制度概要

中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(16次公募)の専門家活用枠・小規模売り手支援類型は、事業再編・事業統合に伴い株式または経営資源を譲り渡す予定の小規模事業者等を対象とした補助金である。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)や仲介業者など専門家への手数料負担を軽減し、M&Aをより円滑に行える環境を整備することを目的とする。実施機関は事業承継・M&A補助金事務局であり、申請はJグランツによる電子申請のみ受け付ける。

補助額・補助率|最大450万円(廃業費含む最大600万円)

類型補助率補助上限額廃業費加算
小規模売り手支援類型補助対象経費の2/3以内450万円+150万円

補助金の交付は補助対象事業完了後の精算払い(実費弁済)となる。

クロージング未実現時の取扱い

補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(クロージング)が実現しなかった場合、補助上限額は50万円に変更される。この場合、着手金・システム利用料・デュー・ディリジェンス(DD)費用を補助対象経費として認める。

廃業費の取扱い

廃業費の補助上限額は150万円。ただし、廃業費については関連する経営資源の引継ぎが補助事業期間内に実現しなかった場合は補助対象外となる。

対象者

小規模事業者等の定義

業種分類定義
製造業その他従業員数20人以下の会社および個人事業主
商業(卸売業・小売業)・サービス業従業員数5人以下の会社および個人事業主
サービス業のうち宿泊業・娯楽業従業員数20人以下の会社および個人事業主

上記の従業員基準を満たす場合、医者(個人開業医)、農家(農業法人・個人農家)も対象に含む。業種制限なし(全業種が対象)。

主な申請要件

  • 日本国内に拠点または居住地を置き、日本国内で事業を営む者
  • 法人の場合、申請時点で設立登記および3期分の決算・申告が完了していること
  • 個人事業主の場合、開業届・青色申告承認申請書の提出日から5年が経過していること
  • 地域経済に貢献している(または貢献する予定の)小規模事業者等であること
  • 過去の「経営資源引継ぎ補助金」または「事業承継・引継ぎ補助金」の受給者は、期日までに事業化状況報告を適切に実施していること
  • 申請時点から過去18か月間に中小企業庁所管の補助金に申請した内容で、賃上げ加点要件が未達成の場合、正当な理由がなければ大幅に減点される

対象外となる小規模事業者等

  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接・間接に100%の株式を保有される法人
  • 直近3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える者
  • みなし大企業(大企業が発行済株式の1/2以上または2/3以上を保有する場合等)
  • 親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合の同一法人とみなされる者(みなし同一法人)
  • 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、各種組合、法人格のない任意団体

M&A形態と申請類型

補助対象者M&Aの形態申請類型番号
被承継者(個人事業主)事業譲渡/事業譲渡+廃業2
対象会社(法人)+支配株主または株主代表(法人・個人)株式譲渡/株式譲渡+廃業/事業譲渡/事業譲渡+廃業3

株式譲渡の場合、支配株主または株主代表が申請する際は対象会社との共同申請が必須となる。

対象経費

補助対象経費の区分

  • 謝金
  • 旅費
  • 外注費
  • 委託費:FA・M&A仲介費用(着手金・中間報酬・成功報酬等)は「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者によるものに限る
  • システム利用料:M&Aマッチングサイト等の登録料・利用料・成約手数料
  • 保険料:売り手手配の表明保証保険に係る保険料(同一成約事案で買い手・売り手の重複加入は不可)
  • 廃業費:廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・土壌汚染調査費・移転・移設費用(廃業費の補助上限額は150万円)

補助対象経費の時期要件

原則として交付決定日以降かつ補助事業期間内に契約・発注し、同期間内に支払いが完了した経費が対象となる。FA・M&A仲介費用の成功報酬については、補助事業期間内に専門家と契約書を締結し、かつ最終契約書を締結し、補助事業期間内に支払った経費が対象。中間報酬については基本合意書の締結が条件となる。

補助対象とならない経費の例

  • 補助事業期間開始前に最終契約書を締結し、覚書等で締結日を期間内に延長したもの
  • 商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費
  • ファイナンスリース取引の解約に伴う解約金・違約金、リース資産の売買に係る費用
  • M&A支援機関登録制度に未登録のFA・仲介業者によるFA・M&A仲介費用

補助対象とならないM&Aの例

  • グループ内の事業再編に相当する場合
  • 物品・不動産等のみの売買に相当する場合
  • 親族間の事業承継に相当する場合
  • 取引価格が補助対象経費に比して低額等であり、取引価格の合理性が確認できない場合
  • 事業譲渡において、有機的一体な経営資源(設備・従業員・顧客等)の引継ぎが行われていない場合
  • 株式譲渡後において、譲渡後に承継者が保有する被承継者の議決権が過半数に満たない場合
  • 休眠会社や事業の実態がない状態の会社におけるM&A
  • 不動産売買のみ(最終契約書として不動産売買契約書のみを締結する場合等)
  • 常時使用する従業員1名以上の引継ぎが行われていない場合

審査項目・加点項目

書面審査の着眼点

  • 経営資源引継ぎの計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること
  • 譲渡の目的・必要性
  • 譲渡による効果・地域経済への影響

加点事由

  • 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること
  • 公募申請時に有効な「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認、または「先端設備等導入計画」の認定を受けていること
  • 公募申請時点で「地域未来牽引企業」であること
  • 公募申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること
  • ワーク・ライフ・バランス等の推進の取り組みを実施していること(えるぼし認定、くるみん認定、または従業員100人以下で行動計画を公表している事業者等)
  • 公募申請時点で「健康経営優良法人」であること
  • 公募申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用していること
  • 事業化状況報告時点で従業員1人当たりの給与支給総額を前年度比2%以上引き上げる賃上げを実施予定であり、公募申請時に従業員に表明していること
  • 米国の追加関税措置により大きな影響を受けること

賃上げ加点の未達成時の措置

賃上げ加点を受けて採択されたにもかかわらず要件を達成できなかった場合、事業化状況報告において未達が報告されてから18か月間、中小企業庁所管の補助金への申請にあたり正当な理由が認められない限り大幅に減点される。

申請受付期間

申請受付期間:2026年10月2日(金)〜2026年11月6日(金)17:00(厳守)

申請期日の5営業日前(2026年10月29日)までの提出が推奨されている。期日直前は申請が集中する傾向があり、不備の修正対応が行われないまま不採択となる可能性がある。

補助事業期間

2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定。

申請内容の第三者作成に関する要件

申請内容の作成を有償で第三者に依頼する場合、行政書士(または行政書士法人)に限られ、行政書士証憑・委任契約書の提出が必須となる。

出所