制度概要
中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(16次公募)PMI推進枠・事業統合投資類型は、中小企業者等が事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受けた後、統合効果(PMI)の最大化を図り生産性向上を目的とする設備投資等を行う場合に、その経費の一部を補助する制度。実施機関は事業承継・M&A補助金事務局(PMI推進)。業種制限なし(全業種が対象)。
補助額・補助率|最大1,000万円
補助上限額・補助率の基本構造
補助下限額(交付申請時の補助額)は100万円。これを下回る申請は受け付けない。補助上限額は賃上げ要件の充足有無により800万円または1,000万円となる。補助額のうち800万円を超え1,000万円以下の部分の補助率は、小規模事業者等・その他中小企業者を問わず一律1/2以内となる。
| 区分 | 賃上げ要件 | 補助上限額 | 補助率(〜800万円部分) |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者等 | 充足する | 1,000万円 | 2/3以内 |
| 小規模事業者等 | 充足しない | 800万円 | 2/3以内 |
| その他の中小企業者等 | 充足する | 1,000万円 | 1/2以内 |
| その他の中小企業者等 | 充足しない | 800万円 | 1/2以内 |
賃上げ要件(補助上限額の引き上げ条件)
補助上限額を1,000万円とするためには、公募申請時までに3%以上の賃上げを全従業員または従業員代表者・役員に表明し、達成することが必要。具体的には、補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の従業員1人当たり給与支給総額と比較して、基準年度翌年度の同額の上昇率が3%以上であること。未達の場合は補助上限額引き上げ分(最大200万円)の返還を求める。また、事業計画期間中の各事業年度末時点で上昇率の水準を維持できていない場合も、同額の返還を求める。ただし、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求めない。なお、公募申請時に表明せず、事後的に賃上げを実施しても補助上限額800万円は変更されない。
廃業・再チャレンジ枠との併用
廃業・再チャレンジ枠と併用申請が可能。併用時は廃業費として最大300万円を上乗せ補助(補助率は事業費の補助率に準じる)。少なくとも1つの事業所または事業の廃業・廃止を伴うことが条件。
小規模事業者等の定義
| 業種分類 | 従業員数 |
|---|---|
| 製造業その他・宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 商業・サービス業(卸売・小売含む) | 5人以下 |
対象者
中小企業者等の規模要件
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下または従業員900人以下。ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下。旅館業は資本金5千万円以下または従業員200人以下。資本金・従業員の基準を満たせば個人開業医・農業法人・個人農家も対象に含む。
法人の場合の追加要件
申請時点で設立登記および3期分の決算・申告が完了していること。
個人事業主の場合の追加要件
「個人事業の開業届出書」および「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日から5年が経過していること。確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出できること。
対象外となる中小企業者等
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される法人
- 直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
- 発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が保有する法人(みなし大企業)
- 発行済株式の3分の2以上を大企業が保有する法人
- 大企業の役員または職員が役員総数の2分の1以上を占める法人
- 親会社が議決権の50%超を有する子会社と親会社は同一法人とみなし、いずれか1社のみ申請可(みなし同一法人)
- 代表者が同じ複数の法人も同一法人とみなし、1社のみ申請可
- 社会福祉法人・医療法人・一般社団・財団法人・公益社団・財団法人・学校法人・農事組合法人・各種組合・任意団体
その他の申請要件
- 日本国内に拠点または居住地を置き、日本国内で事業を営む者
- 地域の雇用維持・創出や地域経済に貢献している(または貢献する予定の)中小企業者等
- 反社会的勢力でなく、反社会的勢力との関係を有しないこと
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと
- 経済産業省および独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられていないこと
- 過去の「経営資源引継ぎ補助金」または「事業承継・引継ぎ補助金」の受給者は、期日までに事業化状況報告を適切に実施していること
- 申請時点から過去18か月の間に中小企業庁所管の補助金で賃上げ加点要件等が未達成の場合、正当な理由がない限り大幅に減点される
申請単位
- 承継者による申請が原則(法人・個人事業主とも可)
- 株式譲渡等において譲り受けた対象会社(子会社)が事業統合投資費用を負担する場合は、承継者(親会社)との共同申請が必要
- 同一の者による複数申請は不可。代表者または支配株主が同一の申請者による複数申請も不可
- 専門家活用枠(買い手支援類型)との同一公募回での申請は不可
- PMI専門家活用類型(単独申請)との同一公募回での申請は不可
対象事業・対象経費
補助対象となるM&Aの要件
被承継者と承継者の間で実質的な事業再編・事業統合が実施されたものであること。公募申請時点でM&Aの基本合意に係る契約がされており、交付申請時点で最終契約が締結されていること。公募申請期日時点でM&AのクロージングHから3年以内の取組であること。
以下に該当する場合は実質的な事業再編・事業統合とみなされない。
- グループ内の事業再編に相当する場合
- 物品・不動産等のみの売買に相当する場合(M&A対象が不動産業の場合、常時使用する従業員1名以上の引継ぎが必要)
- 親族間の事業承継に相当する場合
- 被承継者または対象会社と承継者との関係が支配関係のある法人の場合
- 事業再編・事業統合後に承継者が保有する議決権が過半数にならない場合(吸収分割・事業譲渡を除く)
- 事業再編・事業統合前に承継者がすでに過半数の議決権を保有している場合
- 譲渡価格が0円または株価1円等、取引価格の合理性が確認できない場合
- 有機的一体な経営資源(設備・従業員・顧客等)の引継ぎが行われていない事業譲渡
- 休眠会社や事業の実態がない状態の会社におけるM&A
補助対象となる事業統合投資の要件
M&A成立後のPMI(Post-Merger Integration)において、ディスシナジーの解消またはコストシナジーの創出が見込まれる設備投資等であること。補助事業期間を含む5年間の事業計画において、付加価値額または1人当たりの付加価値額の伸び率が3%/年以上となる生産性向上要件を含む計画であること。付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費の合計。
対象となる事業統合投資の例:
- 工場・製造ライン・物流等サプライチェーンの統合に係る設備導入および工事
- 業務統合・効率化を目的としたシステムの導入・最適化
- 販路の拡大・開拓に向けたコンサルティング・ロゴデザイン統一・看板制作
補助対象経費の区分
| 経費区分 | 概要 |
|---|---|
| 設備費 | 事業統合のための設備購入・工事等のために支払われる経費 |
| 外注費 | 業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費 |
| 委託費 | 業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費 |
委託費のうち、M&A仲介手数料・DD費用・M&Aコンサルティング費用・PMI専門家への手数料は補助対象外。士業等の専門家を活用したPMIの実施も補助対象外(PMI専門家活用類型の対象)。
補助対象とならない事業
- 公序良俗に反する事業
- 風俗営業等を含む公的資金の使途として社会通念上不適切な事業
- 国(独立行政法人を含む)の他の補助金・助成金等を活用する事業(同一または類似内容で重複する場合)
- 補助対象事業が第一次産業(農業・林業・漁業)である事業
補助事業期間
2027年1月(下旬予定)から14か月以内。
審査項目・加点項目
書面審査の着眼点
- 事業統合投資(統合効果の最大化に向けた設備等投資)の目的・必要性
- 補助事業計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること
- 補助事業計画内容が事業統合投資を目的としたものであり、取組の合理性・目的達成の蓋然性が高いこと
- 事業統合投資によって見込まれる統合効果(シナジー等)・地域経済への影響
- 事業統合投資による成長の見込み(自社の事業環境や外部環境を踏まえること)
- 財務内容が健全であること
加点項目
- 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること
- 有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認または「先端設備等導入計画」の認定を受けていること
- 申請時点で「地域未来牽引企業」であること
- 申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること
- ワーク・ライフ・バランス等の推進の取り組みを実施していること(えるぼし認定・くるみん認定等)
- 申請時点で「健康経営優良法人」であること
- 申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用していること
- 基準年度翌年度の従業員1人当たり給与支給総額の上昇率が2%以上となる賃上げを実施予定であり、公募申請時までに従業員に表明していること
- 申請時点でPMIを実施していること
- 申請時点でデュー・ディリジェンス(DD)を実施していること
- 米国の追加関税措置により大きな影響を受けること
加点を受けた上で採択されたにもかかわらず加点要件を達成できなかった場合、事業化状況報告において未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁所管の補助金への申請において正当な理由がない限り大幅に減点される。
申請期日に関する注意
申請期日の前日・当日に申請が集中することが予想されており、期日間際の申請に対しては事務局による複数回の不備指摘・修正差し戻しができない場合がある。不備の解消がされない場合には不採択となる可能性があるため、申請期日の5営業日前(2026年10月29日)までの提出が推奨されている。申請内容の作成を有償で第三者に依頼する場合は、行政書士(または行政書士法人)に限られ、行政書士証憑・委任契約書の提出が必須。
申請受付期間
受付開始:2026年10月2日(金)
受付終了:2026年11月6日(金)17:00(厳守)
参考:過去公募の採択実績
- 15次公募:申請件数551件、採択件数338件(PMI推進枠は申請47件、採択28件)
- 14次公募:申請件数512件、採択件数311件(PMI推進枠は申請43件、採択27件)
- 13次公募:申請件数481件、採択件数293件(PMI推進枠は申請32件、採択19件)
- 12次公募:申請件数742件、採択件数453件(PMI推進枠は申請55件、採択34件)