補助金解説メディア 公募要領(第1回)に基づく完全解説
更新日:2026年7月10日 出典:中小機構 公募要領(第1回)
国の補助金 ものづくり・新事業進出 第1回公募

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
完全解説ガイド——制度の全容を図解で理解する

2026年に新設された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、革新的な製品・サービス開発や新市場進出、海外展開を支援する国の補助金です。 最大9,000万円、補助率最大2/3の支援が受けられます。 本記事では公募要領(第1回)の全内容を、図解を交えながら具体的に解説します。

最大9,000万円
補助上限額
グローバル枠・101人以上
最大 2/3
補助率
グローバル枠・小規模事業者
3枠
申請枠
目的に合わせて選択
9/30 18:00
第1回締切
令和8年9月30日(水)
01

補助金の概要

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、2026年に新設された補助金です。従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」を統合・再編した制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営します。

中小企業等が行う革新的な新製品・新サービスの開発、新市場への進出、海外展開を支援し、付加価値向上・生産性向上を通じた賃上げの実現を目的としています。

図1 補助金の3つの目的
🏭
革新的な
製品・サービス開発
技術的革新性のある新製品・新サービスを開発し、顧客に新たな価値を提供する取組
🚀
新市場への進出
既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出。自社にとっての新規性があれば対象
🌏
海外展開
海外市場開拓(輸出)に向けた国内製造等拠点の強化。自発的な取組であることが必要
目的: 中小企業等の付加価値向上・生産性向上を通じた賃上げの実現
⚠️ 旧補助金との違い

本補助金は「中小企業新事業進出補助金」および「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(旧ものづくり補助金)」とは別の補助金です。混同しないようご注意ください。

02

3つの申請枠

本補助金には3つの申請枠があります。自社の事業展開の目的に合わせて選択します。1回の公募につき1申請のみ可能です(複数枠への同時申請は不可)。

図2 3つの申請枠の概要と対象・対象外の例
枠① 革新的新製品・サービス枠

革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援。顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することが対象。

✓ 対象の例
  • 自社技術を活かした新製品の開発
  • 既存製品と異なる用途・機能を持つ新サービスの開発
✗ 対象外の例
  • 既存製品の生産プロセス改善のみ
  • 機械装置を導入するだけ(新製品開発を伴わない)
  • 同業他社に既に普及している製品の開発
枠② 新事業進出枠

既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援。①自社にとって新規性のある製品等の製造、かつ②自社にとって新たな市場への参入が条件。

✓ 対象の例
  • 自社にとって初めての製品カテゴリへの参入
  • 既存顧客と異なる業種・業態への展開
✗ 対象外の例
  • 既存製品の製造量・提供量を増大させるだけ
  • 過去に製造していた製品等を再製造する
  • 既存製品と対象市場が同一(需要が代替されるだけ)
枠③ グローバル枠

海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化の取組を支援。①自社製品等を活用した自発的な新たな海外販路開拓のための国内製造等拠点強化、かつ②自社にとって新たな海外市場への参入が条件。

✓ 対象の例
  • 新たな国・地域への輸出体制構築のための設備投資
  • 自発的な海外販路開拓に向けた製品改良
✗ 対象外の例
  • 取引先主導の事業(自発的でない)
  • 既に輸出実績のある国・地域への追加投資のみ
  • 海外拠点への投資(国内拠点の強化が必要)
03

補助額・補助率

補助額・補助率は申請枠と従業員数によって異なります。賃上げ特例を適用することで補助上限額をさらに引き上げることができます。

図3 革新的新製品・サービス枠の補助額・補助率
従業員数 補助上限額 賃上げ特例適用時 補助率
1〜5人750万円850万円1/2(小規模・再生は2/3)
6〜20人1,000万円1,250万円1/2(小規模・再生は2/3)
21〜50人1,500万円2,500万円1/2(小規模・再生は2/3)
51人以上2,500万円3,500万円1/2(小規模・再生は2/3)

※ 補助下限額:100万円 ※ 地域別最低賃金引上げ特例適用時は補助率2/3に引上げ

図4 新事業進出枠・グローバル枠の補助額・補助率
従業員数 補助上限額 賃上げ特例適用時 補助率
1〜20人2,500万円3,000万円新事業:1/2(小規模2/3)
グローバル:2/3
21〜50人4,000万円5,000万円新事業:1/2(小規模2/3)
グローバル:2/3
51〜100人5,500万円7,000万円新事業:1/2(小規模2/3)
グローバル:2/3
101人以上7,000万円9,000万円新事業:1/2(小規模2/3)
グローバル:2/3

※ 補助下限額:750万円 ※ 地域別最低賃金引上げ特例適用時は補助率2/3に引上げ(新事業進出枠のみ)

賃上げ特例で補助上限額が引き上がる
賃上げ要件(基本)
1人当たり給与支給総額の年平均成長率 +3.5%以上
賃上げ特例(追加)
上記に加えて更に +2.5%(合計 +6.0%以上)、かつ最低賃金 +50円以上
04

申請要件(基本要件)

補助金を受けるには、補助事業終了後3〜5年の事業計画において以下の6要件をすべて満たす必要があります。要件未達の場合は補助金の一部または全額の返還義務が生じます。

図5 6つの基本要件と返還義務の有無
付加価値額要件

付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

💡 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費

賃上げ要件 未達時は返還義務あり

1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること

💡 目標値は全従業員または従業員代表者に交付申請時までに表明が必要

事業場内最賃水準要件 未達時は返還義務あり

毎年、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準であること

💡 補助事業実施場所の都道府県の地域別最低賃金が基準

ワークライフバランス要件

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること

💡 「両立支援のひろば」での公表が必要。手続きに1〜2週間かかるため早めに準備を

子育て等職場環境整備要件

「子育て等に関する職場環境整備」に向けた取り組みを行うこと

💡 具体的な取り組み内容は公募要領の別表を参照

金融機関要件

金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

💡 自己資金のみで実施する場合は不要

⚠️ 補助金返還の計算式(賃上げ要件の場合)
補助金返還額 = 補助金交付額 × (1 − 実績成長率 ÷ 目標成長率)

例:補助金1,000万円、目標成長率5%、実績成長率3%の場合 → 返還額 = 1,000万円 × (1 − 3÷5) = 400万円

05

補助対象者

日本国内に本社および補助事業実施場所を有する以下の事業者が対象です。資本金・従業員数のいずれかが基準以下であれば対象となります。

図6 補助対象者の種類と規模要件
業種 資本金 常勤従業員数 小規模(製造業) 小規模(商業・サービス)
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下20人以下
卸売業1億円以下100人以下5人以下
サービス業(一般)5,000万円以下100人以下5人以下
小売業5,000万円以下50人以下5人以下
ゴム製品製造業(特定除く)3億円以下900人以下20人以下
ソフトウェア・情報処理3億円以下300人以下20人以下
旅館業5,000万円以下200人以下20人以下
その他の業種3億円以下300人以下20人以下

※ 資本金・従業員数のいずれかが基準以下であれば対象。特定事業者(資本金10億円未満)も一部対象。

✓ 対象となる組織形態
会社(株式・合同・合資等) 個人事業主 組合・連合会 特定非営利活動法人(NPO) 農事組合法人 対象リース会社
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補助対象経費

補助対象となる経費は申請枠によって異なります。いずれも「本補助金の対象として明確に区分でき、必要性および金額の妥当性を証拠書類によって確認できる経費」に限られます。

図7 補助対象経費の一覧(申請枠別)
経費区分 革新的新製品・
サービス枠
新事業
進出枠
グローバル枠
機械装置・システム構築費
運搬費
技術導入費
知的財産権等関連経費
外注費
専門家経費
クラウドサービス利用費
原材料費
広告宣伝・販売促進費
建物費
海外旅費
通訳・翻訳費
✗ 補助対象外となる主な経費
補助事業期間外の経費 汎用性が高く目的外使用可能なもの 中古品の購入 代表者・役員への支払い 不動産の購入・賃借 自社内の人件費 消費税 補助金申請支援の費用
07

申請フロー

申請から補助金受け取りまでの流れを図解します。電子申請システムのみでの受付です。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、取得に約1週間かかります。

図8 申請から補助金受取までの全体フロー
事前準備
🆔
GビズIDプライムアカウント取得
取得に約1週間。早めに準備を!
申請前
📋
一般事業主行動計画の策定・公表
「両立支援のひろば」での公表。手続きに1〜2週間
申請前
申請
📝
事業計画書の作成
事業計画テンプレート(後日公開)を活用して準備
8/31〜
💻
電子申請システムで申請
添付書類をアップロードして提出。入力に数時間かかるため余裕を持って
〜9/30 18:00
審査
📄
書面審査
外部有識者からなる審査委員会が事業計画を審査
10〜11月頃
🎤
口頭審査(必要に応じて)
Zoom等でオンライン実施。15分程度。申請者本人が対応必須
10〜11月頃
採択・交付
🎉
採択発表
採択・不採択の結果を通知。採択者は商号等を公表
令和8年12月頃
📬
交付申請
採択後に交付申請を行い、事務局が経費を精査
採択後
🔨
補助事業の実施
交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)
交付決定後
📊
実績報告・補助金受取
事業完了後に実績報告を提出し、確定検査後に補助金を受取
事業完了後
📈
事業化状況報告(3〜5年間)
補助事業終了後、毎年度の事業化状況を報告。要件未達時は返還義務
毎年度
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必要書類

申請時に必要な書類は以下のとおりです。書類の不備・不足があると審査対象外となるため、事前に十分確認してください。

図9 申請時の必要書類一覧
必須書類(全員提出)
決算書
法人:直近3期分の貸借対照表・損益計算書等 / 個人:青色申告決算書または収支内訳書
従業員数を示す書類
労働基準法に基づく労働者名簿の写し(申請時点のもの)
収益事業を行っていることを説明する書類
法人:確定申告書別表一・法人事業概況説明書の控え / 個人:確定申告書第一表等
条件付き書類(該当者のみ)
金融機関による確認書
条件:金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合
⑤⑥
リース料軽減計算書・宣誓書
条件:リース会社と共同申請する場合
再生事業者であることを証明する書類
条件:再生事業者加点を希望する場合
地域別最低賃金引上げに係る要件確認書
条件:地域別最低賃金引上げ特例の適用または加点を希望する場合
事業場内最低賃金引上げに係る要件確認書
条件:事業場内最低賃金引上げ加点を希望する場合
経営革新計画承認書の写し
条件:経営革新計画加点を希望する場合
研究開発費・試験研究費計上を確認する書類
条件:研究開発費・試験研究費計上に係る加点を希望する場合
09

審査のポイント

審査は書面審査と口頭審査(必要に応じて)の2段階で行われます。外部有識者からなる審査委員会が5つの観点から評価します。

図10 書面審査の5つの評価観点
① 補助対象事業としての適格性
  • 補助対象事業の要件(1-3節)を満たしているか
  • 事業経費・補助対象経費が事業目的の達成のために真に必要かつ合理的な額か
② 経営戦略との整合性
  • これまでの事業活動との一貫性があり、経営戦略上に明確に位置付けられているか
  • 外部環境と自社の強み・弱みを踏まえ、競争優位性を発揮できる内容か
  • 現状の課題が適切に認識され、高付加価値化・成長につながる実効性の高い計画か
③ 事業の実現可能性
  • 高い付加価値創出・賃上げの目標値が設定され、実現可能性が高い計画か
  • 補助事業を適切に遂行できる体制(人材・事務処理能力)が確保されているか
  • 製品・サービスの価値、顧客ターゲットの明確性、ニーズの裏付けが整理されているか
  • 中長期での課題検証、スケジュール・課題解決方法が明確かつ妥当か
④ 公的補助の必要性
  • 川上・川下への経済波及効果が大きい事業か
  • 補助金の費用対効果(付加価値額の増加規模・生産性向上・継続可能性)が高いか
  • 先端デジタル技術活用・新ビジネスモデル構築等でイノベーションに貢献できるか
⑤ 政策面
  • 経済社会の変化(関税影響・原油高騰等)に対応し、日本経済の構造転換に資するか
  • 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域経済成長を牽引できるか
  • 地域の産業クラスター形成・拡大に資するか
口頭審査について
実施方法
Zoom等オンライン(カメラON必須)
所要時間
1事業者あたり約15分
対応者
申請事業者本人のみ(コンサル等の同席不可)
予約方式
先着順(早期申請者が優先的に日時選択可)

⚠️ 口頭審査の対象となったにもかかわらず受験しなかった場合は不採択となります。

10

加点・減点項目

審査では基本評価に加え、以下の加点・減点項目が適用されます。加点項目は申請締切日時点で要件を満たしている必要があります。

図11 加点項目一覧(全14項目)
パートナーシップ構築宣言
ポータルサイトで令和8年1月1日更新のひな形を利用して宣言を公表
くるみん認定
次世代法に基づく認定(トライくるみん・くるみん・プラチナくるみん)を取得
えるぼし認定
女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1〜3段階またはプラチナえるぼし)を取得
健康経営優良法人
健康経営優良法人2026に認定されている事業者
再生事業者
中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画を策定中または策定済(3年以内)
経営革新計画
申請締切日時点で有効な「経営革新計画」の承認を取得
事業継続力強化計画
申請締切日時点で有効な「(連携)事業継続力強化計画」を取得
DX認定
申請締切日時点で有効な「DX認定」を取得
J-Startup選定
「J-Startup」または「J-Startup地域版」に選定
新規輸出1万者支援プログラム
グローバル枠のみ対象。ポータルサイトで登録完了
日本の食輸出1万者支援
グローバル枠のみ対象。ポータルサイトで登録完了
研究開発費・試験研究費計上
申請締切の前期までに研究開発費または試験研究費を計上し、研究開発を推進
地域別最低賃金引上げ
2024年10月〜2025年9月の間、地域別最低賃金以上〜2025年度改定未満で雇用する従業員が全体の30%以上の月が3か月以上
事業場内最低賃金引上げ
2025年7月と申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、63円以上の賃上げをした事業者
図12 減点項目(注意)
加点項目要件未達事業者
過去に賃上げ加点で採択されたが要件未達の場合、未達報告から18か月間は大幅減点
過剰投資の抑制
類似テーマ・設備等への申請が集中している場合、過剰投資と判断され大幅減点
他の補助事業の事業化が進展していない事業者
新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金の直近事業化段階が3段階以下
補助金複数回利用者
過去3年間にものづくり補助金または新事業進出補助金で交付決定を1回受けている事業者
補助要件未達事業者
過去に交付決定を受けて事業を実施したが、賃上げ要件・事業場内最賃水準要件を達成できなかった事業者
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公募スケジュール(第1回)

図13 第1回公募スケジュール
2026年6月29日(月)
公募開始・公募要領公開
2026年8月31日(月)
申請受付開始
2026年9月30日(水)18:00
⚠️ 申請締切(厳守)
2026年12月頃(予定)
採択発表

💡 電子申請の入力には数時間程度かかります。締切間際は申請が集中するため、余裕を持って早めに申請を開始してください。

12

申請前チェックリスト

申請前に以下の項目を確認してください。特に事前準備が必要な項目は早めに着手することをお勧めします。

図14 申請前チェックリスト
事前準備
GビズIDプライムアカウントを取得済み(取得に約1週間)
一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」で公表済み(手続きに1〜2週間)
補助対象者の要件(業種・資本金・従業員数)を満たしている
みなし大企業・みなし同一事業者に該当しない
申請枠の確認
3つの申請枠(革新的新製品・サービス枠 / 新事業進出枠 / グローバル枠)のどれに該当するか確認した
申請する枠の「対象外の例」に該当しないことを確認した
1回の公募につき1申請のみであることを理解している
事業計画の内容
付加価値額の年平均成長率4.0%以上の目標を設定できる
1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の目標を設定できる
事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準を維持できる
事業計画書に競合他社との差別化・市場規模・実現可能性を具体的に記載できる
補助対象経費が明確に区分され、必要性・妥当性を説明できる
必要書類
直近3期分の決算書を準備した
労働者名簿の写し(申請時点)を準備した
確定申告書等の収益事業を説明する書類を準備した
加点を希望する場合、対応する書類を準備した
申請手続き
電子申請システムの操作マニュアルを確認した(後日公開)
申請は申請者自身が行うことを理解している(代理申請は不可)
事業計画作成支援者がいる場合、電子申請システム内に支援者情報を記載する
締切間際の申請集中を避けるため、早めに申請を開始する