この記事のポイント
- 2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率が8%から1%に引き下げられる方針が閣議決定(2026年9月15日)。レジ・受発注・請求書のシステムを新税率に対応させる必要がある。
- 「デジタル化・AI導入補助金」に事前着手制度が新設され、2026年9月15日以降に導入したスマートレジやPOSレジ改修が、あとから補助金申請できる。申請受付は2027年1月〜3月(調整中)。
- 補助上限は1機能で50万円、2機能以上で350万円。補助率は50万円以下の部分が3/4(小規模事業者は4/5)、50万〜350万円の部分が2/3。タブレットやレジ本体は20万円まで1/2。
- 導入設定・マニュアル作成・研修・保守サポート(最大2年間)も対象。対象は事務局に登録された製品に限られ、契約・納品・支払いの書類保管が必須。
最大350万円|制度の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | デジタル化・AI導入補助金(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)事前着手制度 |
| 背景 | 「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」の閣議決定(2026年9月15日)。令和9年4月から飲食料品の消費税率引下げ |
| 支援内容 | 従来型レジからスマートレジへの切替、POSレジ・受発注・請求書管理システムの改修による新税率対応 |
| 類型 | スマートレジ類型、POSレジ類型 |
| 補助上限 | ソフトウェア・役務は1機能50万円、2機能以上350万円。ハードウェアは20万円 |
| 補助率 | 50万円以下:3/4(小規模事業者4/5)、50万〜350万円:2/3、ハードウェア:1/2 |
| 事前着手の対象期間 | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) |
| 申請受付 | 2027年1月〜3月(調整中) |
| 対象者 | 中小企業者、小規模事業者。中堅企業も一部対象 |
| 事務局 | 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社、中小機構・中小企業庁監督) |
なぜ今レジ対応が必要か|2027年4月の消費税率引下げ
| 項目 | 内容 |
|---|
| 対象 | 現行の軽減税率(8%)が適用されている飲食料品。週2回以上発行の新聞の定期購読は対象外 |
| 税率 | 8%→1%(国税0.78%+地方消費税) |
| 期間 | 令和9年4月1日〜令和11年3月31日の2年間 |
| 手続き | 2026年10月召集予定の臨時国会に関連法案を提出 |
| 総額表示の特例 | 直ちに対応できない場合、税率変更の前後最大各2か月間は8%または1%の総額表示でよい(誤認防止措置が条件) |
| 簡易課税の特例 | 本則課税への移行届出の提出期限を課税期間末日に後ろ倒し、いわゆる2年縛りを解除。簡易課税を続ける場合は、飲食料品の売上に対応する仕入控除税額を業種区分にかかわらず売上税額と同額とする |
| 経過措置 | 2027年1月1日前に締結した定期供給契約で4月1日前に対価を受領したもの、2027年1月1日前に販売条件を提示した通信販売で4月1日前に申込みを受けたものは、旧税率8%を適用 |
飲食料品を扱う店舗では、レジの税率設定、商品マスタ、レシート表記、受発注・請求書の税率区分をすべて切り替える必要があります。ソフトウェア側で税率を更新できる機種であれば設定変更で済みますが、税率が固定された従来型レジや旧型POSは機器の入替・改修が避けられません。2027年4月に間に合わせるための時間を確保する目的で、通常は認められない「交付決定前の着手」を特例的に認めたのが今回の制度です。
2つの類型|スマートレジ類型とPOSレジ類型
| 項目 | スマートレジ類型 | POSレジ類型 |
|---|
| 想定する事業者 | 従来型のレジ(手動計算・税率固定)を使っている店舗 | 既にPOSレジを使っていて、改修で新税率に対応する店舗 |
| 取組 | タブレット・スマートフォン等の汎用端末で動くスマートレジの導入 | POSレジ・受発注・請求書管理等のシステム改修、POSレジシステムの購入 |
| ソフトウェア経費 | スマートレジシステムの購入費、クラウド利用料、受発注・請求書管理システムの改修費 | システム改修費、POSレジシステムの購入費、クラウド利用料 |
| 役務経費 | 導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート(最大2年間) | 同左 |
| ハードウェア経費 | PC・タブレット購入費(20万円まで、1/2) | レジ購入費(20万円まで、1/2) |
スマートレジで何が変わるか
| 項目 | 従来型のレジ | スマートレジ |
|---|
| 会計・集計 | レジ締め・集計は手作業中心 | データが自動集計され省力化 |
| 売上の把握 | 合計額のみ | 商品別・時間帯別に見える化 |
| 税率変更 | 機種によっては対応不可 | ソフト更新で対応 |
| 決済 | 現金中心 | 複数の決済方法をまとめて管理 |
| 導入コスト | 初期費用は低め | 補助金活用で低負担 |
いくら戻るか|補助額・補助率
| 経費区分 | 内容 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|
| ソフトウェア・役務 | システム購入費、クラウド利用料、改修費、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート | 1機能:50万円まで | 50万円以下の部分:3/4(小規模事業者4/5) |
| 2機能以上:350万円まで | 50万〜350万円の部分:2/3 |
| ハードウェア | スマートレジ類型:PC・タブレット購入費/POSレジ類型:レジ購入費 | 20万円まで | 1/2 |
「機能」とは会計・受発注・決済の3つを指します。会計機能だけのレジなら上限50万円、会計と決済など2機能以上を備えたシステムなら上限350万円まで対象になります。
補助額の試算例
| ケース | 経費 | 計算 | 補助額(目安) |
|---|
| 小規模の飲食店がスマートレジ(会計)を導入 | ソフト30万円+導入設定10万円+タブレット8万円 | 40万円×4/5=32万円、8万円×1/2=4万円 | 36万円(自己負担12万円) |
| 中小の小売店がスマートレジ(会計+決済)を導入 | ソフト・役務 合計120万円+タブレット20万円 | 50万円×3/4=37.5万円、70万円×2/3≒46.7万円、20万円×1/2=10万円 | 約94万円(自己負担約46万円) |
| 中小企業がPOSレジと受発注システムを改修 | 改修費・保守 合計300万円 | 50万円×3/4=37.5万円、250万円×2/3≒166.7万円 | 約204万円(自己負担約96万円) |
補助率の区分の適用方法は公募要領で確定します。上の試算は、デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠と同じく経費額の区分ごとに補助率を適用する前提で計算しています。
事前着手制度の仕組み|先に導入して、あとから申請
| 段階 | 時期 | やること |
|---|
| 1. 製品の確認 | 2026年9月15日〜 | 事務局に登録されているスマートレジ・POSレジ等の製品か確認する。未登録製品は対象外 |
| 2. 見積の取得 | 導入前 | 改修費・役務費は複数見積が必要となる場合がある。仕様書・見積書を保管 |
| 3. 導入・改修 | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) | 契約、納品、支払い。契約書・納品書・請求書・レシート等をすべて保管 |
| 4. 公募要領の確認 | 後日公開 | 事務局ホームページに掲載される公募要領で要件・書類を確認 |
| 5. 申請 | 2027年1月〜3月(調整中) | 事後に補助金申請。申請要件を満たしていれば交付対象 |
| 6. 交付決定・入金 | 審査後 | 審査を経て交付決定、補助金の支払い |
通常のデジタル化・AI導入補助金は交付決定後の契約・発注が原則で、交付決定前の着手は補助対象外です。今回の事前着手制度は、税率変更に間に合わせるための特例として、9月15日以降の着手を認めています。
留意点
- レジの導入は、あらかじめ事務局に登録されているスマートレジ・POSレジ等の製品が対象。導入前に登録の有無を確認する
- 申請要件を満たしていれば交付対象となるが、改修費や役務費は複数見積等が必要となる場合がある
- 事後申請のため、契約・納品・支払いに関するすべての書類(仕様書、見積書、契約書、納品書、請求書、レシート等)を保管する
- 詳細は後日公開される公募要領で確定する。内容が変更される可能性があるため、申請前に必ず確認する
誰が使えるか|対象者
| 区分 | 内容 | 補助率(50万円以下の部分) |
|---|
| 小規模事業者 | 商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下 | 4/5 |
| 中小企業者 | デジタル化・AI導入補助金の対象となる中小企業者 | 3/4 |
| 中堅企業 | 一部対象(詳細は公募要領) | 公募要領で確定 |
飲食店、食料品を扱う小売店、テイクアウト・デリバリー店、食品卸、食品製造の直売所など、飲食料品の販売・受発注・請求に関わる事業者が主な対象になります。
他の補助金との組み合わせ
| 補助金 | 使い道 | 関係 |
|---|
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠) | レジ以外の業務ソフト、会計・受発注・決済ツール | 同一経費の重複は不可。税率対応のレジ・POSは今回の事前着手制度、その他のITツールは通常の枠で申請 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 値札・POP・メニューの刷新、店舗の販路開拓 | デジタル化・AI導入補助金の対象外となる印刷物・什器を補える |
| 省力化投資補助金(カタログ注文型) | 券売機・配膳ロボット等の省力化製品 | レジ以外の店舗省力化設備に |
スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|
| 2026年9月15日 | 大綱の閣議決定。事前着手制度の発表、対象期間の開始 |
| 2026年10月 | 臨時国会に消費税率引下げの関連法案を提出(予定) |
| 後日 | 事務局が公募要領を公開 |
| 2027年1月〜3月(調整中) | 補助金の申請受付 |
| 2027年3月(調整中) | 事前着手の対象期間の終了 |
| 2027年4月1日 | 飲食料品の消費税率1%を適用開始 |
| 2029年3月31日 | 税率引下げの終了(2年間) |
今すぐやることチェックリスト
| 項目 | 確認 |
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| 現在のレジの確認 | ソフト更新で税率を変更できる機種か。できなければスマートレジ類型を検討 |
| POS・受発注・請求書システム | 税率区分の追加や改修が必要か。ベンダーに改修の可否と費用を確認 |
| 登録製品の確認 | 導入予定のスマートレジ・POSレジが事務局に登録されているか |
| 機能の整理 | 会計のみか、決済・受発注も含めるか(上限50万円か350万円かが変わる) |
| 見積書 | 改修費・役務費は複数の見積を取得 |
| 書類保管 | 仕様書、見積書、契約書、納品書、請求書、領収書、レシートをすべて保管 |
| 導入スケジュール | 2027年3月までに導入・支払いを完了し、4月1日の税率変更に間に合わせる |
| GビズID | 申請に必要になる場合に備え、GビズIDプライムを取得しておく |
| 公募要領 | 公開後、要件・書類・申請手順を確認してから申請 |
こんな事業者は今すぐ検討を
- 飲食料品を扱う小売店・飲食店で、税率固定の従来型レジを使っている
- POSレジはあるが、ベンダーから税率変更対応の改修見積が届いている
- レジ締めや集計を手作業で行っており、この機会に売上の見える化とキャッシュレス対応を進めたい
- 食品卸・食品製造で、受発注・請求書システムの税率区分を改修する必要がある
対象期間は2026年9月15日から始まっています。登録製品の確認と見積の取得を先に済ませ、書類をそろえたうえで導入を進めれば、2027年1月からの申請にそのまま進めます。
出典