令和3年度補正予算が成立し、多くの補助金制度への予算の積み増し要件の変更が公表されました。その中でも特に注目度が高いのが、中小企業生産性革命推進事業です。

 この中小企業生産性革命推進事業は、ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継補助金の4つで構成されています。

令和3年度補正で計上された金額は、なんと2,001億円。4つとも以前から存在していた補助金で、ぜひとも活用したいところですが、今後はそれぞれに制度の変更があります。

 これらの変更点を正確に把握することで、それぞれの補助金をより効果的に活用していきたいですね。それでは、各補助金制度の変更点をご説明していきます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)

 商品開発生産性向上のための設備投資に活用できるのが、ものづくり補助金です。事業再構築補助金の登場で注目度が下がっているものの、幅広い業種で活用できる人気の補助金です。(補助対象例:工作機械、射出成形機、溶接機、プレス機、ベンディング、食品製造機械、包装機、農業機械、建設重機、ドローン、医療機器、ソフトウェアなど)

2022年2月8日締切の第9回公募までは従来どおりですが、2022年2月頃に予定される第10回公募から内容の変更が行われます。それでは、10回公募からの主な変更点をご説明します。

(1)補助金額の変更

 従来は1,000万円が上限だった補助金額が変更。従業員数が多いほど補助上限額が大きくなる仕組みになります。従業員5人以下の事業者は従来よりも補助上限額が縮小される一方、21人以上の事業者は、従来よりも補助上限額が250万円拡大されます。

出所:中小企業庁(以下同)

(2)補助対象事業者の見直し・拡充
 従来から補助対象であった中小企業者に加え、「特定事業者」も当補助金の対象者に追加。これにより、資本金額10億円未満の中堅企業申請が可能になります。

(3)新たな3類型の新設
 新型コロナとカーボンニュートラルへの対応を鑑み、3つの類型が新設されます。これらはいずれも補助率が2/3であり、通常枠よりも手厚い補助となっています。

①回復型賃上げ・雇用拡大枠の新設
 直近事業年度の課税所得がゼロである事業者や、賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が生産性向上を目指す場合の類型です。通常枠と補助上限額は同じですが、補助率は2/3と優遇。ただし、一定の賃上げが未達だった場合には補助金の変換が必要なため、注意が必要です。

②デジタル枠の新設
 DXを推進する革新的な製品・サービスの開発や、デジタル技術を活用した生産プロセス・サービスの提供方法の改善などを行うことが要件です。また、経済産業省の「DX推進指標」を活用することも必要。通常枠と補助上限額は同じですが、補助率は2/3と優遇されます。
生産管理システムAIを搭載したシステムの導入などに活用できそうですね。

③グリーン枠の新設
 温室効果ガスを削減する製品・サービスの開発や、炭素生産性を向上する生産プロセス・サービスの提供方法の改善などを行うことが要件です。こちらは補助上限額が最大2,000万円と大きく、補助率も2/3と優遇。該当しそうな場合は積極的に狙っていきたい類型ですね。

 電気自動車や蓄電池、パワー半導体や再生可能エネルギー関連などの事業者は、この類型を活用しやすいでしょう。

小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)

 小規模事業者の販路開拓などに使える人気の補助金。基本的に商業・サービス業で従業員5人以内、その他の業種は20人以内であれば申請可能です。(補助対象例:HP、ECサイト、LP、システム、ソフトウェア、広告、パンフレットなど)

 新型コロナ対策として、「低感染リスク型ビジネス枠」が補助率3/4、補助上限額100万円で運用されていますが、こちらは2022年3月9日が締切の第6回公募をもって終了。2022年春頃に予定される新たな公募では、従来からある通常枠の他に、新たに3類型追加されます。

 通常枠だと補助金額が小さいですが、他の類型は補助金額が大きいですし、広告や販促に力を入れたい場合には、積極的に活用したいですね。

①成長・分配強化枠
賃上げ(事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げる事業者が対象)や事業規模の拡大に取り組む事業者の販路拡大などが対象。補助率基本的に2/3で、補助上限額200万円です。全従業員に最低賃金+30円以上の待遇を行っている事業者にオススメですね。

②新陳代謝枠
創業後継ぎ候補者が行う新たな販路拡大などが対象。補助率2/3で、補助上限額200万円です。後継者がいる事業者は狙い目の類型ですね。

③インボイス枠
インボイス発行事業者への転換を行う事業者の販路拡大などが対象。こちらは上記の2類型よりも補助がコンパクトで、補助率2/3補助上限額100万円となっています。インボイスには多くの事業者がいずれは対応する必要があるため、先んじてこの類型を活用するのも良いですね。

サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

中小事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助し、業務効率化売上アップをサポートする補助金です。(補助対象例:勤怠管理システム、請求業務効率化システム、在庫・発注管理システム、宿泊予約サイト、3次元CAD、RPAなど)

2021年12月をもって公募は締切られていますが、次回からは、インボイス制度への対応も見据えたIT ツールの導入補助に加え、PC等のハード購入クラウド利用料も補助する形で復活します。開始時期は2022年春以降と見込まれます。

PCタブレットなどの汎用性が高いハード機器に対する補助金は少ないので、ITによる業務推進をお考えの方にはオススメの補助金です。

●補助上限額と補助率
 ・ITツール ~50万円(補助率3/4)、50~350万円(補助率2/3)
 ・PC,タブレットなど 10万円(補助率1/2)
 ・レジなど 20万円(補助率1/2)

事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金)

事業承継を機に新たな取り組みに挑戦する中小事業者や、事業再編事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小事業者などを支援する補助金です。

従来から存在する補助金ですが、令和3年度補正予算から生産性革命推進事業のパッケージに仲間入りしました。また、従来よりも補助率・補助上限額はコンパクトになっています。

設備投資販路拡大だけでなく、事業引き継ぎ時の専門家からの指導費用や、既存設備の撤去廃棄費用なども補助対象となる使い勝手の良い補助金です。(補助対象例:設備投資費用、人件費、店舗・事務所の改築工事費用、M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用など)

補助率1/2~2/3で、補助上限額150万円~600万円。開始時期は2022年春以降と見込まれています。事業承継のタイミングが合えば、ぜひ活用したい補助金ですね。

まとめ

いかがでしたか?
補助金の最新情報や変更点を知ることは、自社での補助金活用だけでなく、自社の顧客に対する“補助金を活用”した自社商品・サービスの導入提案にもつなげられます。逆に、補助金の要件の変更などを知らなければ、チャンスを逃したり、無駄な労力を使うことになりかねません。補助金を上手く活用することで、事業の稼ぐ力をアップさせていきましょう!