf