制度概要

公益財団法人東京観光財団が実施する補助金制度で、東京都内の中小企業の観光関連事業者が、生産性向上・高付加価値化による経営力強化を図るために、専門家の支援を受けて行うDX・デジタル化・新商品サービス開発等の取組を対象とする。専門家とは「令和8年度観光関連事業者向けDXナビゲーター事業」等で認定されたDXナビゲーター等の中から東京観光財団理事長が選定する、中小企業診断士の資格を保有しITに関する知見を持つ外部有識者を指す。補助金申請の前に専門家派遣(補助金申請前支援コース)を受け、経営診断・課題抽出・助言を受けた上で申請する仕組みであり、申請者が独自に定めた取組内容をそのまま申請することはできない。交付決定後も専門家による伴走支援(補助金交付決定後支援コース、最低1回必須)を受けながら事業を実施する。

補助額・補助率|最大3,000万円

区分補助率補助上限額
通常補助対象経費の2/3以内3,000万円
賃金引上げ計画を掲げ、達成した場合補助対象経費の3/4以内3,000万円

補助下限額は100万円。申請する補助金の合計が100万円未満となる場合は申請不可。

賃金引上げ計画の達成要件

補助率3/4以内の適用には、以下のア・イ双方を達成する必要がある。

  • ア:補助対象事業終了後に初めて到来する事業年度における給与支給総額が、申請時直近決算書の給与支給総額と比べ2.0%以上増加
  • イ:補助対象事業終了後に初めて到来する事業年度の全ての月において、都内事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)が「地域別最低賃金+30円以上」を達成

なお、補助対象事業終了後12か月以内のうち任意の1か月における給与支給総額が前年同月比2.0%以上増加した場合、決算期の到来前であっても賃金引上げ計画を達成したものとみなして2回目の補助金交付(前倒し交付)を受けることができる。この場合も最終的にア・イ双方の達成を報告する義務がある。

補助事業実施期間

令和9年3月15日から令和11年3月14日まで(最長2年間)。この期間内に契約・発注・取得・実施・支払(口座引き落とし)が完了した経費のみ対象となる。

対象者

以下の要件をすべて満たす観光関連事業者が対象となる。

中小企業者の規模要件

業種資本金従業員数
旅館業5,000万円以下200人以下
サービス業(下記以外)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
卸売業1億円以下100人以下
製造業・建設業・運輸業・その他3億円以下300人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下

大企業が実質的に経営に参画していない者に限る。発行済株式総数の1/2以上を単独の大企業が保有、または2/3以上を大企業が複数で保有している場合、役員総数の1/2以上を大企業の役員・職員が兼務している場合、フランチャイズ加盟店等は対象外。

所在地・事業継続要件

  • 東京都内に登記簿上の本店または支店があること
  • 令和8年4月1日現在で継続して2年以上都内で事業を営んでいること
  • 同日現在で申請に係る業種の事業を都内で1年以上営んでいること
  • 補助事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定であること

対象となる観光関連事業者の業種

  • 宿泊事業者:東京都内において旅館業法第3条第1項の許可を受けて旅館・ホテル営業を行っている事業者(店舗型性風俗特殊営業を行う施設およびこれに類するものを除く)
  • 飲食事業者:食品衛生法に基づく飲食店営業または喫茶店営業の許可を受けて、東京の歴史・伝統・文化・自然・食材等に強く紐づいた東京ならではの食事や食体験を提供している事業者(風俗営業、性風俗関連特殊営業、特定遊興飲食店営業、接客業務受託営業を行う店舗およびこれに類するものを除く)
  • 小売事業者:東京都内に常設の店舗(ポップアップストア等の仮設型店舗を除く)を設け、旅行者に対して専ら東京の歴史・伝統・文化・自然等に強く紐づいた東京ならではの土産・特産品を販売している事業者
  • 旅行事業者:東京都内に主たる営業所を置き、旅行業法第3条および第23条に基づく登録を受けて営業している事業者
  • その他:旅行者が五感を通じて東京の歴史・伝統・文化・自然等の魅力を体験できるプログラムやアクティビティを継続的に実施・提供し、東京都内において直接旅行者に販売している観光関連事業者として東京観光財団理事長が認める者(例:東京の酒造体験アクティビティ提供事業者等)

申請不可となる者

  • 同一テーマ・内容で国・都道府県・区市町村・東京都政策連携団体等から補助を受けている者(補助対象経費が明確に区分できる場合を除く)
  • 過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けている者(法人は代表者含む)
  • 都税その他租税の未申告または滞納がある者(猶予を受けている場合も含む)
  • 民事再生法・会社更生法・破産法に基づく申立・手続中(再生計画等認可後を除く)または私的整理手続中など事業継続性について不確実な状況がある者
  • 国・都道府県・区市町村・東京都政策連携団体等から補助事業の交付決定取消等を受けている者、または法令違反等不正の事故を起こした者
  • 過去に本補助金の交付決定を受けており、申請時点で当該補助事業が完了(補助金受領済み)していない者
  • 自社で補助事業の実施場所(宿泊施設・店舗・新商品開発施設等)を東京都内に有していない者
  • 暴力団関係者、宗教活動・政治活動を主たる目的とする団体等

対象経費

補助対象事業として決定を受けた事業を実施するための必要最小限の経費で、補助対象期間内に契約・取得・実施・支払(口座引き落とし)まで完了したものが対象。1件100万円(税抜)以上の業務委託・購入等については原則として2社以上の見積書が必要。

①DX・デジタル化経費

デジタル技術を活用した自社の生産性向上の取組や、自社の新商品・サービスの開発・提供等に直接必要な新たなシステム構築・ソフトウェア導入・クラウド利用等に要する経費。初期費用および補助対象期間内の月々の利用料が対象。

  • システム開発・構築費:新たなシステムやアプリケーションの開発・構築を専門会社に外注する際の経費。申請時までに要件定義が完了し仕様・機能が具体的に決まっていることが必要。補助対象期間内にシステムの完成(試験運用・改善含む)が必須。自社で利用するもののみ対象(他社販売・貸出等を想定するものは対象外)
  • ソフトウェア導入費:新たなソフトウェア導入に要する経費。この費用単独での申請は不可(新たなシステムや商品・サービスの開発に係る経費とセットでの申請が必要)。ワード・エクセル等の汎用性のあるものは対象外
  • クラウド利用費:自社が保有していないサーバーにインターネット等を介して接続し、アプリケーション機能の提供やデータ保存領域の割り当てを受けるための新たな経費。この費用単独での申請は不可。初期費用例:サーバー初期設定経費、アプリケーション構築経費、データ移行経費、利用マニュアル作成経費。月々の利用料例:サーバー利用料、アプリケーション利用料、クラウド接続のための通信費
  • データ取得・解析費:新たなシステムや商品・サービスを開発する上で必要なデータ取得・解析に係る経費(ビッグデータ取得、AI導入・利用、データ解析サービス利用等)。この費用単独での申請は不可

②設備導入費

自社の生産性向上のためのDX・デジタル化や、自社の経営力向上のための新商品・サービスの提供・販売に直接必要な設備・機器の開発・構築・設置(据付費・運搬費含む)等に要する経費。

  • 経費例:アウトドア・アクティビティ用の独自設備の製造・設置、東京ならではの新しい文化体験設備の施工、独自開発するシステムの運用に必要な特殊機器の購入、自社サービスに合わせた独自のロボット開発・製造等
  • 申請時に仕様・機能・要件定義が具体的に決まっており、見積書・要件定義書等から明確に確認できることが必要
  • 老朽化等に伴う単なる新装・改装や買い替え・アップグレードは対象外
  • 開発した設備・機器のサービス商品化(他社への販売・有料貸出等)が想定されるものは対象外
  • 店舗やネット販売で購入した設備・機器を自ら設置・導入する場合、または購入した原材料・資材等を用いて自ら製造・設置する場合は対象外
  • 一般的な電化製品(テレビ・洗濯機等)や家庭用機器(家庭用自動掃除機・家庭用自動調理器等)は対象外
  • リース・レンタルは補助対象期間内に新たに契約を締結したものに限り対象。割賦はすべての支払いが補助対象期間内に終了するものに限り対象
  • 中古品の購入は対象外
  • 施設の改装については図面等の追加資料の提出が必要

③新商品・サービス開発費

新商品・サービスの開発等に直接必要な以下の経費。

  • 外注・委託費:開発の一部を外部の専門事業者・専門機関・教育機関・研究機関等に外注・委託する場合の経費(設計・施工・外注加工・試験、デザイン・ライティング・翻訳、専門機関との共同研究、特殊な運搬や搬入・設置等)。開発後の事業化(生産・販売等)に係る経費は対象外。専門家の指導・支援・コンサルティング等に係る経費は対象外。広告宣伝に係る費用は対象外
  • 産業財産権出願・導入費:開発するサービス・商品に係る産業財産権の出願(調査含む)に要する経費および必要な産業財産権を他の事業者から譲渡または実施許諾を受けた場合の経費。この費用単独での申請は不可。補助対象期間内に出願手続が完了していることが必要。出願後の経費(審査請求・登録料・維持年金等)は対象外。称号・認証・格付け・記録の取得等は対象外

主な補助対象外経費

  • 直接人件費
  • 間接経費(消費税等の租税・振込手数料・運送料・交通費・通信費・家賃・光熱費・収入印紙代・保険料等)
  • 汎用性があり目的外使用になり得るもの(自動車・船舶・自転車・事務用パソコン・プリンター・セキュリティソフト・タブレット端末・携帯端末・机・椅子等)
  • 保守に係る経費(保守費用・サポート費用等)
  • 中古品の購入経費
  • 老朽化による改築・改装や最新モデルへの買い替えに係る経費
  • 親会社・子会社・グループ企業等関連会社との取引(自社と資本関係のある会社、役員および社員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等)
  • 他社発行の手形・小切手・クレジットカード等による支払
  • 資料収集業務・調査業務・会議費・消耗品等の事務的経費・商品券等の金券類購入費
  • 不動産の取得費
  • 一般的な市場価格または事業規模に対して著しく高額な経費
  • アジャイル開発方式による契約(開発途中での仕様・機能の追加・変更を前提とし、成果物の完成形が事前に確定していないもの)
  • タイムチャージ方式等の発生主義に基づく契約

補助対象とならない取組の例

  • 開発する商品・サービス・取組内容が具体的に定まっていない事業(設備・システム等の詳細な要件定義が終わっていないもの)
  • 主な利用者・顧客が東京を訪れる旅行客ではない事業(主な利用客が東京都内や近郊で生活する一般客となる事業等)
  • 東京都外で利用・導入される取組(他県の観光施設での利用を含むシステム開発や、そのための設備導入等)
  • 東京が目的地に含まれない旅行商品・サービスに係る取組
  • 東京都以外の他県や日本以外の国・地域の独自文化・名産品等に強く紐づいたサービス・商品に係る取組
  • 単なる新装・改装や買い替えにあたる取組(老朽化した店舗の改装、調理機器の買い替え等)
  • 特定の顧客(法人・個人)向けで汎用性のない事業
  • 申請に係る業種として行う取組ではない事業(旅行業として申請する事業者が小売業の取組を申請する等)
  • 支援証明書(様式第1-2号別紙4)に記載がない取組

審査項目・加点項目

審査は一次審査(書類審査)と二次審査(面接審査)の2段階で実施される。

一次審査(書類審査)の審査項目

  • 資格審査:申請要件を満たしているか、専門家からの助言を受けているか
  • 経理審査:資金調達の実現性(外部借入への依存度)、事業の持続可能性(取組を継続できる経営状況にあるか)、事業予算規模の適正さ(補助事業に要する経費が事業者の規模に対して大き過ぎないか)、収支計画の妥当性(生産性向上の取組であるか、売上の根拠は適正か)
  • 事業審査(新規性):観光業界・中小企業・周辺地域等の中で新規性のある取組か(あまり前例のない取組か)、他の事業者のモデルケースとなるような取組か
  • 事業審査(優秀性):現状分析(外部環境・内部環境)を適切に行っているか、具体的に課題への対応策を検討しているか
  • 事業審査(市場性・競争優位性):市場性(顧客ニーズ)のある取組か、従来からの競合に対する競争優位性を獲得できる取組か、マーケティング策(標的顧客・価格設定・集客販路開拓方法)は適切か
  • 事業審査(実現性):社内外の実施体制は構築されているか、取組を実行できる経営資源(人材・技術・設備・販路・ブランド価値等)を有しているか、法的課題の有無とその対応策の適切さ、実行スケジュールの適切さ
  • 事業審査(波及性):都内の観光業界・地域・取引先等、自社以外への波及効果があるか
  • 事業審査(適合性):東京の歴史・伝統・文化・自然・食材等、東京の特色に強く紐づいた東京ならではの観光商品・サービスの提供に繋がる取組か、東京の観光に資するサービスのレベルアップや利便性向上に資する取組か

申請受付期間

令和8年10月19日(月)〜令和8年11月30日(月)

郵送申請は当日消印有効。電子申請(jGrants)は11月30日16時00分申請到達分まで。申請期限の1週間〜10日前には申請(書類提出)を行うことが推奨されている。

専門家派遣(申請前支援コース)の申込期限

補助金募集締切の2か月前までに申込が必要。申込から派遣決定まで通常1か月程度かかる。

補助事業実施期間

令和9年3月15日〜令和11年3月14日(最長2年間)

出所