制度概要
中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(廃業・再チャレンジ枠)は、M&Aによる事業の譲り渡しを試みたものの成約に至らなかった中小企業者等が、既存事業を廃業し新たな活動へ再チャレンジするために要する費用を補助する制度。実施機関は事業承継・M&A補助金事務局(廃業・再チャレンジ枠)。本枠は単独申請(再チャレンジ申請)のほか、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠との併用申請も可能だが、本公募要領は単独の再チャレンジ申請を主な対象として定めている。
補助額・補助率|最大300万円
| 申請類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| 再チャレンジ申請(単独申請) | 補助対象経費の2/3以内 | 50万円 | 300万円 |
| 他補助事業枠との併用申請 | 併用する各事業枠の補助率に従う | 50万円 | 300万円 |
補助下限額は50万円であり、交付申請時の補助額が50万円を下回る申請(補助対象経費が税抜75万円未満)は受け付けられない。複数の対象会社について実質同一の株主による共同申請がなされ、再チャレンジ内容が実質的に同一と判断された場合、全申請における補助額の合計は300万円を上限として交付決定の取消または補助上限額の変更が行われる場合がある。
対象者
基本要件
日本国内に拠点または居住地を置き、日本国内で事業を営む中小企業者等であること。個人事業主の場合は青色申告者であることが必要。地域経済への貢献(雇用の維持・創出、地域の技術や特産品の活用、域外販売等)が認められることが求められる。
再チャレンジ申請(単独申請)固有の要件
- 2020年以降、M&A(事業の譲り渡し)に着手したものの、公募申請期日時点で着手から3か月以上が経過しても成約に至らなかった者であること。
- M&Aへの着手として認められる行為は、①事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、②M&A仲介業者や地域金融機関等M&A支援機関(原則、M&A支援機関登録制度に登録された専門家等)との包括契約(着手に関する契約)、③M&Aマッチングサイトへの登録のいずれか。申請者自身でM&Aに着手した場合は対象外。
- 廃業後に再チャレンジする事業に関する計画を作成し、認定支援機関の確認を受けていること。
申請単位
法人による再チャレンジ申請では、廃業予定の対象会社と、対象会社の議決権の過半数を有する支配株主(1者)または株主代表(1者)との共同申請が必須となる。廃業予定の中小企業者等が個人事業主の場合は、当該個人事業主による単独申請。
| 申請者 | 共同申請者(必須) | 公募申請類型番号 |
|---|---|---|
| 法人(対象会社) | 支配株主または株主代表(法人または個人) | 1 |
| 個人事業主 | 不要 | 2 |
中小企業者等の定義(規模要件)
| 業種分類 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業(一部除く)は資本金3億円以下または従業員900人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下または従業員200人以下。資本金または従業員数のいずれか一方の基準を満たせば対象となる。
対象外となる者
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される法人
- 直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
- 大企業が発行済株式の1/2以上を保有する法人、2/3以上を大企業(複数含む)が保有する法人、大企業の役員・職員が役員総数の1/2以上を占める法人等(みなし大企業)
- 親会社が議決権50%超を有する子会社が存在する場合の重複申請(同一法人とみなされ、いずれか1社のみ申請可)、代表者が同じ法人も同一法人とみなされる
- 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、各種組合、法人格のない任意団体
- 経済産業省または独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けている者
- 過去の「経営資源引継ぎ補助金」または「事業承継・引継ぎ補助金」の受給者で、期日までに事業化状況報告を提出しなかった者
対象経費
業種制限なし(全業種が対象)。補助事業期間は2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定。補助対象経費は、補助事業期間内に契約・発注および支払が完了したものに限る。交付決定日以降に契約・発注を行うことが必要。
経費区分と内容
- 廃業支援費(補助上限50万円):廃業に関する登記申請手続に伴い司法書士に支払う申請資料作成経費(解散登記、清算人選任登記、清算結了登記等)。解散・清算事業年度・残余財産確定事業年度における会計処理や税務申告に係る専門家活用費用。登録免許税、定款認証料、収入印紙代、印鑑証明等の官公署への各種証明類取得費用は対象外。
- 在庫廃棄費:既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費。商品在庫を売却して対価を得る場合の処分費(キックバック含む)および海外在庫は対象外。
- 解体費:既存事業の廃止に伴う自己所有の建物・設備等の解体費。消耗品の処分費および海外で使用していたものは対象外。
- 原状回復費:借りていた土地・建物・設備等を返却する際に修理して原状回復するために支払われる経費。賃貸借契約が締結されていない物件・レンタル契約が締結されていない設備、自己所有物の修繕費、原状回復の必要がない物件・設備、海外で使用していたものは対象外。
- リースの解約費:リースの解約に伴う解約金・違約金。ファイナンスリース取引の解約金・違約金およびリース資産の売買に係る費用は対象外。
- 土壌汚染調査費:土地の使用地歴調査・ヒアリング費用、有害物質の種類特定費用、土壌中の有害物質濃度測定・汚染範囲確認費用。土壌汚染対策工事費用は対象外。
- 移転・移設費(併用申請のみ):既存事業の廃止・集約を伴う場合に効率化のため設備・機械等を移転・移設するために支払われる経費(リース会社の移設費用含む)。再チャレンジ申請(単独申請)では計上不可。
経費の共通注意事項
- 1件(案件・発注)50万円以上(税抜)の経費は原則2者以上の相見積が必須。最低価格を提示した者を選定すること。1件50万円未満でも1社からの見積は必須。
- 支払いは補助事業者名義の口座からの銀行振込またはクレジットカード1回払いのみ対象。現金払い、手形・小切手、キャッシュレスサービス(PayPay、Suica等)は対象外。
- 補助対象経費から消費税額および地方消費税額を減額する必要がある。
- 補助金は交付を受けた事業年度の収益として計上され、法人税等の課税対象となる。
審査項目・加点項目
書面審査の着眼点
- 再チャレンジに係る取組を実現するための廃業の必要性:再チャレンジを実現するために既存事業の廃業(設備撤去、解体等)が必要な理由が明確になっていること。
- 廃業に向けた準備:廃業に伴う自社従業員の再就職方針、既存取引先への支払い方針、取引先の引継ぎが明確になっていること。
- 再チャレンジに係る取組の実現性:これまでの技術・ノウハウ・アイディア・経験等を踏まえて実現可能な事業であること。
加点事由
- 再チャレンジする主体の年齢が若いこと。
- 再チャレンジの内容が「起業(個人事業主含む)」であること。
- 補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の翌年度において、従業員1人当たりの給与支給総額の上昇率が2%以上となる賃上げを実施予定であり、公募申請時までに従業員に表明していること。賃上げ加点を申請する場合は「賃金引上げ計画の誓約書」および「従業員への賃金引上げ計画の表明書」の提出が必要。
賃上げ加点の未達成時の措置
加点を受けて採択されたにもかかわらず賃上げ要件が未達となった場合、事業化状況報告において未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁所管の補助金への申請に際して正当な理由が認められない限り大幅に減点される。災害等により著しい損失を受けたと認められる場合はこの限りではない。
減点事由
申請時点から過去18か月の間に中小企業庁所管の補助金に申請した内容について、賃上げ加点の要件等が未達成の場合、正当な理由が認められない限り大幅に減点される。
申請受付期間
2026年10月2日(金)〜 2026年11月6日(金)17:00(厳守)
申請期日の5営業日前(2026年10月29日)までの提出が推奨されている。事務局による不備指摘・修正差戻しを希望する場合はこの日程が目安となる。申請期日間際に申請が集中する傾向があり、期日直前の申請では不備が解消されない場合に不採択となる可能性がある。
補助事業期間
2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定。
申請内容の作成を第三者へ依頼する場合
有償で申請内容の作成を第三者へ依頼できるのは行政書士(または行政書士法人)に限られる。行政書士証票の写しと委任契約書の提出が必須。
参考:直近公募回の採択実績
- 15次公募:申請551件、採択338件(うち廃業・再チャレンジ枠は申請2件・採択1件)
- 14次公募:申請512件、採択311件(うち廃業・再チャレンジ枠は申請1件・採択1件)
- 12次公募:申請742件、採択453件(うち廃業・再チャレンジ枠は申請1件・採択1件)