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「現場に女性用トイレがなく、女性技術者の採用に踏み切れない…」
「女性社員はいるが、更衣室が男女共用で、ずっと心苦しかった…」
「求人を出しても、なぜか女性からの応募が少ない…」
こうした課題の背景には、実は「物理的な設備の問題」が隠れていることが少なくありません。この課題を真正面から解決するために、東京都が用意した強力な支援策が女性の活躍推進助成金、通称ジョカツ!です。
この記事では
- 「ジョカツ!」の超重要なポイント
- 自社が対象になるかのチェックリスト
- トイレや更衣室など、何に・いくら使えるのか
- 申請から受給までの全ステップと注意点
- 他の都の助成金との合わせ技
について、どこよりも詳しく分かりやすく解説します。
「ジョカツ!」とは? ― この助成金の”キモ”を理解する
この助成金は、女性の新規採用や、これまで女性が少なかった職域(例:建設現場、製造ラインなど)への配置拡大を計画している都内の中小企業に対し、女性専用設備の新設・改修にかかる経費の一部を助成する制度です。
ここで最も重要なポイントは、この助成金が「未来への投資」であるという点です。
【超重要】「今後の女性採用計画」が大前提!
この助成金は、単に既存の女性従業員のためだけの設備改修は対象外です。
「今後、新たに女性を採用する計画があり、その受け入れ準備として設備を整える」という、人材戦略と連動した活用が絶対条件となります。
あなたの会社は対象?申請資格セルフチェックリスト
以下の要件をすべて満たしているか、チェックしてみましょう。
- [ ] 東京都内に本社または事業所があること。
- [ ] 常時雇用する労働者数が2名以上300名以下の中小企業等であること。
- [ ] 【最重要】女性の新規採用・職域拡大計画があること。
→この計画は、女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」※に含まれ、申請日時点で管轄の労働局に提出済みである必要があります。 - [ ] 過去(令和3年度~6年度)に本助成金を受給していないこと。
※一般事業主行動計画とは? 企業が女性の活躍推進のために設定する行動計画のことです。
策定や届出は思ったよりも難しくありません。
まだ策定していない場合はこれを機に取り組むことをお勧めします。
いくら貰える?何に使える?(助成額と対象経費)
■助成額と助成率
- 助成金上限額:最大500万円
- 助成率:対象経費(税抜)の 2/3
■助成対象となる設備・経費
女性が安心して働ける環境を整えるための、幅広い施設が対象となります。
- 水回り設備
- 女性専用トイレ(新設・改修)
- オールジェンダートイレ(一定要件を満たす場合)
- 女性専用シャワー室、洗面所、洗濯機
- プライベート空間
- 女性専用の更衣室、ロッカー
- 女性が安心して利用できる休憩室、仮眠室
- その他
- ベビールーム(授乳やおむつ替えスペース)
- 工事現場に設置される仮設トイレ(移動式の車載用トイレも含む)
申請から受給までの完全ロードマップ
本助成金は、計画の確実性を重視した丁寧な手続きが求められます。以下の流れをしっかり把握し、十分な準備期間を確保しましょう。
【申請フロー図】
[STEP 1]事前相談(任意)→[STEP 2]電話予約(必須)→[STEP 3]来所申請→【STEP 4】交付決定通知→[STEP 5]事業開始(工事契約・着工)→[STEP 6]完了報告→[STEP 7]助成金GET!
各ステップの解説
1.事前相談(任意・推奨)
工事計画や採用計画が要件に合うか不安な場合、東京しごと財団の無料相談を活用できます。計画図面や見積書を持参すると、申請の精度が格段に上がります。
2.来所申請の電話予約(必須)
必ず事前に電話で来所日時を予約します。予約なしでの訪問は受け付けられません。
(令和7年度の予約受付期間は令和7年5月8日から令和7年12月15日までです)
3.申請書類の準備と提出(来所)
予約日時に、募集要項で指定された全ての申請書類を持参し、財団担当者との面談を通じて提出します。
4.審査・交付決定
提出された計画書に基づき、財団が審査を行います。
5.事業実施・完了報告
計画通りに工事を実施し、完了後に実績報告書を提出します。
6.助成金請求と受給
実績報告が承認された後、請求書を提出し、助成金が振り込まれます。
【絶対に守るべき鉄則】交付決定後に事業開始
助成金の対象となるのは、財団からの交付決定通知書を受け取った日以降に契約・発注・着工した経費のみです。交付決定前に着手した工事等は一切対象外となるため、絶対にフライングしないようにしてください。
課題別!東京都の助成金「合わせ技」活用ガイド
設備の整備だけでなく、制度や文化の面からも職場環境を改善したい企業のために、東京都は他にも強力な支援策を用意しています。自社の課題に合わせて最適な制度を選び、組み合わせることで、より効果的な改革が可能です。
事業名 | 主な目的 | 具体的な取組例 | 支援額 |
女性の活躍推進助成金(ジョカツ!) | 【ハード整備】女性の新規採用・職域拡大のための物理的環境整備 | トイレ、更衣室、休憩室等の新設・改修 | 最大500万円(助成率2/3) |
手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金 | 【ソフト改善】従業員の働きがい向上と制度・文化の改善 | フレックスタイム制、メンター制度、多様な正社員制度導入、賃上げ等 | 最大230万円(定額) |
男女間賃金格差改善促進奨励金 | 【処遇改善】女性の処遇向上と男女間の賃金格差是正 | 女性管理職の増加、役職手当対象の女性増、非正規向け役職新設等 | 最大100万円(定額) |
おすすめの「合わせ技」
- 「ジョカツ!」+「手取り時間創出~奨励金」
女性用トイレや更衣室を整備してハード面を整え(ジョカツ!)、同時にフレックスタイム制や在宅勤務制度を導入してソフト面も改革(手取り時間創出)。これにより、女性が物理的にも時間的にも働きやすい、魅力的な職場を構築できます。 - 「ジョカツ!」+「男女間賃金格差改善~奨励金」
これまで男性中心だった職域に女性を配置するための設備を整え(ジョカツ!)、同時にその職域の役職手当の対象に女性を加える(賃金格差改善)。ハードと処遇の両面から、女性の職域拡大を強力に後押しします。
アドバイスと次のステップ
東京都が提供するこれらの支援事業は、中小企業が女性活躍を推進し、持続的な成長を遂げるための強力な武器となります。
- まずは計画から
助成金ありきではなく、まず自社が「どのような人材戦略を描き、そのためにどのような職場環境が必要か」という計画を立てることが成功の鍵です。 - 相談窓口を最大限に活用
「ジョカツ!」を検討するなら、まずは東京しごと財団の事前相談を予約しましょう。専門家の視点で計画を確認してもらうことで、手戻りを防ぎ、採択の可能性を高められます。 - 公式サイトで最新情報を確認
助成金・奨励金の制度は、年度ごとに要件が改正されることがあります。申請を検討する際は、必ず東京しごと財団の公式サイトで最新の募集要項を確認してください。 - 専門家の伴走も選択肢に
これらの申請には、就業規則の改定や詳細な事業計画書の作成など、専門的な知識が求められる場面が多々あります。社会保険労務士などの専門家に相談することで、手続きをスムーズに進め、より効果的な制度設計が可能になります。
これらの支援策を戦略的に活用し、全ての従業員がその能力を最大限に発揮できる、魅力ある職場づくりを実現してください。
東京しごと財団 女性の活躍推進助成金【概要】
https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/jokatsu/jokatsu.html