制度概要

本事業は、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業)」のうち、「ライフサイクルカーボン削減型の先導的な新築ZEB支援事業」に位置づけられる間接補助事業。一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)が執行団体として交付申請を受け付ける。地方公共団体等が所有する施設および民間の業務用建築物を対象に、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の実現に必要な省エネ・省CO2設備の導入と、建築物のライフサイクル全体での温室効果ガス算定・削減の取り組み、および低炭素型建材の活用を促進する補助金。本公募(三次公募)が令和8年度最終公募となる。

補助額・補助率|最大5億円

ZEB化に関する部分

補助上限額は5億円(「ZEB化に関する部分」と「低炭素型建材活用に関する部分」の合計)。補助率はZEBランクと建築用途の組み合わせにより以下のとおり異なる。

ZEBランク事務所等事務所等以外
『ZEB』30%55%
Nearly ZEB25%38%
ZEB Ready21%30%
ZEB Oriented対象外30%

「事務所等」は事務所・官公署等を指し、「事務所等以外」はホテル等・病院等・物品販売業を営む店舗等・学校等・飲食店等・集会所等を指す。

補助金額はCO2削減量に対する費用対効果(CO2削減コスト)による上限も設定されており、ZEBランクごとに以下の値を超える場合は当該値に補助金額を圧縮する。

  • 『ZEB』:120,000円/t-CO2
  • Nearly ZEB:100,000円/t-CO2
  • ZEB Ready・ZEB Oriented:50,000円/t-CO2

低炭素型建材活用に関する部分

低炭素型建材のかかり増し経費の2分の1(申請者がGX率先実行宣言を行う場合は3分の2)を補助する。ただし、アップフロントカーボン削減コストが30,000円/t-CO2を超える場合は、30,000円/t-CO2×削減量から算定した額が上限となる。木材に関するかかり増し経費は、条件Aの場合は従来工法(S造)の建設費との差、条件Bの場合は木材置き換え前の建設費との差とする。

車載型蓄電池・充放電設備・充電設備

  • 車載型蓄電池:蓄電容量(kWh)の2分の1に40,000円/kWhを乗じた額(最新CEV補助金の銘柄ごとの交付額が上限)
  • 充放電設備・充電設備(設備費):費用の2分の1を乗じた額(最新CEV補助金の額が上限)
  • 充放電設備・充電設備(工事費):全体事業の補助率を乗じた額

補助事業期間・年度別予算枠

補助事業は国庫債務負担行為のもと令和8年度から令和10年度の3年度以内で実施する。年度ごとの事業予算額は、令和8年度:約5.7億円、令和9年度:約14.2億円、令和10年度:約8.5億円。三次公募では複数年度事業を前提とし、BELS認証取得は令和9年度事業期間中、ZEBリーディング・オーナー登録は令和9年度事業完了時までに行えばよい。

対象者

国内の業務用建築物等に補助対象機器等を導入する建築主等であり、日本国内で事業を営む以下の者が申請できる。

  • 民間企業
  • 個人事業主
  • 独立行政法人・地方独立行政法人
  • 国立大学法人・公立大学法人・学校法人
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人
  • 地方公共団体(都道府県・指定都市・中核市・施行時特例市・特別区を除く。ただし建物用途が病院等の場合はこれらも対象)
  • その他、環境大臣の承認を得てSERAが適当と認める者

複数の権利者が共同所有する建物は全所有者による共同申請が必要。区分所有建物は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要。設備所有者と建物所有者が異なる場合は両者の共同申請(設備所有者が代表)。ファイナンスリースまたはESCO事業(シェアードセイビングス方式)による場合は、リース事業者またはESCO事業者を代表事業者とし建築主等を共同申請者とする。

対象施設の要件

主たる用途が下記のいずれかに該当する新築の業務用建築物が対象。

  • 事務所等(事務所・官公署等)
  • ホテル等(ホテル・旅館等)
  • 病院等(病院・老人ホーム・福祉ホーム等)
  • 物品販売業を営む店舗等(百貨店・マーケット等)
  • 学校等(小中学校・大学・専修学校・給食センター等)
  • 飲食店等(飲食店・食堂・喫茶店等)
  • 集会所等(図書館・博物館・体育館・公会堂・映画館等)

住宅・工場・畜舎・自動車車庫・倉庫・卸売市場・火葬場・パチンコ屋等は対象外。

延べ面積の要件は申請者の区分により異なる。地方公共団体等(地方独立行政法人・公営企業を含む)が所有する建築物は面積要件なし。それ以外の者が所有する建築物は、建築用途が事務所等以外の場合は延べ面積10,000㎡未満に限る。申請時点において実施設計が完了していることが必要。

対象事業・対象経費

環境性能に関する要件(ZEBランク認定の前提条件)

建築物省エネ法の誘導基準における外皮性能基準への適合が必須。一次エネルギー消費量については、原則として再エネを除く設計一次エネルギー消費量を基準値から50%以上削減すること(ZEB Ready以上に相当)。延べ面積10,000㎡以上の事務所等以外の建築物(地方公共団体等が所有するものに限る)は、建築用途ごとに30〜40%削減かつ空気調和・衛生工学会が公表するWEBプログラム未評価技術123項目のうち1項目以上の導入により申請可能。

エネルギー利用・BEMS要件

BEMSを導入し、計量区分ごとにエネルギーの計測・記録・分析・評価を行う体制を整備すること。BEMSは計測・計量装置、制御装置、監視装置、データ保存・分析・診断装置を含むシステムとし、補助事業完了後5年間にわたりSERAが指定する「ZEBプラットフォーム(報告サイト)」へのデータ報告に対応できる仕様であること。需要側設備等を通信・制御できる機能も必要。

その他の必須要件

  • BELS認証:令和9年度事業期間中に取得し、評価書の写しをSERAに提出すること。評価書・BELSプレート等を補助対象建築物内に掲示すること
  • ZEBリーディング・オーナー登録:令和9年度事業完了時までに登録申請を行うこと
  • ZEBプランナー:交付決定時までに登録が完了しているZEBプランナーが関与すること
  • 再エネ発電設備:設置を必須要件とする。発電分は主に自家消費し、FIT等による売電は不可。余剰電力の系統連系は可
  • 耐震基準(1981年改正)への適合、ハザードマップを踏まえた水害・土砂災害対策

ライフサイクルカーボンに関する要件

申請時点および事業完了時点において、調達・施工・運用・修繕・解体・廃棄の全段階でライフサイクルカーボンを算定すること。算定はエンボディドカーボンを「②-1(アップフロントカーボン)」「②-2(使用段階/資材関連)」「②-3(解体段階)」の3区分以上に分け、「③(オペレーショナルカーボン)」と合計で4区分以上とする。削減量を定量的に示す取り組みを2個以上(「低炭素型建材活用」を含む)実施すること。なお、以下はライフサイクルカーボン削減取り組みの対象外。

  • 補助対象建築物に係る部分以外での取り組み(外構等)
  • 間接的にしかライフサイクルカーボン削減につながらない取り組み(自社での広報活動等)
  • ZEB化に資する設備(高効率空調・高効率照明等)の導入、「R32」空調冷媒の使用

低炭素型建材の要件

以下の低炭素型建材を1つ以上、躯体(耐力が求められる構造体)に導入すること。

  • 鉄(GXスチール等):経済産業省「GX推進のためのグリーン鉄研究会」が定義する「GX推進のためのグリーン鉄」であること。削減証書等の証明資料が必要
  • コンクリート:高炉セメントC種もしくは同等品を用いたもの、または製造時のCO2排出量が通常比60%以上削減したものであること。削減証書等の証明資料が必要
  • 木材(条件A:木造化推進型):事務所等は3階以下、事務所等以外は2階以下かつ延べ面積3,000㎡以下。従来工法(S造・電炉鋼基準)比でアップフロントカーボン25%以上削減。CLT・木質耐火部材・大断面集成材の合計が躯体に使用する木材の過半(体積ベース)以上であること
  • 木材(条件B:低炭素型鉄・コンクリート併用型):低炭素型の鉄またはコンクリートを導入したうえで、躯体の鉄またはコンクリートの一部を木材に置き換えることでアップフロントカーボンを削減すること。木材に係る補助対象経費は鉄・コンクリートの補助対象経費合計を上限とする

ZEB化に関する補助対象設備(主な区分)

  • 断熱・外皮:断熱材、Low-E複層ガラス、高性能窓、日射追従型ブラインド・ルーバー、遮熱塗料等
  • 熱源機器:高効率冷凍機・ヒートポンプ・業務用エアコン(GHP・EHP)等
  • 空調機器:VAV空調機・全熱交換器・デシカント空調機・輻射冷暖房システム等(標準型ファンコイル等は対象外)
  • 給湯機器:ヒートポンプ型給湯器・排熱回収型ボイラ等(電気温水器・潜熱回収型給湯器は対象外)
  • 換気機器:ブラシレスDCモーター型・インバータ制御ファン等(通常の換気扇・還気ファンは対象外)
  • 再エネ・未利用エネルギー:太陽光発電設備(建材一体型を含む)、風力、小水力、太陽熱、地中熱、バイオマス等(主に自家消費する場合に限る)
  • 蓄電システム:創蓄連携に必要な機器(補助対象経費全体の20%を上限)
  • BEMS:制御機器・監視装置・中央監視盤・計測計量装置・BEMS装置等
  • WEBプログラム未評価技術23項目:CO2濃度による外気量制御、自然換気システム、空調ポンプ制御の高度化、空調ファン制御の高度化、フリークーリング、デシカント空調、AI制御省エネシステム、デマンドレスポンス、水素製造・貯蔵・利用システム等

なお、太陽光パネル(モジュール・アレイ)は令和8年度中に納入(検収・支払を含む)を完了した設備費が補助対象となり、令和9年度以降に導入する太陽光パネルの設備費は原則として補助対象外(令和8年度中に納入完了したパネルの令和9年度以降の設置工事費は対象になり得る)。

補助対象とならない主な経費

  • 建築工事・躯体工事・省エネに直接寄与しない設備工事
  • 照明機器
  • 給排水衛生関係(水栓金具等)・冷蔵冷凍設備(ショーケース等)
  • 内装・家具類(カーテン・ブラインド等を含む)
  • 設計費・現場調査費・諸経費
  • 防災設備・防犯設備・昇降機設備(エレベーター・エスカレーター)
  • FITによる売電を行う再エネ発電設備
  • 既存機器の撤去・移設・処分費・冷媒ガス処理費
  • 運用に係る経費(電力・通信費・ソフトウェアライセンス維持費等)
  • 資産計上できない設備等・消耗品・オプション機器・保証費
  • 遮熱フィルム・外装仕上げ材・シャッター等

セキュリティ要件

本事業で導入する「太陽光発電設備」「蓄電池設備」および「これらの出力制御を行うBEMS」でIPを使用したデータ送受信機能を持つIoT製品を導入する場合、IPA(情報処理推進機構)のJC-STAR制度における★1以上の適合ラベルを取得した製品であること(事業完了までに取得すればよい)。

審査項目・加点項目

公募要領に記載された主な審査・加点要件は以下のとおり。

  • 加点(ライフサイクルカーボン算定):EPD等の固有値を積極的に使用してライフサイクルカーボンを算定した事業は審査上加点される
  • 加点(削減取り組み):削減量を定量的に示す取り組みを要件(2個)を超えて実施している事業は審査上加点される
  • 優先採択枠①(木材利用促進協定):補助事業者が締結した建築物木材利用促進協定に基づき木材を用い、かつ申請時点までに協定が締結されており、補助対象建築物が協定対象区域内にあり、協定の構想に沿った木材を使用する事業は建築用途・地域区分に関わらず優先採択枠の対象となる(補助事業者自身が協定を締結していること。地方公共団体が補助事業者の場合は対象外)
  • 優先採択枠②(CLT等の新たな木質部材):CLT等の新たな木質部材を構造耐力上主要な部分に用い、開口部を除く外皮面積へのCLT等使用割合が20%以上、またはCLT総使用量÷延べ面積が0.05㎥/㎡以上(延べ面積10,000㎡以上の場合は500㎥以上)の事業は優先採択枠の対象となる
  • レジリエンス加点要件:ZEB Ready・ZEB Orientedの事業について再エネ発電設備・蓄電システムを補助対象とするには、レジリエンス機能に関する加点要件を満たすことが必要(『ZEB』・Nearly ZEBは当該要件不要)

申請受付期間

2026年10月16日(金)〜 2026年12月15日(火)

補助事業期間

令和8年度〜令和10年度の3年度以内。三次公募では複数年度事業を前提とし、令和8年度分の経費内訳書・実施計画書の提出は不要。令和9年4月10日までに令和8年度分の年度終了実績報告(実績がない場合もその旨を報告)を提出すること。

出所